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東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)について(答申)


52原委第449号
昭和52年7月29日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和51年9月14日付け51安(原規)第81号(昭和52年7月19日付け52安(原規)第211号で一部補正)で諮問とあった標記の件は、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号及び第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。

(別添)

昭和52年7月20日
原子力委員会
  委員長 宇野 宗佑 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄

東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)に係る安全性について

 当審査会は、昭和51年9月14日付け51原委第796号(昭和52年7月19日付け52原委第445号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。

Ⅰ 審査結果

 東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉設置変更(1号原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「福島第二原子力発電所の原子炉設置変更許可申請書(昭和51年8月30日付け申請及び昭和52年7月11日付け一部補正)」に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更内容

1 燃料集合体の変更

 従来、本原子炉の燃料として7×7型燃料集合体を用いることとしていたが8×8型燃料集合体を使用することに変更する。

2 熱的制限値の変更

 炉心熱特性評価方法として従来の最小限界熱流束比に代え最小限界出力比による熱的制限値を採用する。

最小限界出力比
早期炉心 1.19
平衡炉心末期 1.26
(変更前は、最小限界熱流束比 1.9以上)

3 原子炉格納施設の変更

 原子炉格納施設に可燃性ガス濃度制御系を設置する。

4 放射性廃棄物の処理施設の変更

 廃棄物処理建家を設置し、液体廃棄物及び固体廃棄物を処理する。

5 固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵能力の変更

 固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵能力を約2年分に変更する。(変更前は約1年分)

6 使用済燃料プールの貯蔵能力の変更

 使用済燃料プールの貯蔵能力を約140%炉心分に変更する。(変更前は約130%炉心分)

7 主蒸気系の変更

 主蒸気系の一部として主蒸気隔離弁漏えい抑制系を設置する。

8 原子炉計測及び制御の変更

 原子炉計測及び制御に中央制御室外原子炉停止装置を設置する。

9 排気筒設置位置の変更
 気体廃棄物の廃棄施設を構成する排気筒の位置を原子炉中心の北西約260mに変がする。(変更前は原子炉中心の北西約200m)

Ⅲ 審査内容

1 燃料集合体の変更

(1)8×8型燃料集合体の構造

 本燃料集合体の構造設計の詳細は、原子炉安全専門審査会が採択した「沸騰水型原子炉に用いられる8行8列型の燃料集合体について」(8×8型燃料検討報告書)に記載のものとほぼ同様である。

 本原子炉に用いる燃料集合体の構造設計については、すでに8×8型燃料検討報告書において評価が行われているとおりであり、問題はない。

(2)核熱水力特性

 8×8型燃料集合体のみで構成される初期炉心から取替炉心までにおいて、局所ピーキング係数等に相違はあるが燃料集合体の無限増倍率、反応度係数等は、従来の7×7型燃料集合体炉心の場合と有意な差が生じないことを確認した。

 また、最大過剰増倍率の変更は、8×8型燃料集合体の採用に基づくものであるが、十分な反応度制御能力があることを確認しており、妥当なものと判断する。

 熱水力特性上の重要な特性値である最小限界出力比(MCPR)は、過渡時に限界値を下回らないように通常運転時の制限値が確保されることを確認した。

(3)安定性

 炉心の安定性に影響を及ぼす因子としての核特性及び熱水力特性は、8×8型燃料を使用した場合でも大差がなく、熱水力特性のうち炉心圧力損失及び燃料伝熱時定数は、多少異なるが、8×8型燃料集合体の諸特性値は燃焼等に基づく7×7型燃料集合体の諸特性値の変動幅の中に入っているか、あるいは有意な差がない。

 また、初期炉心から取替炉心におけるチャンネル水力学的安定性、炉心安定性及びプラント安定性について外乱を与えて解析した結果から特に問題となることはなく、さらにキセノン空間振動についても本原子炉が有する出力反応度係数は、十分負の値であり、空間振動を十分抑制することができると判断する。

2 熱的制限値の変更

 新しい炉心熱特性評価方法を採用することに伴い、熱水力特性及び過渡現象解析結果の検討を行って熱的制限値の妥当性を確認した。

(1)熱水力特性

 本変更は、新しい炉心熱特性評価方法を採用することに伴うものであるが、この手法の詳細は、原子炉安全専門審査会が採択した「沸騰水型原子炉の炉心熱設計手法及び熱的運転制限値決定手法について」(炉心熱設計検討報告書)に記載のとおりである。

