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放射線利用専門部会報告書


昭和56年10月19日
原子力委員会
放射線利用専門部会

(解説)

 本報告書は昭和56年10月19日に放射線利用専門部会においてとりまとめられ、昭和56年10月27日に原子力委員会へ報告されたものである。

昭和56年10月19日
原子力委員会
  委員長 中川 一郎殿
放射線利用専門部会
部会長 斎藤 信房

 本専門部会は、昭和55年11月25日付原子力委員会決定にづき、放射線化学の研究開発及び実用化に関する事項、加速器の医学利用に係る研究開発に関する事項等について鋭意審議を進めてきましたが、このほどその結論を得たので、ここに報告いたします。

 はじめに

 放射線及び放射性同位元素(以下、「RI」という。)の利用は、原子力発電とともに、原子力平和利用の重要な一環として、早くから基礎科学分野から医療、工業、農林漁業等の応用分野に至るまで幅広く行われているが、特に近年は、社会のニーズに即応し、医療に関する利用の進展が著しく、また、その他の分野における利用も増々多様化、高度化しつつある。

 この結果、各種放射線発生装置やRIを利用する事業所数は4,000を越え、今や国民生活に不可欠のものとなっている。

 さらに、放射線利用は、原子力科学技術に関する研究開発及び訓練のための地域協力協定(国際連合のRCAプロジェクト)に基づき、食糧、工業、医療問題等の解決に資するため、国際協力が進められている等原子力平和利用の発展途上国との国際協力の面においても重要になってきている。

 本専門部会は、放射線利用のなかで、特に関係機関における研究課題を調整し、総合的、計画的に研究開発を進めることが必要とされる放射線化学及び加速器医学利用の分野に関する研究開発の今後の方向について検討を行った。

 本報告書においては、上記二分野の放射線利用を推進していく上で基本となる考え方、今後の研究開発課題等を示したので、順次具体的施策が展開され、放射線利用がさらに進展するとともに、放射線利用の成果を通じて原子力平和利用に対する国民の理解がなお一層得られるよう期待する。

第1章 放射線化学
1. 放射線化学の意義
(1) 放射線化学の特徴

 放射線化学(radiationchemistry)は、高エネルギー放射線が物質に与えられたとき、誘起される物理的、化学的効果及びその作用について研究等を行うものである。高エネルギー放射線には、各種RIから放出される放射線、加速器による電子線及び高エネルギー荷電粒子線、短波長の電磁放射線、中性子線等が含まれる。

 放射線で物質を照射すると、物質を構成している原子又は分子に放射線のエネルギーが与えられ、イオン化や励起が起こり、この結果、これらを中心として化学反応が始まる。放射線化学は、通常の化学反応に比べて次のような特徴がある。

(ⅰ) 高エネルギー放射線によって生じる初期の励起状態は、イオン化等著しく準位にあり、光化学的にも生成しにくいものが多い。

(ⅱ) 初期に生成する活性種は、通過放射線の飛跡の近くに特殊な空間分布をつくるため、早い時期に起こる化学効果は不均一な空間分布で起こるが、これが拡散して均一になる次の過程においては、各種の化学反応が競争的に起こる。

(ⅲ) 通常の化学反応では極めて高い温度、圧力でなければ生成しないような活性種が、容易に生成し、かつ、低い温度も含め広範な温度範囲や固相状態においても容易に生成し得る。

(ⅳ) 通常、触媒を添加して化学反応を起こさせる必要がなく反応系の外部から反応を開始させるので、反応生成物から触媒を除去する工程は不要になり、また反応性生物中に触媒の残渣がないため不純物が少なく、かつ、均一な製品を得ることができる。

(ⅴ) 大量の製品を連続的に処理できるような高速で制御性の高いプロセスが可能である。

(2) 放射線化学の研究開発の重要性

 我が国における放射線化学の研究開発は、原子力平和利用のなかでは早くから着手され、今日では基礎的な研究分野を始め医療、工業、農林漁業等広範な応用分野においてもその成果が利用され、放射線化学の特徴を生かした高分子材料の合成、加工等既に実用化されているものも多く、国民生活の向上に大きく貢献している。

 特に近年においては、放射線化学法によるプロセスは、省資源省エネルギーの観点からも注目を集めており、また、放射線化学の特徴を生かした研究開発による成果は、単に従来の分野だけではなく、医療、生物学、工学等との境界領域にまで応用されるものと考えられるため、多部門の専門的知識を集中し、放射線化学の基礎から実用化までの組織的な研究開発の推進が強く期待される。

2. 放射線化学の研究開発
(1) 放射線化学の研究開発の段階

 放射線化学の研究開発の段階としては、まず、放射線による被照射体の化学変化や化学効果の研究、活性種の化学反応性の解明、放射線計測法の確立等放射線化学の研究開発にとって全般的に必要となる「基礎的研究」の分野がある。

