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第48号 原子力委員会メールマガジン 映画「アバター」にみるイノベーションの本質

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2010年2月12日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 鈴木委員長代理からひとこと 映画「アバター」にみるイノベーションの
┃        本質
┣ 定例会議情報 原子力学会 異常事象解説チームについて
┃        平成22年度原子力関係予算ヒアリング
┃        原子力政策大綱の政策評価に係る関係機関ヒアリング 等
┣ 部会情報等  原子力防護専門部会(第16回)について
┣ 事務局だより パワースポット
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
映画「アバター」にみるイノベーションの本質 鈴木達治郎

 映画「アバター」の人気が止まらない。1月25日に、わずか公開後39日間
で、世界興行収入記録が18億5500万ドルに達し、1年半以上もかけて達成
した「タイタニック」の記録(18億4290万ドル)を破ったのである。映画
好きの私としては、封切直後に鑑賞して、この大ヒットを確信した一人だ。まず
は、その映像のすごさに圧倒される。3D映画にありがちの「飛びだし感」とは
まったく異なる「臨場感」がすごい。「観るのではない。そこにいるのだ。」と
いうキャッチコピーがまさにいいえて妙である。では、その3D映像のイノベー
ションはどうして生まれたのであろうか。

 ジェームズ・キャメロン監督は1995年にすでにこの映画の脚本を書き上げ
ていたが、そのころのCG技術は「ジュラシックパーク」が最先端であり、キャメ
ロンの3D構想には不十分であったという。まず、2000年になって、監督の
要請に応えてソニーが「フュージョン・カメラ・システム」と呼ばれる携帯可能
な小型HDカメラシステムの開発に成功した。これにより「スパイキッズ」(08)
など多くの3D映画が作られるようになった。さらに2005年、今度は映画を見
るほう、すなわち観客にとって疲労感の出ない新たな3D上映方式をReal D社が開
発し、その後立体上映ができる映画館の数が飛躍的に増大した。最後に、重要な
映像技術がモーション・キャプチャーと呼ばれるCG技術である。これは「ロード
・オブ・ザ・リング」で開発された俳優にカメラをつけて作成されるCG技術であ
る。「ロード・・・」では映画の一部だったが、今回はさらに細かく感情までも
映像化できる「エモーション・キャプチャー」技術が開発された。これらを総合
的に判断して、キャメロンは「アバター」の製作を決意したという。キャメロン
は、これらそれぞれの分野で超一流のスタッフを纏め上げ、今回の「革新的な映
像つくり」を実現したのである。

 この映画は、映像美だけではない点もすごい。すでに、ゴールデングローブ賞
で監督賞、作品賞を受賞し、アカデミー賞でも、作品賞をはじめ9部門でノミネ
ートされている点をみると、映画としての総合評価も極めて高く、かつ娯楽作品
としてももちろん十分に楽しめるアクションSF映画に仕上がっている。

 このイノベーションの成功から得られる教訓は何か。まず第1は、さまざまな
革新要素技術を纏め上げるシステムとしてのイノベーションである。多様な要素
技術の進歩を常にフォローし、自らが「何が必要か」を追いかける姿勢を貫き通
したことで、「夢の映像」が実現したのである。10年前には実現しなかった技
術の集約という点で「2010年ならではの映像美」を実感する映画である。第
2は、市場を常に意識した技術開発姿勢である。特にこの美しい映像を鑑賞でき
る映画館側の技術が対応できることを知って、製作に取り掛かったという点は、
市場の動きを見逃さない技術開発姿勢と見ることができる。第3は、新しい時代
を作るという「ビジョン」の重要性だ。白黒からカラーに変わったときのように、
3D映画時代を作り上げるという意気込みをこの映画には感じる。

 ちょうど、日本原子力研究開発機構の中期目標や人材問題の話題が今週の定例
会の議題であった。原子力発電は導入からほぼ半世紀がたった。日本原子力研究
開発機構をはじめ、研究開発に取り組む方々の熱意も、この映画のように「シス
テム」「市場」「ビジョン」の3要素を忘れずに、「新しい時代を切り開く原子
力システムのイノベーション」につながるよう期待したいものだ。


●次号は秋庭委員からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●2月2日(火)第4回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

・原子力学会異常事象解説チーム(チーム110)について(日本原子力学会)
<主なやりとり等>
 原子力学会より、2月1日より運用が開始された原子力学会異常事象解説チー
ムの概要について説明がありました。原子力施設において、放射性物質や放射線
の放出、漏洩が発生し、自治体関係者やマスコミが住民の安全について懸念をも
った場合に、専門家が国や事業者から独立した立場から、速やかにわかりやすい
解説をすることを目的としています。
 委員より、情報の提供元となる事業者との距離のとりかたが難しいのではとの
指摘や、立地地域の方々にこうした取組が知られることが大切であるとの指摘等
がありました。

・平成22年度原子力関係予算ヒアリング(経済産業省、文部科学省)
<主なやりとり等>
 平成22年度原子力関係予算について、経済産業省及び文部科学省よりヒアリン
グを行いました。両省から、昨年末にまとめられた政府予算案のうち原子力関係
予算の全体方針と重点事項、予算案の概要について説明がありました。
 委員より、交付金等で金額が増減している部分に関してその背景や具体的内容
について質問があったほか、事業の必要性や原子力が果たしている役割に関して
国民に対して説明する活動の充実を期待する意見などがありました。

