前頁 | 目次 | 次頁 | ||||||||||||||||||||||||
原子燃料工業株式会社熊取製造所における加工事業の変更について(答申) 51原委第1024号
昭和51年12月14日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
昭和51年10月26日付け51安(核規)第2335号をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。 記 (1)標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第16条第3項において準用する同法第14条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号及び第2号については適合しているものと認める。 (2)上記許可の基準のうち第3号については、別添の核燃料安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告のとおり適合しているものと認める。 (別添)
昭和51年12月7日
原子力委員会
委員長 前田 正男 殿
核燃料安全専門審査会
会長 山本 寛
原子燃料工業株式会社熊取製造所における加工事業の変更に係る安全性について
当審査会は、昭和51年10月26日付け51原委第907号をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告します。 Ⅰ 審査の結果 原子燃料工業株式会社熊取製造所の加工事業の変更に関し、同社が提出した「核燃料物質の加工の事業の変更許可申請書」(昭和51年10月20日付け申請)について、「加工施設の安全審査指針」に基づき審査した結果、「Ⅲ審査の内容」に示すとおり、本加工事業の変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。 Ⅱ 変更の内容 本変更に係る加工施設は、軽水炉用燃料(濃縮度4%以下のウラン)及び研究炉用板状燃料(濃縮度93.5%以下のウラン)の成型組立を行う施設である。 本変更は主として軽水炉用燃料の加工施設に関するものであり、その内容は以下のとおりである。 1 集合体保管室の設置
主建家を増設し、その一部を集合体保管室とする。 2 分析設備の移設
主建家の一部を改造し、別棟にあるウラン関係分析設備を移設して分析室を設ける。 3 二酸化ウラン粉末等の貯蔵設備の増強及び整備
主建家内の二酸化ウラン粉末、ペレット、燃料棒等の貯蔵設備の増強及び整備を行う。 4 その他
上記変更に関連して、主建家内設備の一部撤去、資材部品検査室の新設等を行う。 なお、本変更により加工能力は変わらない。 Ⅲ 審査の内容 本変更にあたっては、以下のとおり適切な配慮がなされているので、変更に伴う安全性は確保されるものと判断する。 1 放射線管理
(1)集合体保管室の放射線管理
本変更により新設される集合体保管室の放射線管理については、この区域が密封状態のウランのみを貯蔵する区域であるため、室内のウランによる汚染のおそれは極めて少なく、また、大量のウランを貯蔵する区域ではあるが、室内の空間放射線の線量率は特別のしゃへいを必要とするほど高くならないので、従来の組立室等と同様に第2種管理区域(密封状態のウランのみを取り扱う区域)として作業者に個人被ばく測定用具を着用させ、定期的に室内の汚染検査等を実施することとしている。 (2)分析室の放射線管理
本変更により主建家の一部が改造され、ウラン関係分析設備が移設されて分析室となるが、その放射線管理については、この区域が非密封状態のウランを取り扱う区域であるため、従来のペレット室と同様に第1種管理区域(非密封状態のウランを取り扱う区域)として(1)で述べた第2種管理区域の管理に加えて空気を汚染するおそれのある設備には局所排気設備を設け、エアースニッファ等によって空気中のウラン濃度を監視するとともに、退出する者については必ず汚染のモニタを行うこととしている。また、環境へのウランの放出を防止するために、室内を常時負圧に維持するとともに、室内排気及び局所排気についてはフィルタ及び排気監視設備を備えた排気設備により行うこととしている。さらに、分析室において発生する廃液については、既設の廃液処理設備に送り、処理することとしている。 (3)二酸化ウラン粉末、ペレット、燃料棒等の貯蔵設備の放射線管理
本変更によって二酸化ウラン粉末、ペレット、燃料棒等の各貯蔵設備について移設、新設、改造等が行われるが、それらの設置される各区域の放射線管理は、取り扱うウランの状態が密封状態であるか否かに応じてそれぞれ第1種管理区域又は第2種管理区域として行うこととしている。 (4)その他
上記の変更のほか、主建家内設備の一部が撤去され、また、ウランを全く取り扱わない資材部品検査室、事務室等が新設されるが、これらについては、放射線管理に関する問題はない。 2 臨界管理
(1)集合体保管室の臨界管理
本変更により新設される集合体保管室には燃料集合体保管ラックを設置し、軽水炉用の燃料集合体を貯蔵することとなっているが、その臨界管理については、燃料集合体の配置が核計算コード及び立体角法による計算によって核的安全性の確認されたものとなるように燃料集合体保管ラックの形状及び配置を制限することとしている。 (2)分析室の臨界管理
本変更により主建家に設けられることとなる分析室の臨界管理については、極めて少量のウランを取り扱うものであるので、分析室全体で取り扱うウランの質量を制限することとしている。 (3)二酸化ウラン粉末、ペレット、燃料棒等の貯蔵設備の臨界管理
本変更によって軽水炉用燃料の原料となる二酸化ウラン粉末を容器に収納して保管する粉末保管ラックが更新されるが、新設される粉末保管ラックの臨界管理については、二酸化ウラン粉末を収納した容器の配置が核計算コード及び立体角法による計算によって核的安全性の確認されたものとなるように容器に収納する二酸化ウラン粉末の質量並びに粉末保管ラックの形状及び配置を制限することとしている。 本変更によって軽水炉用燃料の中間製品であるペレットをペレットトレイに収納して保管するペレット保管ラックが更新されるが、新設されるペレット保管ラックの臨界管理については、ペレットトレイの配置が核計算コードによる計算によって核的安全性の確認されたものとなるように、ペレット保管ラックの形状を制限し、かつ、他の区域と十分に厚いコンクリート壁で仕切ることとしている。 本変更によって軽水炉用燃料の中間製品である燃料棒を保管する燃料棒保管ラックが改造されるが、改造後の燃料棒保管ラックの臨界管理については、燃料棒の配置が核計算コード及び立体角法による計算によって核的安全性が確認されたものとなるように燃料棒保管ラックの形状及び配置を制限することとしている。 その他、軽水炉用燃料の製造工程中に発生するスクラップを保管するスクラップ保管ラックが移設されるが、その臨界管理は、粉末保管ラックと同様に行うこととしている。 (4)その他
上記の変更のほか、主建家内設備の一部が撤去され、また、ウランを全く取り扱わない資材部品検査室、事務室等が新設されるが、これらについては、臨界管理に関する問題はない。 3 耐震耐火性
主建家の増設改造部分は、水平震度0.25に耐えられる耐震構造で、かつ、簡易耐火建築物とすることとしている。 新設される資材部品検査室の建物は、水平震度0.2に耐えられる耐震構造で、かつ、簡易耐火建築物とすることとしている。 また、今回変更される貯蔵設備、分析設備等及びこれらの変更に関連して追加される放射性廃棄物の廃棄設備等についても、主要なものは、水平震度0.3に耐えられる構造とし、かつ、材質は不燃材を主体とすることとしている。 4 事故評価
今回変更の内容は、従来想定している事故の規模に影響を及ぼすものではないので、その事故評価の内容を変更する必要はない。 Ⅳ 審査の経過 本審査会は、次表のとおり、昭和51年11月1日第3回審査会において審査を行い、引き続き加工・使用部会において昭和51年11月16日及び12月7日に審査を行い本報告書を決定した。 なお、同部会の委員は、次のとおりである。 部会委員
| ||||||||||||||||||||||||
前頁 | 目次 | 次頁 |