 次には、基礎的研究の段階で得られた知見等を利用していく段階があるが、これには基礎的知見をそのまま原子炉等の安全研究、核融合の研究開発等それぞれ別の研究開発の分野に応用していくものと高分子材料等を合成、加工するプロセスを完成するために行う「実用化のための研究開発」の分野がある。

 本専門部会では、上記の整理に従いつつ、主として放射線の科学的利用という点に着目してそれぞれ検討を行った。

(2) 放射線化学の研究開発の現状

 放射線化学は、比較的新しい学問分野であるが、昭和30年以降、大学、日本原子力研究所、理化学研究所、国公立の試験研究機関、民間企業等で研究開発が行われている。

 実用化のための研究開発については、主に民間企業において進められているが、昭和38年には日本原子力研究所高崎研究所も設立され、実用化を目標とする研究開発、技術者の養成、放射線取扱い技術の確立等が行われた。

 この結果、産業界における人材の養成と数多くの放射線プロセスの実用化が進められ、昭和39年以降、電線被ふく材料、発泡ポリエチレン、熱収縮性フィルム等の製品が順次放射線化学法により生産されている。また、各企業における放射線利用は、一般技術として各分野に浸透しており、現在では、照射装置の改良等により放射線化学の特徴を生かす機能性高分子材料、表面処理等の研究開発が行われている。

 また、日本原子力研究所、理化学研究所、国公立の試験研究機関等においては、機能性高分子材料等新材料の研究開発、放射線計測法の研究開発等に加え、排煙、廃水等の放射線処理、酵素の固定化等バイオマス変換等についても研究開発が進められている。さらに、原子炉等や核融合に関連する耐放射線性材料の研究開発、原子炉等の安全研究のために必要となる有機材料の健全性の研究等にも放射線化学の研究開発により得られた知見及び経験が応用されている。

 大学等においては、当初から引き続き、放射線による新しい化学効果の発見等に力が注がれているが、近年は種々の高エネルギー加速器、パルス放射線発生装置等の導入により、高速中性子、ポジトロン、中間子等による化学効果の研究が進められているほか、原子炉等材料の腐蝕等に関連して高温高圧下における水系の放射線化学の研究が行われている。

 このように、高分子材料の合成、加工を中止として開始された我が国の放射線化学の研究開発は、着実な進展を遂げており、現在では、基礎的な研究及び実用化のための研究開発ともに世界的な水準に達している。

(3) 放射線化学の研究開発の今後の方向
① 実用化のための研究開発

 放射線化学において放射線プロセスを工業化するためには、まず、その化学反応が新しいタイプのものであり、かつ、他の方法(例えば触媒法)では実現が困難なものであることが一つの条件であるが、さらに、ここで作り出されるものや用いられる方法が、十分な経済性や市場を持つことが不可欠である。

 放射線化学の実用化のための研究開発については、工業化に成功している例も多く、我が国の照射装置の設備台数及びその総出力は着実に増加しているものの、これまでの研究開発の中には、実用化に至らなかった例があることも事実である。過去の実例をみると、化学効果即ち現象の発見や確認は放射線を利用して行われるが、民間企業におけるプロセスの実用化に当たっては設備投資効果の問題、スケールアップ時の不便さ、放射線取扱いの煩雑さ等により放射線プロセス以外の方法で実用化されている場合が多い。

 このような状況を克服するためには、技術シーズと産業ニーズとの結合及び実用化のための諸条件の明確化が必要であり、関係者の連携をより緊密にして実用化を推進するための方策を検討することが不可欠である。

② 基礎的研究

基礎的研究については、近年放射線の多様化、計測技術の進展等により活発に行われおり、特に、放射線を照射する対象については、単に高分子材料等の合成、加工を目的とするものだけではなく、環境保全の分野、生物学、化学等における遺伝子工学の分野、原子炉等に使用される材料研究の分野、燃料バイオマス等エネルギー資源の分野にまで拡大しつつある等境界領域における放射線化学の基礎的研究の推進が重要となっている。

 このような基礎的研究の推進のためには、単に放射線化学の知識が必要となるだけでなく、それぞれ医学、生物学、工学等を含めた総合的な専門知識が必要であり、これに十分に対応する人材の確保及び専門を異にする専門家間の協力が緊急の課題となっている。

 また、これらの広範な対象の研究を円滑に推進するためには、さらに学会等における情報交換を活発に行うとともに、各試験研究機関のそれぞれの役割に留意しつつ、全体を適切に調整し、かつ、体系的に取り組むことが不可欠となっている。

3. 放射線化学の研究開発課題

 放射線化学の対象が広範になるにつれて、境界領域の分野を含め、今後の研究開発課題は数多くのものがあるが、その選定に当たっては、重点を絞り、それぞれの段階に応じた目標を明確にしておくことが必要である。特に、実用化のための研究開発分野にある課題については、照射装置の技術革新の動向を踏まえ、競合する方法との優劣の評価等経済性の検討が必要である。

