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第32号 原子力委員会メールマガジン 2009年6月12日号

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年6月12日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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┣ トピックス  近藤委員長からひとこと 済州島の一日
┣ 定例会議情報 欧州から日本へのMOX燃料輸送終了について など
┣ 部会情報等  第34回市民参加懇談会
┣ 読者コーナー
┣ 事務局だより
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━・・・━ トピックス 近藤委員長からひとこと ━・・・━・・・━
「済州島の一日」

私が共同議長の一人となって1992年からほぼ一年おきに開催してきた日韓
PSA(確率論的安全評価)ワークショップの主催者から、この仕事を後進に譲
って久しい私に、今度は第10回だから開会セッションで記念講演をと求めら
れたので、インフルエンザ騒動の最中、休暇をとって済州島に出かけた。

講演では、第1回会合はソウル大学でというので気楽に出かけたところ、歓迎
夕食会には韓国原子力界の重鎮がそろって出てこられてたまげたこと(これが
日韓原子力交流のさきがけであったためと後で聞かされたが)、また、後日、
韓国要人が来日した際に、PSA会合の成功を感謝するとあいさつされ、対応し
た日本政府関係者がPSA?なんのことと首をひねったと聞かされたことなどの思
い出を述べた後、中国や台湾からの参加者もおられたので、日韓の共同議長は
いつかこれをアジアPSA専門家会合に発展させようと語り合っていたが、それ
が実現しつつあるようでうれしい。アジアにおいては今後とも原子力発電の重
要性が増すと予想されるので、この会合が安全問題を合理的に考える際の核と
なるPSA技術の進化と普及に貢献することにより、アジア各国において合理的
な安全確保の考え方が普及していくことを期待すると結んだ。

その後、参加していた韓国の原子力関係者と日韓の原子力開発利用が当面する
課題について非公式の意見交換を行った。韓国の原子力発電は、6直体制をと
っていることが最大の理由だと説明されるが、90%を超える稼働率を実現す
るなどすばらしい運転実績を示しているし、産業界は、主要機器の製造能力を
確立し、韓国標準炉を官民一体で実用化してきており、この故に主要機器につ
いてはすでに海外からも製造を受注しており、今後はプラント輸出を実現した
いと意気込んでいる。また、高速増殖炉の研究開発も進めているし、核融合研
究開発に係る国際共同事業であるITERにも参加している。

ただし、韓国は、北朝鮮と共同して発した韓半島非核化宣言のなかで濃縮も再
処理もしないとしているため、蓄積が進む軽水炉の使用済み燃料の処理に悩み、
高速増殖炉のための再処理の研究開発に苦労している。たとえば、宣言にいう
再処理とはプルトニウムを単離することであり、核拡散抵抗性の高い技術は対
象外であるという認識で、そういう技術の研究開発を米国の国研と共同して推
進してきているのであるが、米国で最近、GNEPに係る技術の核不拡散の観点か
らの評価が公表されたところ、そこでは、ある国が国境を閉じてから装置を組
み替えるなどして兵器用核物質を入手する困難性が重視され、この世にある核
拡散抵抗性の高い技術自体については所詮ドングリの背比べだとされているこ
とに困惑したという。そこで、小生は、核拡散抵抗性は、技術の本質的不拡散
特性はその構成要素の一部であって、そういう国際政治の文脈で評価されるも
のであることは20年以上も前から了解されていること、しかし、技術は技術
として進化させることは大事。結論を急がず、多様な関係者との意見交換の機
会を増やしていくべきとした。

また、軽水炉の使用済燃料の再処理について彼等は、韓半島の非核化宣言に賛
意を示した国は道義的責任を負うべきという問題意識を有しており、最近に至
ってこれを放棄した国の再処理需要は再処理施設を有する国が引き受けるべし
という国際世論が高まっていることも踏まえて、日本を含む再処理国の動きを
注視しているとした。

日本の最大の問題は何かというので、私個人としては、1つは、ご指摘の道義
的責任。国民はその問題意識を韓国の皆さんと共有していると思うが、我が国
の原子力事業は他国が想像する以上に民間主体になっているから、こういう国
際責任の果たし方についての国内の議論は時間が掛かる。しかも、これらの取
組はいずれも懐妊期間の長い事業であり、相当前もって計画し、立地地域や国
際社会の理解を得た上で、リスクを賭しての投資があってこそ実現するもので
あるから、関係者・受益者が十分事前に幅広の意見交換を行って、相互裨益の
関係を築いていくべく努力することが大切と考えているとした。

