第12章 国際協力

§3 国際条約

 原子力の研究開発および利用にともなって生じる問題のなかには,世界の各国に共通の問題があり,しかも,従来の国際条約によっては,十分に対処しえない場合が多い。これらの問題を解決するため,関係諸国が協力して,国際条約を締結しようとする動きがはやくからみられた。
 とくに,次の3条約には,わが国も当初から関心をもち,その作成過程を通じ積極的に協力した。
 すなわち,原子力船の出入港に際して,その安全の確保を目的とする「1960年の海上における人命の安全のための国際条約」(海上人命安全条約),原子力船から生じた原子力災害に関する運航者の賠償責任等を定めた「原子力船運航者の責任に関する条約」および陸上における原子力施設等から発生した原子力災害に関する民事責任等を定めた「原子力事故の民事責任に関する条約」の三つである。
 このうち,海上人命安全条約は,40年5月に発効しており,41年度末において,同条約を受託している国は合計61カ国である。
 原子力事故の民事責任に関する条約は,40年にキューバ,フィリッピンおよびアラブ連合の3カ国が受託したので,あと2カ国が受託することにより発効することになる。また,41年にトリニダット・トバコが加入した。
 原子力船運航者の責任に関する条約については,未発効であり,41年度においても,とくに新しい動きがみられなかった。


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