 このような観点から、今後重点的に推進すべき放射線化学の研究開発課題を基礎的研究分野と実用化のための研究開発分野でそれぞれ選定した。なお、基礎的研究分野については、放射線化学全般に関連する純基礎研究と具体的な利用を明確に志向する目的基礎研究とに分類して掲げる。

(1) 基礎的研究課題
① 純基礎研究課題

 純基礎研究、放射線化学全般に関連するものである。放射線化学における特異反応の解明、新しい化学反応の探索、新しい放射線の適応等種々の照射施設を利用して行う以下の研究課題については、放射線利用の新分野の開拓、実用化のためのシーズの提供等観点からその重要性が増々大きくなっているため、従来にも増して研究を推進することが必要である。

(ⅰ) 放射線化学の初期過程の研究
○物質と放射線との相互作用と化学効果との関連性に関するもの
○放射線の種類やエネルギーの化学効果に及ぼす影響に関するもの
○極短パルスを用いる中間活性種の検出とその化学反応性に関するもの
(ⅱ) 各種の条件下における放射線化学の研究
○高圧気体、極低温固体における放射線化学反応関するもの
○外部場(電場、磁場等)効果に関するもの
○同位体効果、異性化への影響等に関するもの
○溶媒和電子の利用による化学反応に関するもの
(ⅲ) 新しい放射線による放射線化学の研究
○ポジトロン、中間子、高速中性子等に関するもの
○重粒子放射線等によるLET(Linear Energy Transfer)効果に関するもの
(ⅳ) 放射線計測法の確立と標準化の研究
○線源の多様化に伴う線量測定法の確立と各種放射線の相互関係の明確化、標準化に関するもの
② 目的基礎研究課題

 目的基礎研究課題としては、実用化のための研究開発の一段階手前のものであって、放射線化学の具体的な利用の方向を定めた上で研究が行われるべきものを挙げる。今後は以下に掲げる研究開発を進めることによって実用化されるプロセス等の芽が数多く生まれてくるものと期待される。

(ⅰ) 放射線化学合成、加工に関する研究
○機能性高分子材料の研究
○生物活性体の固定化の研究
○水性塗料の研究
○リソグラフィー材料の研究
(ⅱ) 原子炉等に関する研究
○軽水炉用電線ケーブル及び電気機器部品の健全性の研究
○耐放射線性有機材料の研究
○水、水溶液の放射線分解の研究
○放射線性廃棄物固化体に対する照射効果の研究
(ⅲ) エネルギー資源に関する研究
○バイオマス変換に関する研究
○放射線エネルギーの化学エネルギーへの変換に関する研究
○C1化学に関する研究
(ⅳ) 環境保全に関する研究
○排煙、廃水処理に関する研究
○汚泥処理に関する研究
(2) 実用化のための研究開発課題

 現在実用化されているものは、いずれも他の方法では得られないユニークな特性が得られるもの、経済性に優れているもの等の条件を満たしているものであるが、放射線化学は、物質を直接電離イオン化して化学反応を起こさせるものであるため、エネルギー効率が高いことが特徴であり、時代の要請ともいうべき省資源省エネルギーの観点からも期待されているものが多い。

 目的基礎研究課題で掲げたものの中にも既に実用化の手前にまで至っているものもあるが、例えば、高圧ケーブルの架橋、塗膜の硬化、プラズマ処理、高分子分離膜の合成、加工等プロセスの改善、照射装置の改良等の課題が挙げられる。

4. 研究開発体制の在り方

 放射線化学の研究開発を今後成果あるものにしていくためには、研究開発を行う各機関の役割を明確にした上で、総合的かつ体系的な取り組みが必要となっている。

 各機関の役割を考えてみると、新製品の開発、プロセスの合理化等実用化のための研究開発については、主として民間企業で行われることが期待され、一方、放射線化学の初期過程の研究、各種の条件下における放射線化学の研究等純基礎研究については、大学等を中心にして新しい分野の開拓、境界領域への拡大等に努める必要がある。

 また、日本原子力研究所、理化学研究所、国公立の試験研究機関にあっては、それぞれ社会的ニーズ、国家的ニーズに対応する目的基礎研究課題を中心として研究を推進する必要があり、この結果得られた成果については、産業界に協力する形で実用化に結び付けていくことが望ましい。

 さらに、放射線化学の研究開発を総合的かつ体系的に推進するためには、必ずしも従来の分野にこだわることなく、各界の知識を集め、常に放射線利用の可能性について調査、検討を進めることが必要であり、また、他分野の専門化との意見交換を行うこと等により、それらの分野の研究開発の動向を正確に把握しながら進めることが必要である。

