昭和41年版

原 子 力 白 書
     
昭和42年7月

原子力委員会
 

はしがき

 わが国の原子力平和利用面における研究開発が各界の努力により着実にすすめられた結果,原子力発電,放射線利用等の分野において,漸次,実用化がはかられるようになり,国民生活の向上と産業経済の発展に大きく貢献することが期待されている。
 とりわけ,原子力発電は,技術の進歩にともない,低廉かつ安定なエネルギー供給源としてその役割が高く評価されるようになり,商業用原子力発電所の建設が積極的にすすめられている。
 原子力委員会は,このように,原子力平和利用面における実用化の見とおしがより明確になってきたことを考慮し,昭和42年4月に,「原子力開発利用長期計画」を改訂し,新たに長期的な施策の方向と大綱を示した。
 この長期計画のもとに,わが国独自の立場で新しい動力炉を開発するため,その中核として「動力炉・核燃料開発事業団」を設立し,関係各界の総力を結集して動力炉開発を強力に推進することとした。また,原子力船についても,原子力第1船開発基本計画の線にそい,その建造にいよいよ具体的に着手することとなった。
 一方では,放射線利用においても,利用技術の高度化と利用分野の拡大がすすんでいる。
 このときにあたり,昭和41年度を中心とした研究開発および実用化の動向を顧みることは,きわめて有意義であると思い,ここに第11回原子力年報を公刊する次第である。

  昭和42年7月

国  務  大  臣
原子力委員会委員長 二階堂 進 
 

 
目   次

 
第1章 総論
 
§1 国内における原子力開発利用の動向
§2 海外における原子力開発利用の動向
§3 原子力発電
§4 動力炉開発
§5 核燃料
§6 原子力船
§7 放射線利用
§8 安全対策
§9 原子力関係予算の規模
 
第2章 原子力開発利用長期計画の改訂
 
§1 長期計画改訂の経緯
§2 長期計画改訂の基本方針ならびに長期計画専門部会
§3 新長期計画の概要
 
第3章 原子力発電
 
§1 原子力発電の進展
§2 日本原子力発電(株)東海発電所
§3 日本原子力発電(株)敦賀発電所
§4 東京電力(株)福島発電所
§5 関西電力(株)美浜発電所
§6 その他の原子力発電所建設計画
 
第4章 動力炉開発
 
§1 経緯
§2 開発体制
§3 開発計画
§4 高速増殖炉および新型転換炉の研究開発
   1 高速増殖炉
   2 新型転換炉
§5 在来型導入炉の研究開発
   1 燃料加工
   2 被覆材
   3 圧力容器
   4 安全性および安全系機器
 
第5章 核燃料
 
§1 核燃料懇談会の開催
§2 核燃料の所有方式
§3 核原料物質の探鉱開発
   1 国内資源の探鉱
   2 採鉱試験および製錬試験
§4 海外資源の調査
§5 プルトニウムの研究開発
§6 ウラン濃縮
§7 ウラン燃料の加工事業
§8 使用済燃料の再処理
   1 再処理の研究開発
   2 使用済燃料の返還
   3 再処理工場の建設計画
 
第6章 原子力船
 
§1 原子力第1船開発基本計画改訂の経緯
§2 原子力第1船の概要
§3 建造準備
§4 事業団等における調査研究,その他
 
第7章 放射線利用
 
§1 各分野における利用
   1 医学利用
   2 農業利用
   3 工業利用
§2 放射線利用に関する研究開発
   1 医学利用に関する研究開発
   2 農業利用に関する研究開発
   3 工業利用に関する研究開発
   4 放射線化学に関する研究開発
   5 食品照射に関する研究開発
§3 ラジオアイソトープの供給
 
