第11章 環境放射能対策

§1 環境放射能調査および対策研究

 環境放射能調査は,昭和41年度においても,ひきつづき,科学技術庁放射線医学総合研究所(放医研)をはじめ,国立試験研究機関,都道府県衛生研究所,民間研究所等において,一般環境(大気,雨水,陸水,土壤,海水,海底土等),食品(日常食,標準食,野菜,牛乳,魚貝藻類等)および人体関係(全身,人骨,臓器,尿等)について,(第11-1表)のとおり測定および分析が行なわれた。
 これらの調査結果は,昭和36年,内閣に設置された放射能対策本部から定例的に「環境および食品等の放射能汚染について」として発表されている。
 41年度における放射性降下物の降下量は,中共が核爆発実験を実施した5月,10月および42年6月には一時的に高い値を示したが,それぞれ約3週間で平常に復した。ストロンチウム-90の月間降下量は昨年にひきつづき減少傾向を示し,牛乳および日常食中のストロンチウム-90は40年度まで横ばい状態をつづけていたが,41年度にはやや減少傾向を示している。
 一方,フランスも41年7月から42年6月にかけて,南太平洋ムルロア環礁において,合計8回の核爆発実験を実施したが,直接わが国の環境放射能水準に影響はあらわれなかった。
 放射能対策研究は,放医研をはじめ国立試験研究機関等において,環境,食品,人体における放射性核種の挙動あるいは各種食品の汚染対策等について実施され,その他放射能調査対策研究委託費による研究が民間研究機関において行なわれた。
 これら環境放射能調査および対策研究の成果は,41年11月,大阪で開催された第8回放射能調査研究成果発表会において発表された。

 また,41年6月,ニューヨークにおいて第16回期国際連合放射線影響科学委員会が開催され,放射線感受性の検討ならびに第21回国際連谷総会への報告書の作成等が行なわれ,わが国からも政府代表が派遣された。なお,同報告書は41年12月,第21回国際連合総会に提出され,万場一致で採択された。


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