 特に、放射線化学の実用化を図るためには、シーズとニーズとの結合を図りつつ放射線化学の目的基礎研究を推進することが不可欠であるため、日本原子力研究所が中心となって、関係者の間で基礎から実用化までの各段階にある研究開発について、進ちょく状況に応じた協力、研究開発のプロジェクト化等の検討を行うことが必要である。

 なお、放射線化学の対象が拡大してきていることから、幅広い立場からの人材の養成が不可欠となっているため、大学における教育に期待するのはもちろんであるが、より専門的人材の養成という観点から、日本原子力研究所の研修コース及び外来研究員制度の活用も図るべきである。

第2章 加速器医学利用
1. 加速器医学利用の意義

 加速器医学利用には、加速器で発生する放射線によりがんを治療する分野と加速器により製造されるRIを使用して疾病の診断を行う分野がある。

 がんの治療については、既にX線や電子線が用いられ著しい成果を挙げており、今後化学療法及び免疫療法の進歩も期待されているものの、原発部位のがんを確実に治すことが先決問題であるため、局所の治療方法としては、手術とともに放射線療法が引き続き基本的な手段であると考えられる。

 しかしながら、手術が既に多くの臓器がんに対してほぼ技術的限界に達している現状からすれば、これに応えるためには、放射線療法の適用範囲を拡大することが最も合理的方策と考えられる。

 また、単にがんの治療に止まらず、患者の社会復帰の要請に応えるためには、臓器の機能及び形状を保存する可能性がある放射線療法が有望であるため、今後この治療法における技術面及び臨床面の飛躍的な進歩、充実が期待されている。

 疾病の診断については、原子炉で製造される99mTc、131I等のRIが使用され、近年その使用量も急増しているが、サイクロトロン等加速器により生産される11C、13N、15O等の短寿命のポジトロン核種も注目されている。

 ポジトロン核種は、現在のところコストは比較的高いが、99mTc等従来から使用されているRIとは異なり、これらが生体構成元素であるだけに、より本質的な情報を与えること、患者にとっては半減期が短いことから被ばく量が少なくて済むこと、無担体の形で得られること、加速器を病院内に設置することによって迅速に供給が可能であること等の利点があるため、これを利用する核医学の進展が期待されている。

2. 加速器医学利用の現状
(1) がん治療

① 現在放射線治療に用いられている線源及び発生装置は、226Ra等の密封小線源、60Co等を用いた遠隔照射治療装置、電子リニアック等の加速器であるが、これらの放射線は、放射線の進行方向に沿った単位長さ当たりの生体に与えるエネルギー量の小さい低LET放射線である。これに対して、現在研究開発が進められているものは、低LET放射線の照射では効果の挙がらなかつた放射線抵抗性のがん及び進行した病期のがんの治療用に期待されるより生物効果の高い高LET放射線である。以下に、これらの高LET放射線の特徴と研究開発の現状をまとめた。

 速中性子線は、高LET放射線の中で最も早くがん治療に用いられた放射線であり、現在世界の14ヶ所の施設で臨床トライアルが行われている。

 我が国では、昭和50年から放射線医学総合研究所において治療が開始され、現在までに700例を超える治療実績があり、放射線抵抗性がん及び局所進行がんに対し優れた治療効果を挙げている。また、東京大学医科学研究所においても昭和51年から治療が開始され、その治療実績は既に300例を超えている。これら多数の臨床例の結果からすれば、当初問題となった正常組織に与える後遺症の点についても問題は少なくなりつつあり、速中性子線治療は、既に実用段階に近づいているものと考えられる。

 陽子線は、その生物効果は従来の放射線とあまり変わらないが、飛程の終末部分にブラッグピークといわれる線量の集中が現れる優れた線量分布を有しており、体内の深部病巣だけに十分な線量を与える特徴がある。

 現在、米国、スウェーデン、ソ連等の各国で臨床トライアルが行われている。我が国においても、放射線医学総合研究所において、昭和54年から陽子線治療が開始された段階で10例程度の臨床例があり、優れた治療効果が得られている。今後は、ビームをコンピュータ制御するスポットスキャンニング法により、治療成果が期待されている。また、陽子線は、治療以外に透過診断(radiography)にも用いることができる。

 α粒子線は、陽子線と同様に鋭いブラッグピークを示し、かつ陽子線より高いLETを示す。既設のシンクロサイクロトロンにより、治療可能なエネルギーのα粒子線を発生し得るので、その治療への利用も比較的早くから開始されている。我が国では治療実績はないが、米国では昭和50年から腹部の難治のがんに対して臨床トライアルが行われている。

 重粒子線(C、N、O、Ne等)は、陽子線、α粒子線とほぼ同様の線量分布を有するが、さらにア 透過診断の分解能力が優れていること、イ 自己放射化により入射粒子の分布状態が観測可能であること、ウ ブラッグピークの部分の生成効果が高いこと等の点で陽子線及びα粒子線より優れている。重粒子線には、このような特性があるため、治療時に照射位置及び線量を正確にモニタリングできる。重粒子線の治療については、現在米国のローレンスバークレイ研究所のみで臨床トライアルが行われており、50例近い臨床例がある。

