第9章 試験研究用原子炉等の整備,運転

§2 研究炉

 原研のJRR-1は,32年臨界以来,順調に運転がつづけられている。41年度も,前年度にひきつづき,定常運転が行なわれ,共同利用,所内研究室の共同実験,原子炉研修所の研修実験,所内外の照射実験などのために利用された。41年度における運転実績は,運転時間639時間,熱出力量1万2,577キロワット時であった。
 原研のJRR-2は,40年,重水漏洩個所の補修工事を行ない,41年に入って,熱出力8,000ないし1万キロワットで,順調に運転がつづけられている。41年5月には,国内メーカー3社による国産試作燃料(JRR-2型)3本が装荷され,8月にかけて性能試運転が行なわれ,燃焼度約10%まで照射された。結果はいずれも良好であり,第6次以降の燃料に国産燃料を使用し得ることが確認された。この間,共同利用のための運転が続行されている。また,日米原子力協力協定の再処理条項の規定にもとづき使用済の第1次燃料24本が,8月にはじめて米国に送還され,つづいて第2次燃料が42年3月に送還された。41年度における運転実績は,運転時間2,202時間,熱出力量1,934万キロワット時であった。
 原研のJRR-3(国産1号炉)は,ひきつづき41年度も定格出力1万キロワットで,130時間単位により15サイクルの共同利用運転が行なわれた。
 また,同炉に設置される極低温照射装置(インパイルチューブLHTL)の据付工事が41年12月に終了し,42年初めから,性能検査がはじめられた。
 41年度における運転実績は,運転時間1,999時間,熱出力量l,873万キロワット時であった。
 原研のJRR-4は,40年11月の1,000キロワット性能検査合格後,原子力第1船舶用炉の遮蔽実験を行なってきたが,2,500キロワットへの出力変更に関する安全審査をへて,41年4月,性能検査合格証が交付され,5月から最大出力2,500キロワットの運転に入り,ひきつづいて日本原子力船開発事業団との共同研究により,原子力第1船のための遮蔽効果実験を行なった。41年度における運転実績は,運転時間710時間,熱出力量71万キロワット時であった。
 京都大学研究炉は,学術研究および全国大学共同利用のため建設され,39年12月,1,000キロワットの性能検査合格以後,定常運転が行なわれている。41年度もひきつづき,照射実験,炉物理実験,教育訓練などに利用された。また,41年8月には,国産燃料を用いで臨界実験が行なわれた。41年度における運転実績は,運転時間1,878時間,熱出力量171万キロワット時であった。
 なお,42年度以降に原子炉の熱出力を5,000キロワットに上昇させることが計画されている。
 立教大学研究炉,近畿大学研究炉,五島育英会研究炉,東京原子力産業研究炉および東京芝浦電気研究炉は,ひきつづき,照射実験,炉物理実験,教育訓練などのために利用されている。なお,東京原子力産業研究炉では,パルス運転実験を行なうため,41年10月,安全審査をへて,内閣総理大臣による変更許可を受け,42年度に入り,実験を行なう予定である,また,東京芝浦電気研究炉では,42年度以降に原子炉熱出力を現在の常時30キロワットから常時100キロワットに上昇されることが計画されている。


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