第3章 原子力発電

§3 日本原子力発電(株)敦賀発電所

 原電では,東海発電所につづく第2号炉として,敦賀発電所の建設を計画し,40年10月,内閣総理大臣にその設置許可の申請を行なったが,41年4月,その設置が許可された。
 同発電所は,わが国で最初に導入される実用規模の沸騰水型炉を採用し,今後の発電技術の実用化のための経験を得ようとするもので,熱出力97万キロワット,電気出力32万2,000キロワットであり,米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社によって建設されるものである。
 同発電所の安全性については,内閣総理大臣の諮問を受けて原子力委員会の原子炉安全専門審査会において,40年11月から具体的審査が行なわれ,これらの安全審査の結果等にもとづき,41年4月に,内閣総理大臣から原子炉の設置が許可された。
 これよりさき,原子力委員会は,この原子炉安全専門審査会が行なう審査の指針として,原子炉立地審査指針を定め,また,とくに,事故の影響を評価する場合に用いる気象条件の取り扱いについて,原子炉安全解析のための気象手引を作成したが,敦賀発電所の審査にあたって,はじめて,これらの指針が全面的に適用されて安全解析が行なわれた。
 この審査を通じて,動力炉に対する安全審査の基本的な方法が確立され,その意義はきわめて大きいといえよう。
 同発電所の敷地は,敦賀半島の北端東側に位置し(福井県敦賀市),西側および東側に山地があって中央に平地を狭み,南側は深く入った湾に面し,その広さは約140万平方メートルである。
 燃料装荷は44年9月,運転開始は同年12月とされており,総工事費は約324億円で,発電原価はキロワット時あたり初年度3円15銭,20年平均2円62銭と見こまれている。
 原子炉の輸入および建設工事に関する契約は42年5月,GE社およびゼネラル・エレクトリック・テクニカル・サービス・カンパニー・インコーポレーテッド(GETSCO)社との間に調印された。
 また,原子炉圧力容器および格納容器については,国産することとし,GE社からそれぞれ(株)日立製作所,石川島播磨重工業(株)に発注された。建設工事については,41年度中に敷地の整地,山側斜面の擁壁,海洋岸壁,浄水場,放水路第1期等工事がほとんど終り,原子炉建物,タービン建物の基礎コンクリート打設等の土木工事が進捗中である。
 さらに,41年度の終り頃から,格納容器の現地組立等をはじめとする機器の組立据付工事が開始された。


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