第10章 原子力施設の安全対策

§8 防災業務計画の検討

 災害対策基本法は, 36年11月に,国土ならびに国民の生命,身体および財産を災害から保護するための必要な体制の確立,責任所在の明確化など,災害防止の基本を定め,総合的かつ計画的な防災行政の整備および推進をはかり,災害時における社会秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的として,制定,公布された。
 不測の事態による原子炉等原子力施設からの放射性物資の大量放出にともなう放射線災害に対する緊急時対策については,すでに33年頃より, 科学技術庁原子力局において検討がすすめられていたが,37年7月に災害対策基本法第2条の規定により,政令で定める同法発動の原因として放射性物質の大量放出が加えられた。
 このため,科学技術庁原子力局においては,同法の規定に従い,防災業務計画について,災害時における対策遂行の体制,地域防災計画との関係,災害予防,災害応急対策,災害復旧等について検討をすすめる一方,内閣総理大臣より,応急対策時の基準となる放射線の線量に関し,放射線審議会に諮問が行なわれた。
 放射線審議会は,38年以来,「放射性物質の大量放出事故に対する応急対策の放射線レベルについて」に関し,検討を重ね,42年3月,その結論をえて内閣総理大臣に答申した。
 一方,かねてから災害対策基本法にもとづいて防災業務計画を検討していた科学技術庁は,この答申をおりこみ,42年6月,科学技術庁防災業務計画を作成し,これを公表した。


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