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第2回 日・IAEA保障措置合同委員会の結果について


原子力安全局保障措置課

1 期間 昭和56年5月18日〜22日
2 場所 ウィーンIAEA本部
3 出席者
 (日本側)
 浜本在墺公使
 川崎保障措置課長
 当田主席事務官(外務省)
 川島科技庁参与(核管センター)
 川本動燃保障措置室長代理
 (IAEA側)
 C.ハーチック渉外部長
 F.クリック保障措置局実施A部長
 L.ソーン極東課長
 J.フリーランド法律部職員
 (浜本公使、ハーチック部長は開会挨拶のみ出席)
4 主要結果
(1) 保障措置実施状況に関するIAEAの総合評価

(イ) 国内保障措置制度確立への進展を評価するとともに、IAEAに対する計量管理報告も申し分ない状況にあることを評価した。

(ロ) 過去1年の間、「長期駐在査察員」、「人形峠濃縮施設に対するアド・ホックインスペクション」につき、日・IAEA間で合意に達し、実施に移されていることが評価された。

(ハ) IAEA査察員指名について、日本政府の一層の協力が要請されたが、これに対し、当方からは年初に指名予定者数及びその根拠となる資料をIAEAが日本に対し提供することによって問題の解決が図られることを述べ、IAEAはこれを約した。

(2) 現状の問題点と今後の課題

 施設に即して双方から現状と今後の課題に関し、以下のような討議が行われた。

(イ) 原子力発電所における査察用のカメラの照明に問題があるとの指摘に対し、当方から現行FAの解釈の相違もある点を述べ、今後、双方協力して解決策を講じることで合意した。

(ロ) 核燃料加工施設

○ 一般的に物質収支決算及びMUF解析について改善の要があるとのIAEAの見解に対し、当方からは、これらについては国際的にも経験が少く、手法も確立されていないことを述べ、IAEAに対し、所要の情報提供方を要求しておいた。なお、PIT/回に要する経費は約70百万円にのぼることを述べておいた。

○ 当方から、最近、IAEAにおいて“MBAstructure”の考え方に変化があったのではないかと質したのに対し、IAEAは本件に関する諸情報を日本側に提供することを約した。

○ 一部の工場においてPIT時の検認に支障がある他、一般的にアセンブリのフローの検認が十分でなく、“Neutron Collar”等NDA機器の使用が提唱された。当方からはこれらについて改善の方法を検討中である旨述べるとともに、NDA機器についての十分な情報の提供方を要請しておいた。

(ハ) 濃縮施設

アドホックインスペクションの枠内での改善を今後検討することとした。

(ニ) 再処理施設

 計量槽の較正が行われたことは評価できるが、貯蔵施設における計量の確かさに問題がある。これについては、転換施設との結合により、問題の解決が図られるとの見通しで双方一致した。

(ホ) プルトニウム燃料加工施設

 イン・プロセス在庫量の増大に伴い、タイムリネスな検認が必要であり、このためのNDA測定が示唆された。

(3) 査察計画量の変更について

 IAEAにより、再処理施設、高濃縮ウラン使用研究炉の査察量の増加の意向を示したが、当方からは、現状において問題がない点を説明し今後検討していきたいと述べておいた。

(4) 硝酸プル及び硝酸ウラニル混合転換施設について

 当方から1983年初頭運転予定で、建設を進めている旨説明し、本年秋よりFAについての交渉を開始し、明年第3回合同委でセットするとのスケジュール案を述べ、このラインで双方検討を進めることになった。

(5) 合同委におけるハイレベル会合

 予想される政策的問題についても十分対処しうるようにとの見地から、当方から合同委のフレームの中でハイレベル会合を持つことの必要性を述べ、IAEAも原則的に了承し、これをテーク・ノートした。

(6) 次回会合
 来年春東京で開催
5 今後の対応

(1) 今回の討議を通じ、IAEAの国内保障措置制度及びその実施についての認識の増大とともに、国内制度に寄せる期待が大きいことが示された。この点からも明らかなように、今後我が国の対IAEA関係、対国際的な核不拡散レジームへの対応において、国内保障措置の継続した改善、確立のための努力が重要である。

(2) 個別的な問題点についてみれば、事前のIAEAとの連絡通報が十分に行われることによって解決される面が多いと思われるので、施設者−保障措置課−IAEAの事前連絡体制について前広に改善していくことが得策と考えられる。

〔参考〕 日・IAEA保障措置合同委員会について

1 日・IAEA保障措置協定議定書第18条に、定期的に開催することが明記されている。

 開催目的は次の通りである。

(1) 協定及び議定書の実施上の諸問題の検討
(2) 保障措置の方法及び技術の発展の検討

2 第1回合同委員会は、昭和55年6月東京で開催された。

 主要検討項目は以下の通りであった。

(1) 我が国における保障措置実施状況について(全般)
(2) 人形峠濃縮パイロットプラントにおける特定査察について
(3) 東大炉における保障措置適用について
(4) IAEA長期滞在査察員について

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