第5章 核燃料

§5 プルトニウムの研究開発

 プルトニウムの研究開発については,プルトニウムの熱中性子炉利用および高速増殖炉用燃料の開発に当面必要と考えられるプルトニウム―ウラン混合酸化物燃料について,日本原子力研究所(原研)および公社において行なわれてきた。
 プルトニウムの熱中性子炉利用については,プルトニウムの添加により減損ウランを再富化し,または,濃縮ウランに代ってプルトニウムを利用することによって,現在,米国にその供給を依存している濃縮ウランの輸入量を減じ,核燃料の安定供給と有効利用をはかる観点から,その研究開発を一層強力に推進する必要があるので,公社および原研を中心とする研究開発について,その具体化に関し,検討をすすめることとしている。
 公社では,40年度にプルトニウム燃料開発室の試験操業を終え,41年度にはプルトニウム―ウラン混合酸化物の振動充填燃料およびペレット燃料の製造技術の研究をすすめている。また,原研との共同研究として,プルトニウム燃料体の中性子束分布の測定,プルトニウム燃料を装荷した格子の反応度測定,プルトニウム燃料の熱伝導度の炉内測定,炉内焼結進行の研究等の計画がすすめられた。
 さらに,プルトニウムの実用炉への利用をはかるため,動力試験炉(JPDR)のプルトニウム装荷に関する計画がすすめられている。
 また,プルトニウム燃料の炉内での挙動を研究するため,照射後試験研究を行なうアルファ・ガンマ・ラボの建設が,原研で計画されている。
 一方,第4章において述べたごとく,高速増殖炉用燃料の開発に関しては,原研において,プルトニウムの炭化物および窒化物燃料を開発することを目的として,これらの化合物を取扱う施設の整備がすすめられるとともに,酸化ウラン(UO2)によるモックアップ試験が行なわれた。
 また,米国エンリコ・フェルミ炉での照射計画に参加するなど,国際協力による研究開発もすすめられている。


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