 π-中間子線は、陽子又は電子を一次粒子線として発生する二次粒子線である。π-中間子線はブラッグピークの部分でスターを形成するため、線量分布に優れ、入射部位からブラッグピークまでの間における線量に対する比も各種放射線の中で最も良い。π-中間子線の場合にも、スター生成に伴い放射されるγ線等を計測することによりスター生成部位及び線量のモニタリングのほか、μ中間子による診断の可能性がある。現在、世界の3ヵ所でπ-中間子線によるがん治療の研究が行われおり、米国のロスアラモス中間子研究所では、昭和54年より臨床トライアルが開始され、約200例の治療がなされ成果が挙がっている。

 一方、加速器を利用するものではないが、原子炉から発生する中性子線を利用する低速中性子捕捉療法の研究が進められている。本治療法は、中性子捕捉断面積の大きい核種(ホウ素10B等)の核反応による二次イオン線を利用するものである。現在のところ、臨床トライアルの対象は脳腫瘍に限られており、ホウ素化合物の供給の制約、優れた中性子分布が得られないこと等がこの治療を推進する上での大きな弱点となっている。

② 昭和30年代以降急速に導入された放射線治療により、がんの治療成績は大幅に改善されたが、最近は成績がやや伸び悩みの傾向にある。また、生存率の向上に伴って治療後の放射線後遺症の発生が増加する傾向にあり、その防止が重要な問題になりつつある。

 現在、放射線によるがん治療に関する今後の方向としては次のように考えられる。

(ⅰ) 従来のテレコバルトγ線、リニアックX線等の低LET放射線の照射では効果の挙がらなかった放射線抵抗性のがんや進行した病期のがんを治療し、効果を挙げるためには、より生物効果の高い高LET放射線の利用が期待される。

(ⅱ) 現在の外部照射法では病巣以外の正常組織の被照射量が多く、これが放射線後遺症発生の原因となっている。病巣部分のみを選択的に照射できる陽子線、重粒子線、π-中間子線等の利用が期待される。

(ⅲ) がんの治療成績を高め、しかも放射線の後遺症の発生を減少させるためには、がん病巣の位置を精密に診断すること及び診断された病巣に正確に放射線を集中することが必要であるが、最近のコンピュータ断層撮影(CT(Computed Tomography))装置を中心とする診断関連技術の進歩は、病巣の位置診断及び人体の組織の計測を高い精度で行うことを可能としつつある。理想としては、治療用放射線ビームで、診断も同時に一体化して実行されることが望ましい。

(ⅳ) 治療装置は、規模、設置費用、運転及び維持管理等が医療施設として受け入れ可能の範囲内で、かつ、多くの患者を対象として効率的な運転が可能であることが必要である。

(2) 診断

① 現在注目されている放射線による疾病の診断法としては、既に実用化されているX線CTと研究開発中のポジトロンCTがある。

 X線CTがX線吸収値の差を利用して形態の変化をとらえるのに対し、ポジトロンCTは分解能では劣るものの、生態構成元素である11C、13N、15O等を活用するため、脳、心臓等における代謝及び機能診断(トレーサーの動態解析)が可能となる特徴を有している。

 このポジトロン核種による診断を行うには、
(ⅰ) ポジトロン核種を製造するための加速器
(ⅱ) 標識有機化合物製造装置
(ⅲ) ポジトロンCT装置
(ⅳ) これらの技術を有効に活用するための生理的測定法とデータ処理法の確立

が必要である。

 これらの研究開発については、放射線医学総合研究所、国立療養所中野病院、東北大学等にそれぞれポジトロン核種が製造可能な加速器が設置され、研究開発が進められている。

② 今後、加速器を利用した短寿命RIの需要が増加していくものと考えられるが、現在利用可能な加速器の性能には相当幅があるので、その導入に当たっては、ビーム効率、従事者の被ばく量、コスト等も含め十分に考慮し、諸条件に適した加速器の選定が必要である。

 また、ポジトロン核種の標識有機化合物製造装置については、通常の化学合成法の検討に加え、所要合成時間、RIに対する収率、従事者の被ばく量等も十分に考慮した上で研究開発を推進する必要がある。

(3) 加速器

① これまでに述べた放射線を発生させるのに必要となる加速器としては、現状では次の2つに大別することができる。

 即ち、医療用加速器と医学研究用の加速器である。医療用加速器は、病院内又は病院に隣接して設置され、容易に病院スタッフ及び数人の保守要員により医療に用いられ、維持運転が安定に行い得る加速器であり、RI製造用超小型サイクロトロン、速中性子線用サイクロトロン等がこれに相当する。

 医学研究用加速器は、スタッフ及び施設の整った大学、研究施設等に設置し、関連技術も含め、医学利用に向けて用いられる加速器で、重粒子線用加速器及びπ-中間子線用加速器がこれに該当する。

