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関西電力株式会社美浜発電所第1号機の燃料体の損傷に関し、同社に対する措置及び定期検査体制等の強化について 昭和52年2月23日
科学技術庁
通省産業省
関西電力株式会社美浜発電所において昭和48年に発生した同発電所第1号機の燃料体の損傷事故及びこれに関する同社の措置については、科学技術庁及び通商産業省は、それぞれ昭和52年2月3日付けで文書をもって同社に対し厳重に注意を喚起し、強く反省を促すとともに、再びこのような事態を繰り返さないよう同社の保安管理体制の総点検等について指示を行ったところである。 科学技術庁及び通商産業省は、その後更に本件について検討を重ねた結果、同社が当該事故について報告を行わなかったことは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)第67条及び電気事業法第106条の報告を怠ったものであると考える。よって科学技術庁及び通商産業省は、ここに次の措置を講ずることとする。 1 関西電力株式会社に対する措置
(1) 本件の重大性にかんがみ、同社に対し、事故原因の詳細な究明及びこれに伴う事後措置が完了するまでの間、美浜発電所第1号機の運転再開を延期すべきことを指示する。 (2) 原子炉等規制法及び電気事業法の規定に違反した者であって、主任技術者免状の交付を受けているものに対しては原子炉等規制法第41条第3項及び電気事業法第55条の規定に基づき、その免状の返納を命ずる手続きをとることとする。 (3) 本件に関する当時の同社内の責任体制を明らかにし、その対応につき遺漏なきを期するよう(2)の措置と併せて指示する。 (4) 昭和52年2月3日付けをもって同社に対し指示した事項については、早急にその措置を講ずるよう重ねて指示する。(注)なお、原子炉等規制法第67条及び電気事業法第106条に係る違反の点については、既に3年間の公訴時効が完成しているため、現時点では、これを告発することができない。 2 定期検査体制等の強化
(1) 通商産業省は、省内の配置転換を含めて電気工作物検査官の増強を図り、電気事業法に基づく定期検査の実施に関し、同検査官の立会回数及び立会下における検査項目を増加する等定期検査の一層の充実を図ることとする。 (2) 科学技術庁及び通商産業省は、原子力発電所に対する立入検査を強化し、保安規定の遵守状況、主任技術者の職務遂行状況等に関する監督に万全を期することとする。 (3) 科学技術庁及び通商産業省は、原子炉設置者たる電気事業者に対して報告義務を厳守させることはもとより、運転上その他原子力発電所の工事、維持及び運用に係る軽微な故障についても報告させるようさらに一層指導することとする。 |
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