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日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)


53原委第438号
昭和53年7月28日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和53年6月15日付け53安(原規)第180号(昭和53年7月18日付け、53安(原規)第221号をもって一部補正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号および第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。

(別添)

昭和53年7月21日
原子力委員会
  委員長 熊谷太三郎 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄

日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について

当審査会は昭和53年6月16日付け、53原委第346号(昭和53年7月18日付け、53原委第425号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。

Ⅰ 審査結果

 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「敦賀発電所原子炉設置変更許可申請書」(昭和53年5月25日付け、申請及び、昭和53年7月12日付け、一部補正)に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更内容

1 放射性固体廃棄物の廃棄施設の変更

 固体廃棄物貯蔵庫B棟を増設し、貯蔵能力をドラム缶詰廃棄物約35,000本に変更する。(変更前は約15,000本)

2 原子炉格納施設の変更

 原子炉格納施設に可燃性ガス濃度制御系を設置する。

Ⅲ 審査内容

1 放射性固体廃棄物の廃棄施設の変更

 本変更は固体廃棄物貯蔵庫B棟(貯蔵面積約4,400㎡)を増設し、貯蔵能力をドラム缶詰廃棄物約15,000本から約35,000本に変更するものである。本変更に伴い、増設分の貯蔵能力は原子炉から発生する量の10年分以上となる。

 本変更に当たってはしゃへい設計及び貯蔵方法等について十分考慮されており、妥当なものと判断する。

2 原子炉格納施設の変更

 本変更は、原子炉格納容器内の可燃性ガスの発生源として、冷却材喪失事故後におけるジルコニウム・水反応及び水の放射線分解を考慮して、これら可燃性ガス濃度を余裕をもって制御するため、可燃性ガス濃度制御系を設置するものである。

 本設備は、冷却材喪失事故が発生した後に、原子炉格納容器内雰囲気中の水素ガス濃度を4vol%以下あるいは酸素ガス濃度を5vol%以下に維持できるように設計される。

 水素又は酸素ガスの燃焼限界に関する各種の実験結果によれば水素又は酸素ガス濃度のいずれか一方が前述の制限値以下に維持されるならば、燃焼反応は生じないことが確認されている。

 可燃性ガス濃度制御系の容量を定めるに当たっては、十分な安全余裕をもった前提条件が用いられている。すなわち、ジルコニウム・水反応により発生する水素ガスは、ECCS解析値よりも更に厳しい値を採用し、水の放射線吸収に対する水素ガス及び酸素ガスの発生割合としては、水の放射線分解に関する各種の実験結果からみて十分な安全余裕をもった値であるG(H2)=0.5(分子/100eV)、及びG(O2)=0.25(分子/100eV)が用いられている。

 これらの条件を基に、冷却材喪失事故後における原子炉格納容器内可燃性ガス濃度の時間変化を検討した結果、本設備は、原子炉格納容器内の可燃性ガス濃度を制限値以下に十分抑制できると判断する。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和35年6月21日第171回審査会において、審査を開始し、昭和53年7月21日第172回審査会において審査を行い本報告書を決定した。


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