② 加速器を開発し、建設するに当たっては、当然その加速器の目的及び利用形態が決定されていないと一概に議論することができないが、一般的には、次の事項を十分に検討しておく必要がある。

(ⅰ) 医療用加速器
○任意の角度から照射可能であること等照射制御性の確保
○被ばく低減化等のため操作及び維持の簡便化
○適切なコスト
○RI廃棄物の処理(診断用)
(ⅱ) 医学研究用加速器
○医学のためのスケジュールに則った運転の確保
○医学研究に附随する必要な施設の整備
○医学研究のためにビーム性能に関する特有な条件の確保
○医学研究に利用する場合の窓口となる医療機関の存在
○生物及びRI廃棄物の処理

 なお、医学利用のための加速器の開発及び建設には、相当の時間と巨額の資金を要するが、現在我が国において医学研究が可能な加速器としては、放射線医学総合研究所、東京大学医科学研究所等にあるものの他に次のものがあるため、今後の研究開発に際しては、これらの加速器の利用も十分に考慮すべきである。

(ⅰ) 利用可能な施設(既設)
大阪大学核物理研究センター
  サイクロトロン EP=70MeV、E3He=150MeV
東京大学原子核研究所
  サイクロトロン EP=50MeV
  サイクロトロン EP=40MeV
東京大学理学部中間子化学実験施設;高エネルギー物理学研究所
  シンクロトロン Ep=500MeV
電子技術総合研究所
  電子リニアック Ee=400MeV
(ⅱ) 利用可能な施設(建設中)
筑波大学粒子線医学化学センター;高エネルギー物理学研究所
  シンクロトロン EP=500MeV
理化学研究所
  リングサイクロトロン 重粒子線
        EC=1,620MeV
        EO=2,160MeV
        ENe=2,400MeV
3. 高LET放射線によるがん治療への導入手順

 がん治療に対する社会的要請に応えていくためには、現行の低LET放射線からより効果の高い高LET放射線で、かつ、ブラッグピークを有する線量集中性の高い放射線を将来導入していく必要がある。

 しかしながら、この導入のためには、研究開発段階から実用段階まで一貫して巨額な加速費及び医学、生物学、化学、工学等多分野の専門家が支援する体制の確立が必要であることから、その導入手順については事前に十分な評価、検討が必要である。

 このため、本専門部会としては、高LET放射線導入についてのメリットについて試算を行った。

 この結果をみると従来の放射線よりも治療成績は相当向上するものと考えられるものの、医療用としての加速器及びそれぞれの放射線についての効果を要する費用に対しての比(効果/費用)でみると、速中性子線及び陽子線については、現行治療法の数分の一程度で両者は殆んど等しいが、重粒子線及びπ-中間子線では、現在のところ十分の一以下であると、推定される。

 しかしながら、このように経済性の評価は困難であり、また、この値の計算上多くの仮定を必要とすることから、これだけにより最終的な意思決定をすることは無理であるが、導入の順序としては、上記の比の大きいものを近い将来に、小さいものは十分な調査研究による評価をした上で導入を図るのが当然であろう。

また、我が国における治療実績、加速器技術の成熟度等も速中性子線や陽子線の方が他の放射線より高いことからも、速中性子線、陽子線から重粒子線、π-中間子線という順序での導入が適切であると考えられる。

4. 加速器医学利用の研究開発課題

 医療用の加速器を導入し、高LET放射線を治療に活用するまでには、次のような研究開発段階を踏まえる必要がある。

Ⅰ. 当該放射線の物理的、化学的、生物学的な特性の基礎研究

Ⅱ. 実験動物を使用する医学実験研究(多目的加速器を活用し、性能については低いものであっても良い。)

Ⅲ. 臨床トライアルであるが、比較的容易な治療分野を対象とし、単に治療効果をみるだけでなく、臨床上の諸課題を検討するための研究

Ⅳ. 広範な分野を対象として臨床トライアルを行い、実際の一般医療における問題点と改善策を評価するための研究(医学研究用加速器の使用)

 このような区分に従って我が国における高LET放射線の研究開発段階の現状を分類すれば
速中性子線:Ⅳ段階
陽子線:Ⅲ段階


重粒子線:ⅡからⅢの段階の評価、π-中間子線:ⅡからⅢの段階
外国の研究成果の評価、検討が行われている状況

であるものと考えられ、この現状を十分に踏まえた研究開発の推進が必要である。

 また、本研究開発は、加速器自体の開発及び改良と表裏一体のものであるため、特に第Ⅲ、第Ⅳ段階にあるものについては、一般医療への実用化のために、加速器についても次のような調査研究が必要である。

