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第44号 原子力委員会メールマガジン 「グライフスヴァルト発電所(ドイツ)の解体現場を訪ねて」

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年12月11日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 松田委員からひとこと グライフスヴァルト発電所(ドイツ)の解体現場を
┃            訪ねて
┣ 定例会議情報 大綱政策評価「放射線利用」に係るヒアリング
┃        原子力に関する世論調査
┃        平成22年度原子力関係経費の見積り 等
┣ 部会情報等  国際専門部会(第5回)の開催について
┃        原子力防護部会(第15回)について
┣ 事務局だより 語学留学中?
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
グライフスヴァルト発電所(ドイツ)の解体現場を訪ねて   松田美夜子

 ベルリンから北へ230km、バルト海の近くにハンザ同盟の都市として栄えた風
光明媚な町・グライフスヴァルトがあります。グライフスヴァルト発電所は、こ
の町から20km先のバルト海に面して位置し、広大な敷地(幅2.7km、奥行き1.7km)
に440MWの原子力発電所が8基並んでいます。現在その全てが解体中。EUでもっと
も大きな廃炉プロジェクトが進行しています。2012年には、解体がすべて終了
し、跡地はきれいな更地になるという活気に満ちた解体現場を夏の休暇を利用し
て訪ねました。

 廃炉事業を行っているのはEWN社。代表取締役(CEO)ディエタ・リッチャー氏と
ともに、解体、中間貯蔵、除染、検認など、ここで行われている廃炉プロジェク
トの全ての工程を、2日間かけて見学しました。

 グライフスヴァルトの原子力発電所が全て廃炉になった経緯は、1986年のチェ
ルノブイリ事故や、1990年の東西ドイツ統一などの歴史と深く関わっています。
東ドイツに属していたグライフスヴァルトは、旧東ドイツのエネルギー基地とし
て8基の旧ソ連型原子力発電所の建設計画があり、1973年に1号機を稼動しそれ以
来4号機までを次々に稼動しました。

 統一ドイツは、旧ソ連型原子炉をEU水準に合わないという理由で、すべて停止
することを1990年に決定。グライフスヴァルトでは、稼動していた4基の発電所
に加えて、25日間の試運転を終えたばかりの5号機、完成したばかりで試運転も
していない6号機、ほぼ完成に近づいていた7号機と8号機も廃炉の対象となり、
8基、全ての原子炉の廃止措置が決まったのです。

 解体については、グライフスヴァルト発電所の建設現場で働いていた人たちが
携わることになり、EWN社がスタートしました。社員は約1000名。ドイツ連邦政
府の出資会社で、現在ドイツ国内で、廃止措置を担当する最大の企業です。180
万トンの解体廃棄物が出ますが、97.8%は即時市場に出してリサイクルをしてい
ます。中間貯蔵と埋設処分は全体の2.2%・4.5万トンに過ぎません。廃止措置は
大きなリサイクル産業に成長しています。クリアランス済みの金属は一般市場へ
どんどん売却されています。

 EWN社は、解体事業で開発した技術(ノウハウ、工具・装置など)を基に、ロ
シアの古いUボート(原子力潜水艦)の解体の受注をうけ、今後160隻の解体を行
うそうです。さらにEU各国の廃炉ビジネスに進出し、中国とも技術提携を進めて
います。

 帰国後、廃炉視察の報告会を11月18日に開催しました。原子力安全委員会、文
科省、経産省、環境省、JAEA、RANDEC、電気事業者など、たくさんの関係者の方
々が垣根を越えてご参加くださり、とても励まされました。クリアランスされた
廃棄物が、ドイツのようにどんどん市場に出荷されていく日を目指して、私も応
援をつづけます。


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●12月1日(火)第44回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3
号、4号、5号、6号及び7号原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力安
全・保安院)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院より、東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所の1号から7号
原子炉施設の放射性廃棄物処理系装置の変更等に関する原子炉の設置変更申請に
ついて説明があり、当委員会に諮問されました。

・関西電力高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施
設の変更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院より、関西電力(株)高浜発電所の1号から4号原子炉施設
に関して、1号及び2号原子炉施設における高燃焼度燃料の採用とそれに伴う関
連設備の変更、1号から4号原子炉施設共用の使用済燃料輸送容器保管建屋の一
時保管対象物の追加等に関する原子炉の設置変更申請について説明があり、当委
員会に諮問されました。

