第5章 核燃料

§7 ウラン燃料の加工事業

 ウラン燃料の加工事業については原子力産業5グループにおいて,将来の核燃料の国産化に備えるため,ウラン燃料の転換および加工技術の研究開発を行なうとともに,必要な技術を海外から導入してきた。
 また,政府においても,これら研究開発を促進するため,委託費および補助金を交付してきた。この結果,各社とも核燃料の転換または加工についての技術は,一応の成果をうることができた。
 一方,41年度には,わが国の原子力発電所について,日本原子力発電(株)2号炉,東京電力(株)1号炉および関西電力(株)1号炉の建設がそれぞれ決定した。その他の電気事業者による設置計画も具体的に検討がすすめられ,わが国における核燃料の需要見とおしが相当明確になってきた。このような背景から,三菱原子力工業(株),三菱金属鉱業(株),古河電気工業(株),住友原子力工業(株),日本ニュークリア・フュエル(株)(東京芝浦電気(株),(株)日立製作所および米国ゼネラル・エレクトリック社との合弁会社)の5社から,「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)第13条にもとづく加工事業の許可申請書が内閣総理大臣に提出された。
 一方,原子力局においては,昭和32年に制定した「核燃料物質の加工の事業に関する規則」が,当時の情勢で金属ウランを主体に考えた規制内容であり,その記載項目等が現在設置されつつある軽水炉の燃料を加工する事業の場合,その記載項目が十分でないため,41年7月,同規則を全面的に改正した。
 また,原子力委員会は,41年8月,加工施設の安全性を審査するための指針を作成するため,「加工施設等安全基準専門部会」を設置した。
 同部会では,加工施設の立地条件,事故および災害に対する安全性の解析および評価,臨界管理等について検討をすすめ,42年5月,「加工施設の安全審査指針」を作成し,原子力委員会に報告した。原子力委員会は,この指針にもとづき,近く加工事業の許可に関する審査を行なうこととしている。


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