発言要旨 円卓会議第4回招聘者 中村 融

①発言要旨

私は円卓会議への私の意見を2ツと今日の会議で議論したいと考える三点を申し上げます。円卓会議への私の意見の第1点は役割、運営、権限についてです。役割については前回の円卓会議の成立が時の首相への三県知事の提言で「原子力政策への国民的合意が出来ておらず、立地県として原子力政策への協力は不可能である、国は責任をもって原子力政策への国民的合意の成立を計れ」との提議を受け、原子力政策への国民的合意を計る為に設置せられたのが原子力政策円卓会議であり、従って自ずから原子力政策円卓会議は極めて重大で困難な原子力政策の国民的合意を実現する役割を担っているものと考えます。
第2点はこの成立の経緯と役割から、この会議の雲煙と権限は明確であると思います。
この点第3回会議迄の論議を要約すれば、運営、権限は
(1) 原子力委員会の資金で運営されるが、事務局は三菱総合研究所に委託し、会議は原子力委員会の下部組織でなく、五名のモデレーター各位にすべて委ねられており「原子力委員会廃止の様な決定」さえ決め得る独立した組織である。
(2) 「徹底した論議を行う」為来年度も継続して行う事を予定する。
(3) 周囲に壁を作って論議をするつもりはなく論議の途中でも、原子力委員会の決定には、「口を差し挟む」事で対応していきたいとされ、円卓会議から原子力委員会への提言は原子力委員会の決定では「考慮する」ですが、私は必ず提言は実現するものと考えてよいと思います。尚この円卓会議の運営に関連して三ツだけ提議させて戴いておきます。
(1) この会議の運営経費の情報公開をお願いします。
(2) この会議の広報を、テレビでのスポット広告迄含め追求して下さい。
(3) この会議の招聘者の中で三名程度の常任の方を第六回から決めて下さい。臨時の招聘者は出来る限り庶民的レベルで広く公募して求めて下さい。
今回の会議のテーマは「原子力の運営体制のあり方について(1)」ですが、今迄の論議の中で体制問題と路線問題で論議がされていますので、私は今日のテーマの「原子力の運営体制のあり方について(1)」は「原子力政策の決定、運営のシステムをどうするか?」という事を意味すると考え、その意味で問題点を三点提起させて戴きたいと思います。
「原子力政策の決定、運営のシステムをどうするか?」という時に前提としたいのは、「今迄のシステムでは今後はやっていけない」という事です。基本的な点で改革が必要だという事だと考えます。今迄の原子力政策が国民不在で決定運営されてきたので、これが改められなくてはならないという事だと考えています。この前提の基に考えられる事は、
(1) 国権の最高機関である国会で原子力の体制、政策、運営システムが論議決定され関係立法が成立する体制をどう作ればよいのか?という事だと思います。私は今迄原子力の体制、政策、運営システムは基本的には原子力委員会を中心に国会と無縁の所で行政内部だけで進められていたと考えます。これが国民不在の体制を作ってきたと思います。それでは国会でどの様な形が考えられるのかですが、原子力特別委員会の下に必要な審議会、公聴会を設置して少なくとも当面集中的な論議が1年間程度は継続されて、原子力基本法を含めて関係法律の抜本的な改正が計られるべきだと考えます。この意味から原子力委員会は廃止、原子力安全委員会は再編強化、長期利用計画は不要と考えています。
(2) 他方、地方自治体も地方議会で一斉に原子力につき論議を行い住民投票も含め民意を汲み尽くした原子力の集中論議を行い此処の論議を国会に反映させる事が必要だと考えます。
(3) 情報開示の問題は原子力には現状では今「特別な体制」を作る必要があると考えます。
問題は3ツ程あると考えます。
(イ) 基礎的資料、生データー迄含め専門家レベルで、本当に自由な情報開示と討論が必要だし、その為の適切な体制が整備される必要があります。
(ロ) 学術会議に原子力関係の情報開示の為の第三者機関として特別委員会を設置して、今迄蓄積されてきている動燃・原研の研究開発資料の全面的な情報開示を進めて貰い、科技庁と通産省の(原子力委員会・原子力安全委員会を含む)行政関係資料を国会の原子力特別委員会で国政調査権の下で徹底的な情報開示を進めて貰いたいと思います。例えば今動燃の非開示資料をどう開示するかの作業を核燃サイクル開発機構が進めていますが、これは第三者機関で行う事が必要です。
(ハ) 情報開示の問題で原子力に特別な側面があるかと言えば、円卓第1回会議でも議論され「国民の大部分は無理解である」と指摘があり「判らない」のが大部分の国民の現状だとされています。エネルギー問題でも同じ様な問題が指摘出来ます。この現状は改められるのが当然だし、又それが可能であるという立場で私は考えたいと思います。私はいささか微力を尽くして社会教育の場で、この13年間科学的な日常生活の知識の啓蒙、特に原子力についてのそれに努めてきました。国民は情報を求め理解したいと願っています。具体的な方法論は会議での論議にゆだねたいと思いますが、この点が重要なものである事だけは指摘しておきたいと思います。現代はアカウンタビリティーの必要な時代であります。
時間内にと思いまして不充分な形で申し訳ありませんが、必要な点につきましては論議の中で補わせて下さい。どうも失礼しました。
以上。
②原子力基本法(省略)
③原子力委員会及び原子力安全委員会設置法(省略)
④原子力艦系行政組織一覧(省略)
ドイツ社民党と90年連合・緑の党との政策協定
新エネルギーに関するデータ