第5章 核燃料
§3 核原料物質の探鉱開発

2 採鉱試験および製錬試験

 公社では,40年度にひきつづいて,採鉱技術の確立と能率の向上をはかるため,両翼式切羽による水力採鉱試験が連続操業試験に重点をおいて行なわれた。
 この結果,ポンプの耐用度連続操業における能率の向上,経済性の見とおしについて成果がえられた。
 また,わが国のウラン鉱石に適した製錬方法を確立するため,39年度において,人形峠鉱山に山元試験製錬所を建設し,採鉱から製錬にいたる一連の鉱石処理工程の技術的安定性および経済性についての製錬試験を完成するため,39年後半より3年間の予定で試験を行なってきたが,処理系統の改良等で若干計画が遅れ,41年度には,峠鉱(原鉱78トン,0.08%U3O8)および中津河鉱(原鉱260トン,0.27%U308)の鉱石を使用した連続処理試験を行ない,塩化ウラニール溶液約7.6立方メートル(約709キログラムU)を生産した。この塩化ウラニール溶液の一部(約300キログラムU)は,41年7月,精製錬のため公社東海事業所に送られた。
 上記の試験の結果,国産ウラン鉱石の各鉱種に対応する操業条件を確立するとともに,生産原価についてもある程度の見とおしをうることができた。
 42年度末までには,一応,峠地区,夜次地区,中津河地区の試験を終了し,試験結果をとりまとめる予定である。


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