第9章 試験研究用原子炉等の整備,運転

§1 臨界実験装置

 原研の材料試験炉臨界実験装置(JMTRC)は,材料試験炉(JMTR)の建設,運転に関する基礎データをうるため,JMTRと同種の燃料を用いて,JMTR炉心を模して炉物理的解析,運転の安全性,照射試験の効率化などのための実験を行なうものである。
 同実験装置は,40年10月,JRR-4の炉室内No.2プールで臨界に達し,以後41年度に入って,JMTR標準炉心I,IIに関する諸実験を行なった。41年7月には,茨城県東茨城郡大洗町の原研大洗研究所のJMTR建屋内へ移設するため,一時解体された。同年10月には,大洗研究所移設に関する安全審査が行なわれ,移設が承認された。移設は42年6月までに完了し,7月には実験が再開される予定である。
 原研の高速炉臨界実験装置(FCA)は,原子力委員会による安全審査をへて,40年9月,設置が承認され,ただちに建設工事がすすめられ,41年度末にはほぼ工事を完了した。その後,米国からの燃料の到着をまち,42年4月臨界に達した。
 原研の軽水臨界実験装置(TCA)については,日本原子力船開発事業団との共同研究による原子力第1船用舶用炉炉心の臨界実験が前年度から継続されてきたが,41年10月に全実験計画を終了し,当該炉心構造を解体撤去した。さらに,12月以降は,JPDR模擬炉心構造による実験が行なわれている。
 原研の半均質臨界実験装置(SHE)および水均質臨界実験装置(AHR),ならびに日立臨界実験装置(OCF),日本原子力事業臨界実験装置(NCA)は,ひきつづき各種の試験研究に使用された。
 住友臨界実験装置は,38年4月に設置が許可されて以来,茨城県那珂郡東海村に建設中であったが,41年度に建設工事が完了し,41年9月,臨界に達した。その後,出力較正,反応度測定,線量率測定などの性能検査を継続中である。


目次へ          第9章 第2節へ