II 原子力委員会の計画および方針

2 昭和41年度核原料物質探鉱計画

(41年2月24日
決     定)

 昭和41年度における核原料物質の探鉱は,前年度に引き続き,主として堆積岩地域を対象として行なうこととする。
 探鉱の実施にあたっては,通商産業省工業技術院地質調査所は従来発見された放射能異常地域について補完的探査を行ない,原子燃料公社は地質調査所の調査による有望地区に対して鉱床精査,科学探鉱,試すい探鉱等を実施して,効果的に国内ウラン資源の実態を明らかにすることとする。

1 地質調査所の行なう探査
 地質調査所においては,昭和40年度までにウラン鉱賦存の可能性のある地域のうち,ほぼ全地域にあたる約19万平方キロメートルの放射能強度分布概査を終え,その結果発見された放射能異常地について地質鉱床概査を行ない,全国でウラン鉱の有望な地域として人形峠,東濃地域を含む約1.6万平方キロメートルを選定した。
 本年度は予算約24百万円をもって,調査の十分でない一部の堆積岩地域に対して補完的探査を行ない,ウラン鉱床の発見につとめるとともに,ウラン鉱床の成因に関する研究および堆積型潜頭鉱床に対する探査技術の向上に関する研究を行なうものとする。

(1) 放射能強度分布概査
 次の地域にカーボーン調査および地質鉱床概査を実施して,放射能強度の分布状況を調査する。
 (イ) カーボーン調査岐阜県,広島県(ロ)地質鉱床概査北海道南部,秋田・宮城県境地域,宮城県南部,新潟県東部,広島県東北部等

(2) 鉱床調査
 昭和40年度末までの放射能強度分布概査の結果,岐阜県南部において放射能強度の異常地が広範囲にわたり多数発見されており,ウランの賦存が広い地域に分布することが推定されているので,物理探鉱等による鉱床調査を実施して,地質状況の把握および鉱床の賦存状況の調査を行ない,今後のに探鉱に資することとする。

(3) 探査技術の向上等に関する研究
 推積型鉱床の賦存は基盤の地質構造と密接な関連を有することが判明しているので,土岐地区において,重力探鉱および電気探鉱により基盤の地質構造を探知するために必要な技術を開発する。
 また,鉱床調査のため基礎的研究として,地球化学的研究ならびに岩石,層位,堆積および微生物についての研究を実施する。

2 原子燃料公社の行なう探鉱
 原子燃料公社は,本年度予算約210百万円をもって,岡山県人形峠地区,鳥取県倉吉地区および岐阜県東濃地区ならびにこれらの周辺において主として試すい探鉱により,既知鉱床の拡大と新鉱床の発見につとめる。その他,京都府奥丹後地区,島根県出雲市,宮城県大内地区等の有望地区について科学探鉱等を行なう。

(1) 人形峠地区およびその周辺
 人形峠地区の探鉱はほぼ終了したので,その周辺部に探鉱の重点をおき,倉見,黒岩,および佐治谷において試すい探鉱等により鉱床の分布範囲の確認,賦存状況の解明につとめ,鉱量を把握する。

(2) 倉吉地区およびその周辺
 菅カ谷,針伏山および羽衣石においては引き続き試すい探鉱により鉱量の把握につとめる。また神の倉において第3鉱体から第4鉱体にかけて坑道探鉱を実施し,早期に鉱況の解明を終えるものとする。

(3) 東濃地区
 前年度までの積極的な探鉱により,有望鉱床としてその発展が期待されている月吉鉱床について集中的に試すい探鉱を実施して,その賦存状況を確認し,鉱量の把握につとめるとともにその周辺地区についても新鉱床の発見のため試すい探鉱等を実施する。

(4) 奥丹後地区
 前年度に引き続き,鉱床の分布範囲の確認,鉱量の把握等を試すい探鉱等により行ない,また科学探鉱等により新鉱床の発見につとめる。

(5) その他の地区
 これまでの調査により鉱床の賦存が確認されている島根県出雲市南方,宮城県大内,岩手県花巻等の地区について地表調査,科学探鉱を実施する。


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