もう一つは、原子力発電の発電に占める割合は2030年にはおそらく50%
に近づくであろうが、いまのところ、経営者や行政は、ある原子力発電所が何
かで止まると、同時に多くのプラントが停止を求められる可能性が気になって、
原子力発電の割合を50%以上には増やせないと考えているふしがあること。
私は、世界の多数の原子力発電の運転実績から見て、当事者が十分なリスク管
理活動を行っていれば、そんなことを気にするのは合理性を欠くと考えるので、
まず、経営者に高い水準の管理目標の下でのリスク管理活動を徹底し、新知識
が迅速にリスク評価に反映されること、組織の間の風通しをよくしてリスクに
影響する情報が不十分な形でリスク評価に反映されることや誤った手続きが訂
正されないために誤った方法でリスク評価がなされることがないことに自信を
もってもらい、10年のうちにはこのような考えをわきにおいて、新規立地に
向けて、立地地域の皆様も含む利害関係者との対話、相互理解活動の先頭に立
ってもらえるようにしたいと考えているとした。

核拡散のリスクの評価にも確率論的アプローチが有効であるし、他の原子力発
電所のトラブルの発生時に自分の発電所周辺の人々に安心していただけるよう、
リスクやリスク軽減手段を可視化して提示する能力を涵養するためにも確率論
的安全評価PSAは有効だ。そこで、双方は、引き続き皆さんに研鑽を期待しよ
うと結論し、再会を誓った。正味半日の旅の報告である。

●次号は田中委員長代理からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●6月2日(火)第20回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・海水ウランの捕集技術について(独立行政法人 日本原子力研究開発機構、
財団法人 電力中央研究所)
<主なやりとり等>
海水ウランの捕集技術の研究開発について、(独)日本原子力研究開発機構及
び(財)電力中央研究所より説明がありました。委員より、実用に向けた研究
開発のための資金や期間、ランニングコスト等についての質問などがありまし
た。

・欧州から日本へのMOX燃料輸送終了について(電気事業連合会)
<主なやりとり等>
欧州から日本へのMOX燃料輸送終了について、中部電力、九州電力、四国電
力及び電気事業連合会より報告がありました。委員より、大きな前進であると
のコメントや、取組の透明性確保の充実と納得感のある説明に期待するとのコ
メントなどがありました。
※ 議事録は以下のURLをご参照ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo20/giji.pdf

●6月9日(火)第21回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発について(独立行政
法人 日本原子力研究開発機構)
<主なやりとり等>
高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発について、(独)日本
原子力研究開発機構より説明がありました。委員より、放射性廃棄物の処分に
は科学的合理性が必要であるとの指摘や、地域とのコミュニケーション活動に
ついて評価するコメント等がありました。



●次回は6月16日(火)に開催します。
・東北電力株式会社女川原子力発電所の原子炉の設置変更(3号原子炉施設の
変更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
・六ヶ所再処理工場で回収されるプルトニウムの利用計画の見直し及びプルサ
ーマル計画の見直しについて(電気事業連合会)
・近藤原子力委員会委員長の海外出張について


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。


●6月9日(火)の第34回市民参加懇談会の概要は以下のとおりでした。
<議題>
・関係省庁の原子力に係る広聴・広報及び教育活動について
・市民参加懇談会のこれまでの活動について
<主なやりとり等>
事務局より、関係省庁による原子力に係る広聴・広報及び教育の取り組み状況
の説明がありました。また、今回で市民参加懇談会の活動を終了することから、
これまでの活動実績や活動から得られたアンケートなどの整理結果について説
明がありました。専門委員より、市民参加懇談会の活動から得られた情報を関
係者に幅広く活用してほしい、市民参加懇談会の活動は終了するが原子力委員
会には今後も国民に門戸を開いている状況は継続してほしい等のご意見があり
ました。


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●皆さまからのお便りをお待ちしています!このメールマガジンや、原子力委
員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せく
ださい。なお、お寄せいただいたご意見・ご感想などは、個人情報を除きこの
メールマガジンに掲載させていただくことがあります。また質問につきまして
は、そのすべてには回答できない場合がありますので、ご了承をお願いいたし
ます。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

5月31日(日)に砕氷艦2代目「しらせ」の初公開にいってきました。前の
職場が、予算に関連があったという経緯です。

実際に、目前に、完成した「しらせ」をみると、圧倒されました。タラップを
登って、船内に入ると船員の部屋や、理容室や歯科室、医務室等、船上生活の
ための部屋があり、一部中をみることができました。

思った以上に部屋や廊下が広く、また、カーテンがあり、めくっても窓はない
のですが、長い船上生活の閉塞感を心理的に和らげるためにそういう工夫がさ
れていました。

他にも、甲板、操縦席、ヘリ格納庫・・・、等を見学することができました。
ブリッジでは、操舵輪や、レーダー、GPS機器があり、(動いていないので
中身はわかりませんが、)また、副長席に座れるようになっていました。

甲板から雄大な海、遠い地平線を眺めていて、これから、この船が、南極にい
って、氷を砕いて、進んでいくんだなと思うと、厳しい自然に対する人間の開
拓精神に感じ入りました。

また、見学には、子供から大人まで大勢きていて、盛況でした。

「百聞は一見に如かず」というように、実際のものをみることが出来るのは本
当に貴重な機会です。

これからもそのような機会をとらえていきたいと思います。
(秋山)

●次号配信は、平成21年6月26日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
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○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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