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海外ウラン調査炭鉱の近況


動力炉・核燃料開発事業団

−ニジェール共和国において有望鉱区取得−

 動燃事業団は、西アフリカにおいて最大ウラン生産国であるニジェール共和国で有望鉱区の取得を目指し、同国政府関係者と交渉を進めてきたところ、本年4月、クンチェ大統領との会見において、同国がナショナルリザーブとして留保してきた鉱区の探査権を動燃に与えるとの約束を得ることができた。

 同鉱区に対しては、欧米諸国(仏、米、独)が探査権取得を狙って交渉をしていたが、ニジェール政府は、いずれの申請も拒否してきた。ニジェール政府が動燃に許可を与えた背景には、政治・経済面から多面的な外交関係の推進を求め、これを契機に日本との経済協力関係を強化したいとの考えがあるとみられる。

 ニジェール共和国は、世界第6位のウラン埋蔵量を持ち、1980年には、アーリット、アクータの両鉱山で3300tのウランを生産した。これは、世界の年間生産量の約10%を占めている。

 今回ニジェール政府が動燃に探査権を与えたナショナルリザーブ鉱区は、アーリット、アクータ両鉱山のすぐ南に隣接する約7700km2の範囲で、両鉱山地区と一連の地層が分布し、極めて有望性は高い。

 ニジェールに進出している日本企業としては、海外ウラン資源(株)がアクータ鉱山および西アファスト鉱区へ資本参加しており、また、国際資源(株)がテキダンテスム鉱区でニジェール政府と共同探鉱を実施している。

ニジェール共和国位置図

ニジェール共和国クンチェ大統領と動燃事業団伊勢谷理事との会見

−西オーストラリア州で有望ウラン鉱化帯確認−

 オーストラリアは、世界のウラン資源量の20%を埋蔵するのみでなく、地質鉱床学的にもウラン鉱床賦存の有望地域で、今後も大鉱床発見の可能性が高い。動力炉・核燃料開発事業団は、これまで海外でのウラン調査探鉱の重点対象国の一つとして、オーストラリアにおいて鋭意探査を進めてきた。

 西オーストラリア州で従来ウラン探査の対象地域にされたことのないイルガルン地区で、堆積型ウラン鉱床賦存の可能性に着目し、昭和52年鉱区を獲得するとともに、日本国内において経験を積んできた探査技術を充分に生かし、広漠な準砂漠地帯でウランの鉱徴をキャッチすることが出来た。

 地元大手鉱山会社は、調査地域の自然条件が過酷であることもあり、探査結果に注目してきたが、一昨年ウラン着鉱が新聞報道されるや動燃事業団が取得していた鉱区(約2,000km2)に隣接して鉱区設定を行うなど、鉱区出願と探鉱ブームをひきおこした。

 今年度の調査は、5月上旬から開始されたが、最近の試錐探査において地表下30〜50m深部の堆積層中で品位0.3%U3O8以上(最高品位2%U3O8)のウラン鉱化帯を10数孔で確認しており、現在なお探査を継続中である。この鉱化帯は、品位および規模的に有望な鉱床に発展する可能性が高く、経済性のある鉱床の把握が期待されている。

イルガルン地区位置図

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