原子力委員会参与会 第12回 〔日 時〕昭和34年12月17日(木)14.00〜16.00 〔場 所〕東京都千代田区永田町2の1総理官邸 〔出席者〕稲生、大屋、岡野、菊池、久留島、瀬藤(代理石川)、高橋、三島、安川、山県、脇村各参与 〔配布資料〕 1.原電発電炉の設置について 安川参与:GECとの契約について問題を来日中のミラー副社長と折衝している。22日までに問題をかたづけたいと考えている。その後燃料問題に入りhead of contractをまずきめたい。 2.原子力災害補償制度について 島村次長から資料3を説明した。 岡野参与:国家の補償料を多く取っては意味がない。産業を助長することを考えてほしい。 有沢委員:補償料は高いものではない。 大屋参与:補償料はある程度のものを取ったほうが名目が立つということならば、少額の補償料を取ってもよい。この専門部会の答申の線に沿った法案を国会に提出して通してほしい。 中曽根委員長:国会はともかく、まず大蔵省の賛成を得ることが問題と考えている。 山県参与:原子力船を考えると原子炉の所有者と運転者とが別の場合が考えられる。損害賠償責任はどちらが負うか。 島村次長:原子炉を設置し運転する許可を得たものという考えをとっており、運転者と設置者とをわけて考えていない。将来これでは不都合な事態が生ずれば別途検討を要することとなる。専門部会の答申では原子力船も含めて言っているので、原子力船も含めるという考えで立法を考える。いっしょにできないとわかれば原子力船を別個に考える。 岡野参与:災害補償の法律ができたために外国に比べて日本の産業が不利にならぬように、外国の法律をよく検討してほしい。 井上政策課長:原子力船調査団の一員として欧米を回ってきた。各国とも原子力船の災害補償については確たる成案を持っていない。アメリカのサバンナ号は再来年日本にも来るが、各国に入港の許可を求めている。これに対する各国の考えは、技術的資料をくれないと許可できないこと、また、仮に入港を許可したときはアメリカに災害補償の措置を講じてほしいということである。アメリカではサバンナ号が外国に行けばプライス−アンダーソン法をサバンナ号にも適用することを決めたので、災害を起こせば5億ドルまでを米国政府が負担することになる。原子力船は各国の港に寄港するから、災害補償の考え方も国際的に基準を統一しておかねばならないと考える。 菊池参与:メーカーの免責に対する考え方はどうなっているか。 島村次長:第三者に対する責任は原子力事業者に集中する立前となっている。ただし、原子力事業者はメーカー等に求償できるとなっている。外国のメーカーの場合にもこれは及ぶが、多くの場合、向うが求償権の放棄を契約にあたって要求してくると思われる。 山県参与:外国への再保険について問題はないか。 島村次長:外国では地震を除外するという考えが強いので問題がある。 |