・原子力政策大綱の政策評価「人材の育成・確保」に係る関係機関ヒアリング
(文部科学省)
<主なやりとり等>
 平成21年の第39回定例会議において実施を決定した、原子力政策大綱に示され
る「人材の育成・確保」に関する政策評価の一環として、文部科学省よりヒアリ
ングを実施しました。文部科学省からは、原子力人材に関する動向や原子力の人
材育成に向けた取組等について説明がありました。
 委員より、我が国の国際的なプレゼンスが重要でありそうした観点から国際原
子力人材育成イニシアティブが重要であるとの意見があったほか、原子力人材の
育成に国が予算を投じる必要性についてしっかり説明することの重要性について
の意見等がありました。

・原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る有識者ヒアリング
(町FNCAコーディネーター)
<主なやりとり等>
 平成21年の第39回定例会議において実施を決定した、原子力政策大綱に示され
る「放射線利用」に関する政策評価の一環として、FNCAコーディネーターの
町氏よりヒアリングを実施しました。町氏からは、放射線利用分野における途上
国協力の現状や課題について、協力の意義も含めて説明がありました。

・独立行政法人日本原子力研究開発機構の中期目標の見直しの方向性について
(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、(独)日本原子力研究開発機構の中期目標の見直しの方向性
について説明がありました。高速増殖炉サイクル研究開発の目的・成果の明確化
と国民に対する説明及び研究設備・施設の在り方等、見直しの方向性について説
明がありました。
 委員より、研究から事業化に向けた技術移転の仕組みを強化する必要性等の指
摘があったほか、見直しの方向性として示されている中にも記載のあるとおり国
民に対する十分な説明が大事であるとのコメントなどが有りました。

・原子力防護専門部会の構成員について
<主なやりとり等>
 原子力防護専門部会においてテロ対策や防護についての検討を進めるにあたり、
当該分野の有識者を専門委員として追加することとなりました。


●2月9日(火)第5回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

・独立行政法人日本原子力研究開発機構の次期中期目標の策定について(見解)
について
<主なやりとり等>
 委員により意見を取りまとめた(独)日本原子力研究開発機構の次期中期目標
の策定についての見解文案が事務局により読み上げられた後、見解のポイントに
ついての発言及び意見交換がありました。
 委員からは、社会のニーズに基づく研究開発やリスク管理の重要性、技術移転
に関してスパイラルアプローチを重視する視点を盛り込むべきとの意見等があり
ました。
 これらを受け、見解文案に技術移転におけるスパイラルアプローチの重要性に
関する記述を追加するとともに、放射線利用等の取組に関してもスパイラルアプ
ローチやリスク管理の視点が重要である旨の記述等を追加したうえで、見解とし
て決定されました。

・原子力政策大綱の政策評価「人材の育成・確保」に係る関係機関ヒアリング
(日本原子力研究開発機構)について
<主なやりとり等>
 原子力政策大綱に示される「人材の育成・確保」に関する政策評価の一環とし
て、(独)日本原子力研究開発機構から人材の育成・確保に係る取組の現状と課
題についてヒアリングを実施しました。
 委員から、将来的に重要な課題が何かという切り口から維持すべき人材の専門
性を選択・集中していくことが必要である、ユニバーサルに活躍できる人材を育
成する視点が重要であるとのコメント等がありました。

※資料及び議事録は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm 

●次回は2月16日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・成長に向けての原子力戦略の策定について
・近藤原子力委員会委員長の海外出張について
・原子力政策大綱の政策評価「人材の育成・確保」に係る関係機関ヒアリング
(京都大学、福井県・福井大学)


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料は原則として原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


●2月2日(火)に原子力防護専門部会(第16回)を開催しました。なお、同部
会はIAEAの非公開情報を含むため、非公開で審議を行いました。
開催日時:平成22年2月2日(火) 14時00分〜16時00分
開催場所:中央合同庁舎4号館 12階共用1214特別会議室
議題:・原子力防護専門部会報告書骨子(案)について
   ・原子力防護に関する現状について
   ・IAEA関連勧告文書について
<主なやりとり等>
 我が国の原子力防護の基本的考え方の方向性について審議しました。また、規
制庁より我が国の核物質防護対策の現状について、説明するとともに、事務局よ
り、IAEAで改訂中の核物質防護のガイドラインの概要について説明しました。専
門委員からは、核物質と放射性物質の違いを踏まえた考え方や国と事業者の責任
分担の議論が必要との意見がありました。

※議事概要につきましては、後日、以下のページに掲載される予定です。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/bougo/index.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
パワースポット

 明治神宮の清らかで森厳な雰囲気が好きで、2、3ヶ月に一度は出かけたつい
でに参拝しています。鳥居を通ると、雰囲気が一変し、都会のど真ん中にいるこ
とを忘れさせてくれます。
 そんな私ですが、神宮の森が植樹されて出来た森であることを知ったのは、つ
い最近で、当時の学者が何を植えれば100年後に自然の森になるかを考えたそ
うです。
 原子力委員会では、100年後とまではいかないまでも、数十年を展望した今
後の原子力政策についての議論が始まろうとしています。このようなチャンスに
少しでも議論に貢献できればと考えています。
 ちなみに、先日、明治神宮を参拝した時は、最近話題の“清正井”は、整理券
の配布が終了していました。“清正井”は、原子力政策担当室に赴任してすぐに
パワースポットであると聞きつけた嫁と一緒に行きました。そして、その効果は、
健康で2年間忙しく働くことができていることでしょうか。
(稲場)

●次号配信は、平成22年2月26日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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