 本原子炉の熱水力特性を同検討報告書に基づいて評価した結果、問題はないと判断する。

(2)過渡現象解析

 通常運転時の熱的制限値を定めるため、過渡現象解析に基づき最小限界出力比(MCPR)の変化(以下ΔMCPRという。)を評価し、最大のΔMCPRを生ずる過渡変化を確認した。その結果、本原子炉において最大のΔMCPRを生ずる過渡変化は、早期炉心については給水加熱喪失、また平衡炉心末期については発電機負荷しゃ断(タービン・バイパス弁不動作)でありΔMCPRはそれぞれ0.12及び0.19である。したがって、通常運転時のMCPR制限値をそれぞれ1.19及び1.26とすることにより、過渡変化時のMCPRは限界値1.07を下回らない。

 また、解析の前提条件の変更に伴い原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性についても確認した。その結果、原子炉圧力が最大となるのは発電機負荷しゃ断(タービン・バイパス弁不動作)であり、早期炉心での最大圧力は約79.8㎏/㎝2g、また平衡炉心末期での最大圧力は約80.1㎏/㎝2gである。これらの値は、設計圧力の1.1倍の圧力(96.7㎏/㎝2g)を下回っている。

3 可燃性ガス濃度制御系

 本変更は、原子炉格納容器内の可燃性ガスの発生源として、冷却材喪失事故後における非常用冷却水の放射線分解をも考慮して、これら可燃性ガス濃度を余裕をもって制御するためのものである。

 本系統は、冷却材喪失事故が発生した後に原子炉格納容器内雰囲気中の水素ガス濃度を4vol%以下あるいは酸素ガス濃度を5vol%以下に維持するように設計される。

 水素又は酸素ガスの燃焼限界に関する各種の実験結果によれば水素又は酸素ガス濃度のいずれか一方が前述の制限値以下に維持されるならば、燃焼反応は生じないことが確認されている。

 可燃性ガス濃度制御系の容量を定めるに当たっては、十分な安全余裕をもった前提条件が用いられている。すなわち、放射線吸収に対する水素ガス及び酸素ガスの発生割合としては、水の放射線分解に関する各種の実験結果からみて十分な安全余裕をもった値であるG(H2)=0.5(分子/100eV)及びG(O2)=0.25(分子/100eV)が用いられている。

 これらの条件を基に、冷却材喪失事故後における原子炉格納容器内可燃性ガス濃度の時間変化を検討した結果、本系統は、原子炉格納容器内の可燃性ガス濃度を制限値以下に十分抑制できると判断する。

4 放射性廃棄物処理施設の変更

 本変更は、原子炉建家及びタービン建家内において放射性廃棄物を処理することとしていた従来の設計を廃棄物処理専用の建家を新設し、この建家内において液体廃棄物及び固体廃棄物を処理するように変更するものである。

 この廃棄物処理建家は、本原子炉の西方約70mに耐震設計Bクラスで建設し、主要な処理設備は2系統設け、十分な処理能力を有するように設計され、また、同建家は放射線遮蔽及び放射線管理区分等を適切に行い従事者に対する被曝防止についても十分配慮するよう設計される。

 以上のことから本施設の変更は、妥当なものと判断する。

5 固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵能力の変更

 本変更は、固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵面積を約2,000㎡から約4,000㎡に拡大し、固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵能力を約1年分から約2年分に変更するものである。

 本変更に当たっては、遮蔽設計及び貯蔵方法等について、十分考慮されており妥当なものと判断する。

6 使用済燃料プールの貯蔵能力の変更

 本変更は、従来からの使用済燃料プールの基本的な設計方針を変えない範囲で使用済燃料設備の貯蔵能力を約130%炉心分から約140%炉心分に増加するものである。

 本変更に伴う貯蔵ラックの増設によっても使用済燃料設備の未臨界性については、仮に新燃料を装荷したとしても保たれ、また、使用済燃料貯蔵プール水は、従来の冷却系により十分冷却される能力を有している。

 以上のことから貯蔵能力の増加に伴う安全性は特に問題がないと判断する。

7 主蒸気隔離弁漏えい抑制系

 本変更は、主蒸気管破断事故が生じた場合に、周辺環境へ放散される放射性物質の量をできるだけ低く抑えるために主蒸気隔離弁漏えい抑制系(以下MSIV-LCSという。)を設置する。

 この系は、格納容器外側の主蒸気隔離弁(第2弁)の下流側に設置される主蒸気隔離弁漏えい抑制系止め弁(以下主蒸気第3弁という。)と、格納容器内外の主蒸気隔離弁間及び格納容器外側の主蒸気隔離弁と主蒸気第3弁間からサプレッション・プールへ導く配管系と原子炉棟を介して非常用ガス処理系へ導く配管系とから構成される。

 この系統は、主蒸気管破断事故において格納容器内側の主蒸気隔離弁(第1弁)と同外側の主蒸気隔離弁(第2弁)が閉弁した後の弁シートからの漏えい蒸気をサプレッション・プール又は原子炉棟を介して非常用ガス処理系へ導くよう設計される。