・ITER理事会の結果報告について(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、11月18,19日に仏国カダラッシュにおいて開催された第5回
ITER理事会の結果について報告がありました。理事会では、ITER機構等
の活動報告、予算の報告と承認が行われたほか、ITER計画ベースライン文書
について議論が行われました。議論では、各極が受入れ可能なスケジュールを来
年2月までに示すことをITER機構に求めることとなりました。
 委員より、理事会において我が国が主張した内容、ITER計画が遅れる可能
性や対策等について質問がありました。また、国際協力で行う大規模プロジェク
トのマネジメントやガバナンスの課題、国民への説明の重要性等についてコメン
トがありました。

・産総研における原子力研究について(産業技術総合研究所)
<主なやりとり等>
 (独)産業技術総合研究所より、同研究所で実施している原子力研究の規模や
内容、成果等について説明がありました。原子力研究については、平成21年度は
原子力試験研究費により、22のテーマについて約2億3300万円の予算で研究が行
われています。幅広い研究分野と高いポテンシャルを生かし、原子力研究につい
ては、特に先端基盤研究の分野で貢献しており、今後も原子力分野を支える人材
育成に貢献していくこととしています。
 委員より、(独)日本原子力研究開発機構との役割分担、国際協力の取組、同
研究所で行っている地質調査が放射性廃棄物の処分に貢献できる可能性等につい
て質問がありました。

・原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る関係機関ヒアリング(放射線
医学総合研究所)について
<主なやりとり等>
 第39回定例会議において決定した、原子力政策大綱に示される「放射線利用」
に関する政策の評価の一環として、(独)放射線医学総合研究所より放射線利用
に係る取組の現状と課題についてヒアリングを実施しました。
 同研究所より、重粒子線がん治療、分子イメージング、放射線安全等の原子力
利用・安全研究分野の活動について説明がありました。
 委員より、放射線医療に携わる医師の不足問題の原因と対策、分子イメージン
グの重要性に関する認識等について質問がありました。また、放射線利用につい
ての成果をアピールすべきなどのコメントがありました。

・平成22年度原子力関係経費の見積りについて
<主なやりとり等>
 事務局より、平成22年度予算の概算要求における原子力関係経費について、説
明がありました。これを受けて、原子力政策大綱及び平成22年度原子力関係経費
の基本方針に照らして適切な要求であるとの委員会決定を行いました。

・原子力に関する世論調査について
<主なやりとり等>
 事務局より、政府広報室が10月に実施した「原子力に関する特別世論調査」の
結果について報告がありました。同調査は、原子力に関する国民の意識を調査し、
今後の施策の参考とする目的で実施されたものです。
 平成17年に実施した前回調査と比較し、原子力発電が地球温暖化防止に貢献す
ることの認知度が大きく向上したほか、原子力発電を推進すべきとの意見や原子
力発電に対して安心と感じる意見が増加した等の結果が出ています。
 また、今回新たに調査を行った高レベル放射性廃棄物処分についての質問では、
処分場の立地場所を私達の世代が責任を持って選定すべきと約80%が回答してい
る一方で、自分が居住する場所の近隣へ処分場を立地することには約80%が反対
と回答しています。

※調査結果は以下のURLでご覧いただけます。
 https://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h21/h21-genshi.pdf 

・近藤原子力委員会委員長の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 近藤原子力委員長より、米国ワシントンD.C.で開催された第8回日米原子力
ワークショップ会合に参加し、講演・意見交換を行うとともに、米国原子力学会
の2009年トミー・トンプソン賞授賞式に出席した海外出張(11月14日〜21日)に
ついて、報告がありました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo44/tei-si44.htm 

●12月8日(火)第45回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る関係機関ヒアリング(放射線
利用振興協会、茨城県、日本医学放射線学会)
<主なやりとり等>
 第39回定例会議において決定した、原子力政策大綱に示される「放射線利用」
に関する政策の評価の一環として、(財)放射線利用振興協会、茨城県、(社)
日本医学放射線学会より放射線利用に係る取組の現状と課題についてヒアリング
を実施しました。
 (財)放射線利用振興協会からは、放射線利用成果の普及、産業利用推進、共
用施設の利用支援等の活動について説明がありました。委員より、教職員セミナ
ーの実施体制や実施状況についての質問等がありました。
 茨城県からは、J−PARCにおける茨城県中性子ビームラインの整備や産業
利用促進等について説明がありました。委員より、科学技術に重点を置いた県の
将来計画を実施した効果、中性子線利用の中長期的な課題等について質問があり
ました。
 (社)日本医学放射線学会からは、放射線医療や医療被ばくの現状についての
説明や、放射線管理に関する規制の合理化についての要望等がありました。委員
より、十分な放射線専門医の確保のために必要と考えられる具体的方策について
の質問や、医療現場における放射線利用の効果と影響の説明が必要等のコメント
がありました。

