前頁 | 目次 | 次頁

動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の一部変更に係る安全性について(答申)


53原委第135号
昭和53年3月28日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和53年1月23日付け53安(核規)第5号をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

 動力炉・核燃料開発事業団が設置する再処理施設に係る安全性に関し、同事業団が提出した「再処理施設の一部変更に係る安全性に関する書類」(昭和53年1月9日付け)に基づいて審査した結果、別添の核燃料安全専門審査会の報告書のとおり、安全上支障がないものと認める。


(別添)
昭和53年3月6日
原子力委員会
   委員長 熊谷 太三郎 殿
核燃料安全専門審査会会長
山本 寛

動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の一部変更に係る安全性について

 本審査会は、昭和53年1月24日付け53原委第32号をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告します。

Ⅰ 審査の結果

 動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の一部変更に関し、同事業団が提出した「再処理施設の一部変更に係る安全性に関する書類」(昭和53年1月9日付け提出)に基づいて審査した結果、「Ⅲ 審査の内容」に示すとおり、再処理施設の一部変更に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更の内容

 低放射性の固体廃棄物の貯蔵能力を増すため、下記の第二低放射性固体廃棄物貯蔵場を設ける。

 (1) 建家及び設備

 第二低放射性固体廃棄物貯蔵場の建家は、地下1階、地上2階建て、建築面積約1,260㎡の鉄筋コンクリート構造(一部鉄骨構造)であり、地下1階には貯蔵室、地上1階には搬入室、受入室、貯蔵室等を、2階には貯蔵室、機械室等を設ける。

 本建家には、建家内運搬のため、エレベータを設け、遮蔽付きフォークリフトを配置する。

 (2) 貯蔵能力

 第二低放射性固体廃棄物貯蔵場の貯蔵能力は、200lドラム缶換算約9,500本(約4年分)である。

Ⅲ 審査の内容

 本変更に当たっては、以下のとおり適切な配慮がされているので、変更に伴う安全性は確保されるものと判断する。

 (1) 施設の安全性

① 耐震性

 第二低放射性固体廃棄物貯蔵場の建家は、既設の低放射性固体廃棄物貯蔵場と同様に、耐震分類C類で設計されることになっている。

② 放射線の遮蔽及び放射線の被ばく管理

 第二低放射性固体廃棄物貯蔵場は、鉄筋コンクリートによる遮蔽構造で設計され、建家外壁面における放射線量率は、一週30ミリレムを下まわるように設計されることになっている。

 また、本施設では、可搬式サーベイメータを備え、随時作業環境の放射線の監視を行うとともに、運搬作業時には、遮蔽付きフォークリフトを使用し、作業従事者の被ばくの低減化を図ることになっている。

③ 火災・爆発の防止

 本施設は主として鉄筋コンクリート構造であり、また火災・爆発を起こし易い薬品等は使用しないので、火災・爆発の恐れは少いが、一般的火災対策として消防法に定める消火設備、火災報知器が設置されることになっている。

 以上のとおり、本変更に係る施設は、再処理施設の設計の基本方針に基づいて設計されることになっており、施設の安全性は確保される。

 (2) 周辺環境への影響

 低放射性の固体廃棄物は、ドラム缶、ビニール製の袋等で密封し、放射線量率及び表面汚染密度が許容値以下であることを確認した後、第二低放射性固体廃棄物貯蔵場に移送保管することになっているので、第二低放射性固体廃棄物貯蔵場の設置は、平常時において、周辺環境に影響を及ぼすものではない。

 また、敷地周辺の公衆に影響を与えるような事故の発生は考えられない。

Ⅳ 審査の経過

 本審査会は、昭和53年3月6日の第9回審査会において、前記変更について審査を行い、同日本報告書を決定した。これらの変更については、昭和53年2月6日の再処理部会における審議を経ている。

 なお、同部会の委員は、次のとおりである。

部会委員

(部会長) 高島 洋一 東京工業大学
青地 哲男 日本原子力研究所
伊沢 正実 放射線医学総合研究所
市川 龍資 放射線医学総合研究所
稲垣 道夫 金属材料技術研究所
今井 和彦 日本原子力研究所
清瀬 量平 東京大学
坂上 治郎 お茶の水女子大学(名誉教授)
左合 正雄 東京理科大学
鈴木 正敏 金属材料技術研究所
内藤 奎爾 名古屋大学
林 正夫 電力中央研究所
日野 幹雄 東京工業大学
藤井 正一 芝浦工業大学
益子洋一郎 前工業技術院東京工業試験所

前頁 | 目次 | 次頁