第8章 基礎研究および核融合
 
§1 研究施設の整備
§2 物理分野における基礎研究
§3 化学分野における基礎研究
§4 生物分野における基礎研究
§5 核融合の研究
 
第9章 試験研究用原子炉等の整備,運転
 
§1 臨界実験装置
§2 研究炉
§3 試験炉
   1 動力試験炉
   2 材料試験炉
 
第10章 原子力施設の安全対策
 
§1 放射線審議会
§2 原子炉の設置と運転にともなう安全対策
   1 原子炉の安全審査
   2 原子炉の設置許可および検査
   3 米国原子力貨物船サバンナ号の本邦立入りについて
§3 核燃料物質の使用等にともなう安全対策
   1 再処理施設の安全審査
   2 加工施設等の安全対策
   3 核燃料物質の使用許可および検査
§4 放射性同位元素の使用等にともなう安全対策
   1 放射性同位元素の使用等の許可および届出
   2 放射性同位元素使用事業所等に対する立入り検査
§5 国家試験
   1 原子炉主任技術者
   2 放射線取扱主任者
§6 原子力損害補償
§7 地帯整備
§8 防災業務計画の検討
§9 放射線障害防止の研究
§10 放射性廃棄物の処理,処分
   1 放射性廃棄物の回収および処理
   2 放射性廃棄物の処理,処分に関する研究
 
第11章 環境放射能対策
 
§1 環境放射能調査および対策研究
§2 中共核爆発実験について
§3 米国原子力潜水艦の寄港
 
第12章 国際協力
 
§1 国際原子力機関
   1 第10会総会
   2 IAEA国際会議
   3 IAEAのフェローシップ,技術援助および研究契約
   4 IAEAの保障措置
§2 欧州原子力機関との協力
§3 国際条約
§4 2国間協定
§5 科学技術者の交流
   1 調査団
   2 海外原子力関係者の招へい
   3 東南アジア研修生の受け入れ
 
第13章 原子力関係技術者の養成および原子力知識普及活動
 
§1 原子力関係科学技術者の実態調査
§2 国内における養成訓練
   1 日本原子力研究所
   2 放射線医学総合研究所
   3 大学
   4 その他の機関
§3 海外留学生の派遣
§4 原子力知識普及活動
 
第14章 原子力関係予算の規模
 
1 日本原子力研究所
2 原子燃料公社
3 日本原子力船開発事業団
4 放射線医学総合研究所
5 国立試験研究機関
6 試験研究の助成および委託
7 核燃料物資の購入等
8 放射能測定調査研究
9 理化学研究所
10 原子力発電立地調査
11 東海地区原子力施設地帯整備
12 各省庁行政費
 
 (付  録)
 
I 原子力委員会関係組織
   1 原子力委員会
   2 原子力委員会参与
   3 原子力委員会原子炉安全専門審査会および専門部会
   4 原子力委員会・原子力局組織図
   5 放射線審議会の構成
II 原子力委員会の計画および方針
   1 昭和41年度原子力開発利用基本計画
   2 昭和41年度核原料物質探鉱計画
   3 動力炉開発の基本方針について
   4 動力炉開発臨時推進本部(仮称)の設置について
   5 原子力開発利用長期計画改訂の作業要領について
   6 放射性廃棄物の海洋処分に関する調査研究について
   7 原子力第1船建造について
   8 加工施設等安全基準専門部会の設置について
   9 原子力開発利用長期計画改訂の基本方針
   10 日米原子力協力協定更改について
   11 原子力映画等推選要領について
   12 長期計画専門部会の設置について
III 原子力関係予算
   1 昭和41年度,42年度原子力関係予算
   2 昭和41年度原子力平和利用研究委託費補助金の交付一覧
   3 昭和41年度放射能測定調査委託費交付一覧
   4 昭和41年度放射性廃棄物処理事業費補助金交付一覧
IV 本文参考資料
   1 原子炉の設置状況一覧
   2 中共核爆発実験にともなう放射能調査結果
   3 米国原子力潜水艦寄港にともなう放射能測定結果
   4 原子力関係科学技術者の実態調査
   5 原子炉研修所研修生内訳
   6 ラジオアイソトープ研修所研修生内訳
   7 放射線医学総合研究所研修生内訳
   8 大学における原子力学科一覧
   9 原子力関係海外留学生派遣状況(大学関係から派遣された者を除く)
   10 日本の主な原子力関係映画一覧
V 昭和41年度年表