(ⅰ) 操作性、安定性を確保するための加速器の標準化
 (加速粒子の限定、加速エネルギーの標準化、構成機器の標準化)
(ⅱ) 放射線被ばく対策の確立
 (放射線発生箇所の局所化、ビーム性能の向上、加速粒子の限定、照射装置のコンパクト化)
(ⅲ) 加速器の小型化
(ⅳ) 照射コストの低減化

 一方、RI製造用サイクロトロンについては、既に我が国においても実用化されている加速器であることから、それぞれRIの利用形態に適応した加速器を導入するとともに、診断に必要な関連技術の早急な開発が望まれる。

 さらに、加速器の利用それ自体がひとつ巨大科学であり、加速器の建設とその有効な医学利用のためには、従来より以上に広い分野の専門家から成る研究体制の確立と長期的な視点からの人材養成が今後の大きな課題と考えられる。

 以上のような基本的な考え方に立脚すれば、以下に示す具体的な各放射線毎の研究開発課題への早急な対応が必要である。

① 速中性子線

 速中性子線については、既に放射線医学総合研究所及び東京大学医学科学研究所において臨床トライアル用のサイクロトロンが設置されており、がん治療成績についても相当の実績を挙げていることから、近い将来には、医療用加速器を設置し、がん治療に当たるべき段階にあると考えられる。

 このため、第Ⅳ段階の臨床トライアルを進めている機関においては、協力してさらに臨床例を蓄積するとともに、一般のがん治療に資するため、治療方法の標準化(対象部位の選定、症状に応じた適用時期、照射前後の処置方法等)を進めるべきである。

 一方、速中性子線用加速器については、既に述べた研究開発を進めるほか、特に省エネルギー化、小型化が可能となる超電導サイクロトロンの研究開発も積極的に進める必要がある。

 また、回転照射機構、可変絞り装置等利用系、制御系の研究開発も進め、医療機器としての対応が必要となっている。

 速中性子線用サイクロトロンが地域がんセンター等の診療施設に適正に配置せられるならば、がんの治療成績の向上に大いに寄与するものと期待されるため、今後具体的な設置計画等も検討することが必要である。

② 陽子線

 陽子線については、速中性子線と同様に放射線医学総合研究所において臨床トライアルが進められており、臨床例はまだ少ないものの良好な成績が得られ、1~2年後には、本格的な第Ⅳ段階になるものと予想される。

 このため、当面は臨床例の蓄積に努め、各治療部位別の問題点、治療技術の改良等に重点を置いて研究開発を進める必要がある。

 一方、陽子線用加速器としては、250MeV程度の陽子ビームを加速できる性能が要求され、4種の加速器が考えられる。

 このうち、シンクロサイクロトロンのみが単一型加速器であるため、保守、運転の観点からは問題が少ないと考えられるが、エネルギーの可変性が殆どない等の問題があるため、将来の医療実用化に際しては、この点を調査、研究しておく必要がある。また、リニアックについては、米国のロスアラモス中間子研究所で行われているPIGMI計画が陽子線加速器としても注目されることから、その後の研究状況、結果等について詳細に調査し、検討することが望まれる。

 シンクロトロン及び分離セクター型サイクロトロンについては、リニアック又はサイクロトロンの入射器が必要となるため、複雑で比較的広いスペースを必要とし、また、資金的にも巨額なものとなるため、医療用としての保守管理を容易にするための技術開発を推進するとともに、RI製造、速中性子線治療を兼ねた加速器としての使用も検討されるべきである。

 陽子線については、一次荷電粒子線として、α粒子線、重粒子線によるがん治療のための基礎的知見の蓄積につながり、また、加速器の開発については、重粒子線及びπ-中間子線用加速器の開発につながるものと考えられるため、当面はこの陽子線による治療及び加速器技術について十分な研究開発を進めることが重要である。

③ 重粒子線及びπ-中間子線

 重粒子線及びπ-中間子線によるがん治療については、諸外国では第Ⅲ段階に入っており、前述のようにがん治療及び診断面から将来大いに期待されるものの、未だ我が国においては医学利用が十分可能な加速器施設がないのが現状である。これらの放射線によるがん治療に関する研究開発を行なっていくためには、それぞれ加速器が必要となるほか次の点を考慮しなければならない。

(ⅰ) 上記放射線によるがん治療を考えた場合、治療する側から要求される治療技術上の条件として、特に次の点に留意する必要がある。

 所要の線量が、合理的な線量分布で、治療されるべき患部に照射されるよう実用的に計画を立てることが可能であること。

 照射治療されるべき患部(ターゲット)に計画通り粒子線が照射されていることが確認されること。

 照射時間は短時間で、かつなるべく患者を楽な体位で治療できること。

 患者の体の正常組織に照射される放射線の量を極力少なくするとともに、治療用の粒子線以外の一次混在放射線による患者の放射線被ばくを最小限に抑えること。

(ⅱ) 上記の条件とともに、これらの放射線を発生される加速器については、放射線のエネルギーの到達性、出力線量率、デュティーファクター等に関する一定以上の性能が期待できるものでなければならない。さらに、加速器等照射施設は、保守・運転の容易さ、運転の自動化、照射制御等が十分考慮されたものであることが必要である。

