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四国電力株式会社伊方発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)について(答申) 52原委第340号
昭和52年6月7日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
昭和52年4月4日付け52安(原規)第69号(昭和52年5月18日付け52安(原規)第161号で一部補正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。 記 ① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号及び第3号については適合しているものと認める。 ② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。 (別添)
昭和52年5月20日
原子力委員会
委員長 宇野 宗祐 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
四国電力株式会社伊方発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)に係る安全性について
当審査会は、昭和52年4月5日付け52原委第216号(昭和52年5月18日付52原委第326号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。 Ⅰ 審査結果 四国電力株式会社伊方発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「伊方原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(昭和52年2月25日付け申請、昭和52年5月11日付け一部補正)」に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。 Ⅱ 変更内容 1 濃縮度の変更
取替燃料(第4領域以降)のウラン235濃縮度を、約3.28wt%とする。(従来は約3.4wt%)
2 バーナブル・ポイズンの使用
取替炉心においても、バーナブル・ポイズンを炉心に分布配置して使用する。 使用本数は、656本以下とする。 (従来は、初装荷炉心のみの使用で本数は712本)
3 核的制限値等の変更
核的制限値等の内、次の項目の記載の変更を行なう。 (1)最大過剰反応度を、0.24ΔK以下とする。(従来は初装荷炉心0.24ΔK以下、平衡炉心0.19ΔK以下)
(2)サイクル初期における出力運転時の1次冷却材中のほう素濃度を約1,000~約1,6000ppmとする。 (従来は初装荷炉心初期約1,300ppm、平衡炉心初期約1,100ppm)
(3)反応度制御能力を、0.25ΔK以上とする。(従来は初装荷炉心0.25ΔK以上、平衡炉心0.20ΔK以上)
Ⅲ 審査内容 1 濃縮度の変更
取替燃料の濃縮度の変更は、燃料取替を、約290EFPD(換算全出力日)ごととすることに伴うものである。(従来は300EFPDごと)
この取替燃料も従来の燃料設計方針に従い設計されるものであり、燃料の健全性に問題はないと判断する。 2 バーナブル・ポイズンの使用
本変更は、今後1号炉の取替炉心において新燃料装荷数が増大する可能性があり、その取替炉心においても、炉心固有の安全性の保持及び炉心出力分布の平坦化をはかるためのものである。 バーナブル・ポイズン棒の健全性については炉内における挙動をふまえて健全性の評価を行った。 バーナブル・ポイズン棒は、ステンレス鋼の被覆管を使用し、非加圧設計になっているので被覆管にかかる応力はB10の(n,α)反応により発生するヘリウムガスが少ない初装荷炉心サイクル初期に最大となるが、この場合でも被覆管の許容応力を超えるような応力にはならない。 また、バーナブル・ポイズン棒の材料であるほうけい酸ガラスに予想される使用温度についても検討したが軟化点に比し十分に低い。 このことから、1号炉の取替炉心でバーナブル・ポイズンを使用することは問題ないと判断する。 3 取替炉心の安全性評価
ウラン235濃縮度を変更した取替燃料及びバーナブル・ポイズンを使用する取替炉心での安全性の評価を行った。 この結果、減速材温度係数及びドプラ係数が、従来安全性の評価に用いていた値より僅かに負側に移行するが、その影響を受けて変動すると考えられる事故として冷水事故及び主蒸気管破断事故について検討した結果いずれの場合においても最小DNB比は1.30を上まわり、1次冷却材圧力は最高使用圧力の1.1倍より低く、問題のないことを確認した。 なお、変更後の取替炉心に係る制限値は従来の制限値を満足する範囲内における変更であり、問題ないことを確認した。 以上のことから炉心の安全性は確保出来るものと判断する。 Ⅳ 審査経過 本審査会は、昭和52年4月19日第158回審査会及び同年5月20日第159回審査会において審査を行い、本報告書を決定した。 |
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