 本系統の設計目標は、主蒸気第3弁の下流において、主蒸気管1本の破断を想定した場合において、主蒸気隔離弁又はMSIV-LCSに対しての機器の単一故障を想定し、かつ、各弁個々の漏えい率を原子炉圧力容器の蒸気相の体積に対して約40%/d(逃がし安全弁最低設定圧力において。)とした場合でも全主蒸気第3弁からの漏えい率を合計で10%/d以下にすることであり、この漏えい率は、計算結果によれば8.4%/dを超えることはなく、設計目標は満されている。

 以上のことからMSIV-LCSの性能は確保されるものと判断する。

8 中央制御室外原子炉停止装置

 本装置は、中央制御室の火災等の緊急時に当たって原子炉冷却操作の容易さを増すものであって、スクラム後本装置盤上に設けられた切替スイッチを切替えることにより、中央制御室内での制御回路の短絡、断線あるいは接地等とは無関係に、①一部の逃がし安全弁の制御 ②原子炉隔離時冷却系の制御並びに ③残留熱除去系の1系統の制御が可能である。

 なお、本装置は誤操作防止等のため常時は施錠等の防護策を講ずることとしている。

 以上のことから本装置を設置することは安全上妥当なものと判断する。

9 その他

1)原子炉補機冷却系

 本変更は、原子炉補機冷却系の海水冷却式熱交換器を原子炉建家内に設置することとしていたものを、海水を原子炉建家内に導入させないため、取水口に近い場所に海水熱交換器建家を新設し、この建家内に設置する海水冷却式熱交換器の二次側の淡水を原子炉建家内に増設される淡水冷却式熱交換器の一次側冷却水として使用するものである。

 本変更の熱交換器増設に伴う冷却性能は、従来と変らない。

2)活性炭式希ガス・ホールドアップ装置建家

 本変更は、従来、活性炭式希ガス・ホールドアップ装置を原子炉建家に設置することとしていた設計に代え原子炉建家の西側に隣接して、活性炭式希ガス・ホールドアップ装置建家を新設するものである。したがって、廃棄設備の性能は、従来と変らない。

3)原子炉冷却材再循環ポンプ・トリップ機構

 本変更は、発電機負荷の急激な減少及び喪失時に逃がし安全弁を作動させる機構を廃止して、タービン・トリップ又は発電機トリップ時に原子炉冷却材再循環ポンプ用モータとの遮断器を遮断し、冷却材再循環ポンプをトリップさせる機構が設けられる。

 本変更に伴う運転時の異常な過渡変化解析の結果より、原子炉の安全性に影響を及ぼすことはないと判断する。

10 平常運転時における原子炉施設周辺の被曝線量評価

 排気筒設置位置の変更等に伴い、本原子炉施設からの平常運転時に放出される放射性気体及び液体廃棄物中の放射性物質による原子炉施設周辺の被曝線量評価を行った。

 評価に際しては、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」に基づいて行った。

 その結果によれば、敷地境界外で放出放射性希ガスからのγ線による全身被曝線量が最大となる地点は、排気筒の南方約700mの敷地境界であり、その地点における全身被曝線量は、液体廃棄物中の放射性物質の寄与を含めて、年間約1.0mremである。また、気体廃棄物中の放射性よう素に起因する甲状腺被曝線量が最大となる地点は、排気筒の北方約900mの敷地境界附近であり、その地点における年間被曝線量は、液体廃棄物中の放射性よう素の寄与分を含めて約2.9mrem(幼児)である。

 これらの評価結果は、いずれも「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」に示される線量目標値を下回っている。

11 事故解析

 今回、燃料設計の変更とともに解析方法及び前提条件にも各種の変更があったので、これらも含めて万一の事故を想定した場合について原子炉施設の安全性を確認するために解析結果について評価を行った。

1)制御棒落下事故

 本解析を行うに際してこの主要な入力値は、制御棒の落下速度及び落下制御棒の印加反応度である。制御棒落下速度は、落下速度リミッタにより制限される0.95m/sを用い、落下制御棒の印加反応度については、実際に予想されるよりも保守的な落下制御棒価値曲線と制御棒価値ミニマイザによる制限値である0.015Δkの反応度価値を用いているほか、スクラム制御棒の炉心そう入速度、局所ピーキング係数等が変更されている。これらは、いずれも従来よりも詳細な解析及び評価に基づいて変更されたものであり妥当である。

 これらの条件に基づき、最大反応度価値を有する制御棒1本が炉心から落下する事故を想定して解析された結果から、原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性は十分維持されるものと判断する。

