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原子力モニターの声


54.2
科学技術庁

昭和53年度原子力モニターについて

 原子力開発利用に関して、広く一般国民からの率直な意見等を聴取し、原子力行政の推進に資することを目的とした原子力モニターの制度も2年目となり、各都道府県知事より推薦のあった候補者のうち、本人の同意を得た511名に昭和53年度原子力モニターの委嘱を行っている。

 10月から12月までの3カ月間にモニターより寄せられた随時報告の概要は以下のとおりであるが、前年度にひきつづき原子力広報、原子力行政についての意見が多いほか原子力船「むつ」についての意見が今回は多く寄せられている。

 昭和53年10月、11月、12月の随時報告から

1 全国511名の原子力モニターから昭和53年10月、11月、12月中に寄せられた随時報告の件数は95件であり、これを事項別にみると、原子力広報についての意見が35件と最も多く、次いで原子力行政についての意見が15件、原子力船「むつ」についての意見が13件などとなっている(表1参照。)

 職業別にみると、主婦等が37件と最も多く、次いで商工サービス業が17件、自由業が15件となっている(表2参照。)

 また、年代別にみると、60代が23件と最も多く、次いで40代が21件、30代が19件などとなっている(表3参照)。

2 寄せられた意見の中で、原子力広報についての意見では、「広く住民の合意形成を図るためには知識啓蒙が必要であり、その手段として、政府等において、地域住民懇談会、講演会、研修会等の積極的な開催が必要である。」

「原子力の日のポスターはやわらかすぎてかえって原子力に対するイメージを悪くするような感じがする。」とした意見や、「新聞とか広報機関に少しずつでいいからエネルギーミニ知識程度に読みやすく、あまりむずかしくなく“このように原子力とは生活に密着しているのです”と例をあげて知らせるとよいと思う。」

 表1

 表2

 表3

「安全性を子供から老人まで理解しやすい方法でPRし、あわせてその必要性を広く強調されていくことを望む。」とした意見が寄せられた。

また、原子力行政についての意見では、
「原子力安全委員会の機能を最大限に利用し、原子力に21世紀のエネルギーの主役としての道を着実に踏みしめていってもらいたい。」
とした意見や、
「原子力発電所等を建設する際には、建設地元住民と血の通った対話と相互信頼は欠くことのできないことと思う。十分話し合いを行い、住民に納得させることが不可欠と思われる。」等の意見が寄せられた。

 原子力船「むつ」についての意見では、
「原子炉の修理、点検を終わったとしても、新しい母港、「むつ」の利用方法、コスト高の問題があると思う。日本原子力船開発事業団は、これらの問題にしっかり取り組んでもらいたい。」とした意見が寄せられた。

 また、廃棄物処理についての意見では、
「廃棄物そのものによって、人命や生物が危険にさらされるような事態が発生しないよう、科学的な研究がより一層望まれる。」
とした意見があった。

 再処理についての意見では、
「十分な規制を行う必要はあるが、日本国内でも早く再処理ができるようにしてほしい。」
とした意見が寄せられた。

 その他の意見では、
「火力発電の多い日本では多くの石油を使用しているがこれらの石油は全んど外国から買入れている。同じ買い入れならば、ウランを買って原子力を開発した方がよい。」とした意見などがあった。


(参考)

昭和53年度原子力モニター構成

 (1) 職業別

 (2) 年代別

 (3) 男女別

 (4) 都道府県別

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