第8章 基礎研究および核融合

§3 化学分野における基礎研究

 化学の分野では,放射化学,核化学等について,核分裂,反跳原子等に関係した化学反応,ラジオアイソトープの分離分析,放射化分析,さらにトレーサーを利用した機構解明,トリチウム,炭素-14による年代測定,核反応断面積等の幅広い基礎研究が,大学,国公立試験研究機関,原研等において行なわれている。
 放射線化学においては,放射線照射によって生ずる高分子中の遊離基,架橋等の生成機構,物性の研究,放射線による固体触媒,熱分解への影響に関する研究等が行なわれた。
 化学工業関係においては,公社,東京工業大学を中心に,ウランあるいはその他の同位体について,同位体効果等を利用した同位体分離の研究,および同位体分離カスケードの特性試験が行なわれ,再処理に関しては,原研,公社を中心に湿式再処理におけるプルトニウム-ウランの抽出に関する研究,あるいは再処理設備用材の浸触に関する研究等が行なわれた。
 核燃料関係においては,プルトニウム-ウラン混合酸化物燃料の国産化に対応した研究,ウラン,トリウムおよびこれらの酸化物,炭化物,窒化物等の物性研究等が行なわれた。
 また,被覆材に関しては,原子炉炉心の高温化に対応して,ジルコニウム合金の改良,ベリリウム,ニオブ,バナジウム等の新材料の研究等が行なわれた。また,原子炉化学においては,核分裂生成物による炉内化学反応の研究,照射燃料の化学的変化,核分裂生成ガスの挙動に関する研究等が行なわれた。


目次へ          第8章 第4節へ