 以上のような諸条件に照らして、それぞれの放射線発生用加速器の技術開発の課題が明らかにされるものであるが、現時点における技術水準でみると、π-中間子線治療の方が重粒子線治療に比べ技術的に困難な課題がやや多いとみられる。また、現在既に臨床研究が進められている速中性子線による治療及び陽子線に関する研究との連続性を考慮すると重粒子線による治療研究から入ることが技術的困難も少ないと考えられる。

 しかしながら、加速器の建設には巨額の資金を要するため、当面の間は、我が国において医学利用が可能な(可能となる)加速器を使用して、制約はあるものの、第Ⅱ段階から第Ⅲ段階に関する研究を実施することとし、陽子線の研究開発状況及び諸外国における成果等の状況を踏まえた上で、第Ⅳ段階に入るのが適切であると考えられる。

 重粒子線及びπ-中間子線については、特に医学、化学、物理学、工学等にまたがる最先端の研究開発分野であるため、それぞれ関連する試験研究機関、大学等が共同研究開発体制を整備し、治療技術、加速器技術等について詳細な検討及び評価を行っていくことが不可欠である。

④ 加速器によるRIの製造とその診断利用

 サイクロトロンによる短寿命RIの製造とその診断利用については現在急速に進展しつつあり、今後はポジトロンCT装置、標識有機化合物製造装置等関連技術の研究開発を推進しながら加速器の導入を進めることが期待される。

 特に、ポジトロン核種の標識有機化合物製造装置については、被ばくの低減化等の観点から極力自動化することが必要であり、現状においてはこの技術開発が遅れているため、加速して推進することが重要である。

 なお、開発が必要となる化合物は数多くのものがあり、またそれぞれ合成方法も異るため、診断利用における有用性、基礎研究の状況、合成経路等からみて、開発優先度の高いものから順次開発していくべきである。

 また、加速器についてみれば、現在利用可能なものには性能に相当幅があるため、ビーム効率、維持管理体制等を考慮すると、多目的利用の場合には大、中型サイクロトロン(EP=70MeV程度)を、病院内インハウスの場合には超小型サイクロトロン(EP=15MeV程度)をというように利用形態に応じてそれぞれの加速器を導入することが適切であると考えられる。

(参考)
放射線利用専門部会構成員
(部会長)斎藤 信房 東邦大学理学部教授

飯尾 正宏 東京大学医学部教授

梅垣 洋一郎 癌研究会付属病院放射線科部長

大島 恵一 東京大学名誉教授

桂山 幸典 京都大学原子炉実験所教授

加藤 正夫 東海大学工学部教授

金子 昌生 浜松医科大学教授

北川 俊夫 国立がんセンター放射線治療部長

高橋 宏 通商産業省資源エネルギー庁長官官房審議官

高岡 敬展 科学技術庁長官官房審議官

竹中 浩治 厚生省大臣官房審議官

田畑 米穂 東京大学工学部教授

塚田 甲子男 日本大学理工学部教授

垣元 博 放射線医学総合研究所臨床研究部長

中川 昭一郎 農林水産省農林水産技術会議研究総務官

中根 良平 理化学研究所理事

宮川 正 埼玉医科大学教授

向山 定孝 三井業際研究所常任委員

望月 勉 日本原子力研究所理事

森 一久 (社)日本原子力産業会議専務理事放射線化学分科会構成員
(主査)大島 恵一 東京大学名誉教授

今村 昌 理化学研究所主任研究員

小林 昌敏 日本原子力研究所高崎研究所長

日下部 悦二 古河電工(株)専務取締役

相根 典男 積水化学(株)常務取締役

桜井 洸 大阪大学産業科学研究所教授

田畑 米穂 東京大学工学部教授

林 晃一郎 大阪大学産業科学研究所教授

向山 定孝 三井業際研究所常任委員

望月 勉 日本原子力研究所理事加速器医学利用分科会構成員
(主査)宮川 正 埼玉医科大学教授

秋貞 雅祥 筑波大学教授

飯尾 正明 国立中野病院放射線科部長

飯尾 正宏 東京大学医学部教授

稲田 哲雄 筑波大学教授

梅垣 洋一郎 癌研究会付属病院放射線科部長

金子 昌生 浜松医科大学教授

鎌田 力三郎 日本大学医学部教授

上坪 宏道 理化学研究所主任研究員

北川 俊夫 国立がんセンター放射線治療部長

坂本 澄彦 東北大学医学部教授

塚田 甲子男 日本大学理工学部教授

垣元 博 放射線医学総合研究所臨床研究部長

平尾 泰男 東京大学原子核研究所教授

福本 貞義 高エネルギー物理学研究所教授


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