第11章 環境放射能対策

§2 中共核爆発実験について

 中共は,41年5月,第3回核爆発実験を実施し,ひきつづき,10月に第4回,12月および42年6月に第5回,第6回の核爆発実験をそれぞれ実施した。
 第3回核爆発実験は5月9日,第1回,第2回と同様,新彊省ウィグル自治区ロプノール湖附近で実施された。わが国への影響は,従来とくらべ比較的はやく,2日後に各地に放射性粒子の降下がみられ,粒子あたりの放射能で比較的強いものが降下した。しかし,雨水,浮遊塵および牛乳等の放射能水準への影響は少なかった。
 次いで,第4回核爆発実験は,10月27日,同地区で実施され,わが国への影響は,10月31日,福岡で検出された放射性粒子をはじめとして各地で検出されたが,浮遊塵,雨水等への影響は少なく,牛乳にはまったく影響はみられなかった。
 ひきつづき,中共は,12月28日,第5回目の核爆発実験を行ない,わが国へは,12月30日早朝より各地に放射性粒子が降下し,単位面積あたりの降下粒子数は,いままでよりかなり多く,とくに,42年12月,輪島において観測された全ベータ放射能降下量5,600ミリキュリー/平方キロメートルは,わが国で観測された1日の降下量としては最高の値である。しかし,その後,急激に減少し,対策を必要とするにはいたらなかった。
 また,浮遊塵,牛乳等にも若干の影響がみられたが,約3週間で平常に復した。
 中共は,42年6月17日,第6回目の核爆発実験(水爆実験)を行なったが,わが国への影響はほとんど認められなかった。
 これらの測定結果は,付録IV-2に示すとおりである。
 以上の経過にかんがみ,放射能対策本部は,放射能調査体制の強化および的確な対策実施等について細目の検討を行なうこととし,42年2月,調査グループおよび対策グループを設置し,検討を行なった。
 42年6月,各グループの中間報告書がまとめられ,第13回放射能対策本部会議において,同中間報告による放射能対策および調査に関する基本的な考え方が了承され,今後,これにもとづき,放射能調査の強化がはかられることになった。


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