第8章 基礎研究および核融合

§1 研究施設の整備

 原子力開発利用に関する基礎研究には,大規模な研究施設を必要とするものが多く,このため,日本原子力研究所(原研)をはじめ,大学,国立試験研究機関等において研究施設の整備が逐次はかられてきた。
 とくに,原研では,各種の試験研究用原子炉をはじめ,バンデグラフ,リニアック,コバルト-60,30万キュリー線源等の施設が整備され,大学,国立試験研究機関,民間企業等にも開放され,共同研究や大学等の単独の研究に利用されてきている。
 昭和41年度には,JRR-4の出力上昇をはじめ,高速炉臨界実験装置が完成し,また,極低温照射装置,結晶型中性子分光器,パルス型中性子分光器等が整備された。
 さらに,原研の研究施設を活用するため,東京大学の原子力工学研究施設および東北大学を中心とする共同研究施設の整備について,検討が行なわれた。
 理化学研究所(理研)では,研究所移転にともなう研究施設の整備が行なわれ,37年以来,その建設をすすめてきた160センチメートルのサイクロトロンも完成し,多重価イオンを加速できる特徴を利用して,原子力核物理学をはじめ,核化学,放射線生物学等に関する研究が行なわれることとなった。
 国立試験研究機関では,名古屋工業試験所のコバルト-60,3万5,000キュリーの照射施設が完成したほか,国立遺伝学研究所の中性子照射施設,放射線育種場のガンマルーム等,研究施設の整備がそれぞれ行なわれた。
 大学においては,41年度において,東北大学の220MeVリニアック,東京大学の高温核燃料実験装置,京都大学の高分解能荷電粒子分析装置,大阪大学のサイクロトロンモデル実験装置等が整備され,このほか,東京大学原子核研究所のサイクロトロン,シンクロトロン,京都大学の研究用原子炉等がすでに各大学の共同研究に活用されている。


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