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核融合研究開発に係る基本問題の検討について

平成3年9月19日
核融合会議

1. 趣旨

 昭和50年7月、原子力委員会は「臨界プラズマ条件の達成を目指した核融合炉心プラズマ技術の研究開発に重点を置いて進めること」を主たる内容とした「第二段階核融合研究開発基本計画」(以下「第二段階計画」という。)を策定した。以来16年が経過し、第二段階計画の主要目標が達成されたこと、我が国の核融合研究開発の状況が新たな展開期を迎えていることから、今後の研究開発を進めるに当たっての基本問題について検討が必要と思量される。
 本検討を行うため、核融合会議の下に、核融合研究開発基本問題検討分科会を設置する。

2. 必要性

(1) 世界の核融合研究開発は、JT−60、TFTR、JETの三大トカマク装置により臨界プラズマ条件の近傍領域に到達するなど、高温プラズマの閉じ込め技術及びその理論的解明において大きな進展を遂げた。また、超電導磁石、プラズマ加熱技術等の炉工学技術の分野においても著しい進展を見た。
(2) 最近では、国際熱核融合実験炉(ITER)工学設計活動(EDA)について、実質的合意がなされるなど、世界の核融合研究開発は新たな段階に入りつつあるといえる。
(3) また、所要資金等研究開発規模の拡大、国際協力のウエイトの増大、米国の磁気閉じ込め核融合におけるトマカク集中投資の傾向など、核融合研究開発を取り巻く環境は著しい変化を示している。
(4) 以上の状況に鑑み、昨今の諸情勢を踏まえ、今後の核融合研究開発を進めるに当たっての基本問題について検討を行う。本検討の結果は、今後の原子力開発利用長期計画の検討に資することとする。

3. 審議検討事項

 国内外の核融合研究開発の現状をレビューし、今後の研究開発の基本的方向及び研究開発の進め方について検討する。
 主要検討項目は以下のとおり。
(1) 核融合研究開発の位置づけ
(2) 次段階装置(実験炉)に関する研究開発
(3) 実験炉に続く装置の開発を目指した研究開発
(4) 安全性に関する研究開発
(5) 国際協力の推進と国内技術基盤の形成
(6) その他

4. 構成員等

(1) 本分科会は、学識経験者10名程度をもって構成する。
(2) 本分科会に主査を置く。核融合会議の座長が、本分科会構成員の中から主査を指名する。
(3) 本分科会は、必要に応じ、構成員以外の核融合会議委員及び検討事項に関連する分野の学識経験者の参加を得ることができるものとする。

5. その他

 本分科会は、本検討の結果を取りまとめた報告書が核融合会議により承認された時点をもって、廃止されるものとする。

核融合研究開発に係る基本問題に関する検討分科会構成員

(主査)関口 忠 横浜国立大学教授

荒井 利治 日立製作所常務取締役

飯吉 厚夫 核融合科学研究所所長

井上 信幸 東京大学教授

伊藤 智之 九州大学応用力学研究所教授

大引 得弘 京都大学ヘリオトロン核融合センター長

玉野 輝男 筑波大学教授

中井 貞雄 大阪大学レーザー核融合センター長

藤家 洋一 東京工業大学原子炉工学研究所長

官 健三 東京大学教授

吉川 允二 原研理事

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