第2章 原子力開発利用長期計画の改訂

§2 長期計画改訂の基本方針ならびに長期計画専門部会

 以上の経緯ののち,原子力委員会は,41年9月12日,「原子力開発利用長期計画改訂の基本方針」を決定した。
 原子力委員会は,この基本方針において,長期計画改訂の趣旨とともに,原子力発電,原子力船,動力炉開発,核燃料,放射線利用,放射性廃棄物の処理,処分,基礎研究,核融合,安全対策およびその他の促進方策について,その方針と審議事項を明らかにした。
 さらに,この基本方針にもとづき,長期計画改訂に関する事項の調査,審議を行なうため,専門部会を設置することとし,9月29日に,「長期計画専門部会の設置について」を決定した。
 長期計画専門部会は,関係各省庁および各界の学識経験者93名(延人員132名)をもって構成し,41年10月3日,第1回専門部会を開催した。同専門部会は,作業の円滑化を期するため,総合,原子力発電,原子力船,核燃料,放射線利用,基礎研究・人材養成,核融合,安全対策の8分科会を設置し,その後,41年12月中旬までに終了することを目途に,これらの各分科会において,長期計画改訂の基本方針にしたがい,それぞれ審議がすすめられた。
 なお,動力炉開発については,原子力委員会が41年5月に内定した「動力炉開発の基本方針について」にもとづく動力炉開発計画を長期計画におりこむこととし,また,放射線利用のうち,食品照射については,食品照射専門部会の答申をまって,その方針を決定することとした。
 これらの各分科会における審議は,その分野が広汎多岐にわたり,重要事項が山積していたため,当初の予定をこえ,総合分科会を除き,おおむね42年1月までに終了し,それぞれ分科会報告書をとりまとめた。総合分科会は,これらの報告にもとづき,「原子力開発利用長期計画」の総論および各論について審議を行ない,42年3月8日,第8回総合分科会において,その原案を決定した。
 以上の経過ののち,長期計画専門部会は,42年3月22日,第2回専門部会を開催し,総合分科会で作成した「原子力開発利用長期計画」原案を審議決定し,これを原子力委員会委員長に報告した。
 原子力委員会は,同専門部会報告の趣旨を十分に尊重して,42年4月13日,「原子力開発利用長期計画」を決定した。
 原子力委員会は,この長期計画の重要性にかんがみ,これを閣議において報告するとともに,内閣総理大臣に報告した。内閣総理大臣は,42年5月23日,関係各省庁に対し,原子力開発利用長期計画を尊重して,今後の原子力開発利用の円滑な実施をはかるよう要請した。


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