・第10回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の開催について
<主なやりとり等>
 事務局より、12月16日(水)に東京の三田共用会議所において開催されるFN
CA大臣級会合について、説明がありました。FNCAは、積極的な地域のパー
トナーシップを通して、原子力技術の平和的で安全な利用を進め、社会・経済的
発展を促進することを目指しており、オーストラリア、中国、韓国、ベトナム等、
日本を含め10カ国の参加が予定されています。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo45/tei-si45.htm 

●12月10日(木)第46回臨時会議の概要は以下のとおりでした。
・原子力政策大綱の政策評価「放射線利用」に係る関係機関ヒアリング(日本原
子力研究開発機構、日本アイソトープ協会)
<主なやりとり等>
 第39回定例会議において決定した、原子力政策大綱に示される「放射線利用」
に関する政策の評価の一環として、(独)日本原子力研究開発機構、(社)日本
アイソトープ協会より放射線利用に係る取組の現状と課題についてヒアリングを
実施しました。
 (独)日本原子力研究開発機構からは放射線利用に関する多くの研究成果や技
術移転の状況、施設供用支援のための人材不足に関する問題等について説明があ
りました。委員より、研究炉や大型先端研究施設をより民間事業者に活用しても
らうための取組の重要性等についてコメントがありました。
 (社)日本アイソトープ協会からはアイソトープ供給に関する事業のほか、特
に世界的に医療用アイソトープ(Mo−99)が不足している問題等について説
明がありました。委員より、アイソトープの安定供給(特に医療用アイソトープ
(Mo−99))のための取組みのあり方等について熱のこもった意見交換があ
りました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo46/tei-si46.htm 

●次回は12月15日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所における核燃料物質の加工の事業の変更許
可について(一部補正)(原子力安全・保安院)
・高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発の事前評価について(日本原子
力研究開発機構)


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


●12月18日(金)に国際専門部会(第5回)を開催します。傍聴をご希望の方は
開催案内をご覧いただき、事前の登録をお願いします。
日時:平成21年12月18日(金) 10時00分〜12時00分
場所:東海大学校友会館「望星の間」(霞が関ビル35階)
議題:中間とりまとめについて

※開催案内は以下のページでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kokusaisenmon/yotei/yotei05.htm

 ●12月11日(金)に原子力防護専門部会(第15回)を開催しました。同部会は
IAEAの非公開情報を含むため、非公開で審議を行いました。
日時:平成21年12月11日(金) 10時00分〜12時00分
場所: 中央合同庁舎4号館 12階 1214特別会議室
議題:(1)原子力防護に関する最近の動きについて
   (2)IAEA核セキュリティ基本文書について
   (3)今後の原子力防護専門部会の進め方
<主なやりとり等>
 事務局より、核セキュリティに関する最近の国内外の状況とIAEAの核セキ
ュリティ基本文書について説明がありました。
 また、IAEAの基本文書を参考に、我が国の核セキュリティの基本的考え方
について検討を行っていくことについて、確認されました。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
「語学留学中?」

晩夏より事務局に着任致しました。

着任前は、原子力分野とは全く縁がなかったため、着任直後はとまどうことばか
り。身の回りで展開される会話が全く分からない。どこか、別の国に来たのかと
思いました。PWR? BWR?? え〜っと、それはドイツの車メーカーのご親戚で
すか!?

最初は右も左も上も下も分からず、今日も新しく出てくる専門用語や略語の嵐
に、辞書的資料片手に、師匠たちの指導を受けつつ修行中。そんな私も、少しず
つですが理解できる言葉も増え、時々、ふと自分の口からも原子力村の言葉が飛
び出していることに気づきます。

ただ、良い意味で「しろうと」であり続けたいと思っています。言葉が分からな
いと、心に巣くう不安や疑心暗鬼。おそらく自分の最初の「わからなさ」は、日
常、原子力に縁のない方の「わからなさ」。
原子力に縁のなかった方にも、少しでも関心を持ってもらえたら、読みやすいも
のであったら、そんな気持ちも込めてメルマガを作っています。
愛されるメルマガのために、ご意見、アイディアをお寄せいただければ幸いです。
(藤原)

●次号配信は、平成21年12月25日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
 https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.html 
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0001.html 
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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