(5)ドイツ社民党と90年連合・緑の党との政策協定

ドイツ社民党と90年・緑の党の政策協定(1998年10月20日)要約

ドイツ社会民主党と90年連合・緑の党の連立政権(以下連立政権)は、将来に渡って安定し、環境と調和し、経済的にエネルギー供給を保証する。その際再生可能性エネルギーと省エネルギーは政策プログラムの上位に位置付けられる。エネルギー供給構造の変更は、技術的、エコロジー的、経済的な要件を考慮に入れて行われる。原子力発電には、予測不能な損害を生じさせるという決定的にリスクがあるので責任を負う事は出来ない。
 その為連立政権は可能な限り速やかに、原子力発電の利用を終了させることに着手する。
 第1手段として(連立政権は)政権発足後100日以内に、以下の内容を含む最初の原子力法改正を行う。・原子力推進の目的を削除する。・事業者に対し1年以内に安全性の再点検を義務付ける・危険性の疑いに対する立証責任を明確化する。・廃棄物処分は直接最終処分に制限する(再処理の禁止)・EU規則の導入に関するものは例外として、98年の原子力法改正(州政府の持つ許認可権の一部を連邦政府に移管他)を廃止する。・原子力災害の賠償準備金を増額する。
 第2段階として連立政権は、新しいエネルギー政策や原子力終結の方法廃棄物問題に関するコンセンサス形成の為に、エネルギー供給企業が対話の席に着くよう促す。これには政権発足後1年以内の期限を設ける。(第1・2段階経過後)第3段階として、連立政権は損害賠償を伴わない原子力利用から離脱を規定した法案を提出する。企業の(脱原発への)同意については時間的な制限を設ける。さらに廃棄物処分について、連立政権は以下の合意に達した。
  • 今日迄の廃棄物処分のコンセンサスは、形式的で客観的な根拠をもっていなかった。放射性廃棄物問題については、国民に支持される処分計画が作成されなくてはならない。
  • 総ての種類の放射性廃棄物のために、深地層に1ケ所の処分場があれば充分である。
  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分は2030年頃を時間的目途とする。・(研究サイト予定地である)ゴアレーベン、岩塩層のサイト適性には問題が多い。従って適性調査は中止し、異なった岩盤の新規の立地点で適性調査が行われる。
  • モルスレーベン、旧東ドイツへの低レベル廃棄物最終処分は終了させる・原則として原子力事業者は原発敷地内または敷地の近辺に(使用済み燃料の)中間貯蔵施設を設置しなくてはならない。使用済燃料の輸送は中間貯蔵施設に余裕がない場合か、原発運転会社以外が行う場合に許可される・中間貯蔵施設は、最終処分のために使用されてはならない。