2)冷却材喪失事故

 冷却材喪失事故の炉心冷却については、原子力委員会が決定した「軽水型動力炉の非常用炉心冷却系の安全評価指針」に基づいて評価を行った。

 すなわち、燃料に対して最も厳しい影響を与える再循環系の最大口径配管1本の完全両端破断を想定した場合の解析結果は燃料被覆管最高温度は約886℃、燃料被覆管が局所的に酸化される部分の最大値は燃料被覆管厚さの0.3%である。また、水-ジルコニウム反応割合は全燃料被覆管のジルコニウムの約0.04%であり十分小さい。

 したがって、これらの解析結果は制限値である被覆管最高温度1,200℃及び局所的酸化量15%を下回るとともに、燃料棒の重大な損傷を防止でき、かつ、長期的な炉心冷却を確保することができると判断する。

 なお、再循環系の最大口径配管1本の完全両端破断を想定した場合の非常用冷却水の放射線分解に伴う格納容器内の可燃性ガス濃度の変化について解析されている。この結果によれば、放射線分解による水素、酸素ガスの発生量を十分大きく見積って評価しても、可燃性ガス濃度制御系により格納容器内の水素、酸素ガス濃度は、燃焼限界以下に抑え得られるので妥当なものと判断する。

3)主蒸気管破断事故

 冷却材喪失事故の場合と同様、主蒸気管破断事故にも8×8型燃料集合体は、7×7型燃料集合体の場合と比較して熱的余裕が増加している。

 主蒸気管1本の瞬時完全破断を想定して解析を行った結果によれば、MCPRは事故期間を通じて限界値を下回ることはなく、燃料被覆管に損傷が生じるおそれはないものと判断する。

12 災害評価

 排気筒設置位置の変更等に伴い各種安全防護施設との関連において立地条件の適否を判断するために「原子炉立地審査指針」に基づいて重大事故及び仮想事故を想定し、これらの場合の冷却材喪失事故及び主蒸気管破断事故の解析結果について災害評価を行った。

 解析に当たっては、「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」、「被曝計算に用いる放射線エネルギー等について」等その後における新しい指針等がとり入れられている。

 解析結果によれば、冷却材喪失事故における大気中に放出される核分裂生成物の量は、重大事故において、よう素約2.46×102Ci(I-131等価量、以下同じ。)、希ガス約1.49×104Ci(γ線実効エネルギー0.5MeV換算値、以下同じ。)、仮想事故において、よう素約1.29×104Ci、希ガス約7.57×105Ciであって、敷地境界附近における一般公衆に対する最大被曝線量は、重大事故の場合、甲状腺(小児)に対し約0.61rem、全身に対しγ線約4.9mrem、仮想事故の場合、甲状腺(成人)に対し約8.0rem、全身に対しγ線約0.25remとなる。

 一方、主蒸気管破断事故における大気中に放出される核分裂生成物の量は、重大事故において、よう素約2.56×102Ci、希ガス約3.69×103Ci、仮想事故において、よう素約7.49×102Ci、希ガス約1.18×104Ciであって、敷地境界附近における最大被曝線量は、重大事故の場合、甲状腺(小児)に対し約34rem、全身に対しγ線約27mrem、仮想事故の場合、甲状腺(成人)に対し約22rem、全身に対しγ線約47mremとなる。

 なお、この解析の評価に際しては主蒸気第3弁の効果を、考慮していない。

 以上の被曝線量は、いずれも「原子炉立地審査指針」に示された目やすとしての線量を十分下回るものである。

 また、本変更に伴って国民遺伝線量を評価するため、仮想事故の際の全身被曝線量について解析結果を評価した。この解析の結果によれば、全身被曝線量の積算値が最大となるのは、冷却材喪失事故の場合であって、その値は1,975年の人口に対し約22万man-rem、2,020年の推定人口に対し約28万man-remである。

 これらの値は「原子炉立地審査指針」に国民遺伝線量の見地から目やすとして示されている参考値を十分下回るものである。

Ⅳ 審査経過

 審査会は、昭和51年9月20日第151回審査会において、次の委員からなる第126部会を設置した。

(審査委員)

竹越 尹(部会長)電子中央研究所
西脇 一郎
宇都宮大学
渡辺 博信
放射線医学総合研究所
(調査委員)

吉田 芳和
日本原子力研究所
斯波 正誼
   〃
森内 和之
電子技術総合研究所
井上 晃次
動力炉・核燃料開発事業団

 同部会は、通商産業省原子力発電技術顧問会と合同で審査を行うこととし、昭和51年10月7日に第1回会合を開催した。

 以後部会及び審査会は審査を行ってきたが昭和52年7月15日の会合において部会報告書を決定し、同年7月20日第161回審査会において報告書を決定した。

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