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第19回中国核実験に伴う放射能調査結果について



(1) ロイター共同によれば、ERDAは今回の核実験について、9月27日以下のとおり発表を行った。

@ 爆発規模 20Kton〜200Kton
A 実験場所 中国西部ロプノール地区の上空の大気圏内
B 爆発時間 9月26日15時(日本時間)

(2) 放射能対策本部(昭和36年10月31日内閣に設置)は9月27日(月)午前11時、放射能対策本部幹事会を招集し、9月26日に実施したと伝えられる中国核実験に伴う放射能対策について協議し、緊急時放射能調査体制について申し合わせした。

(3) 幹事会及び代表幹事会の決定に従い、9月27日から10月4日まで放射能調査を実施した結果、高空浮遊じん、雨水ちり、地表浮遊じん、牛乳中の1Iの調査に影響が現われ強放射能粒子も観測された。しかし、これらの値は、放射能対策本部が定めている暫定指標よりかなり低いものであった。

 なお、原乳中の1Iについては、10月11日まで調査を持続した。


第19回中国核実験に伴う放射能調査結果について

 (1) 高空浮遊じん
 防衛庁で9月28日〜30日の間、中部、西部地区の上空で調査した結果、中部地区の上空(9月29日飛行)において影響がみられた。(表1)

表1 高空浮遊じんの調査結果

 (2) モニタリングポスト

 気象庁(2ケ所)、道府県(19ケ所)で調査した結果、輪島、秋田において影響がみられたほか、東北、北陸の日本海側においても全般的に高い数値を示した。

(表2)

表2 第19回中国核実験モニタリングポストによる空間線量率調査結果

 (3) 雨水ちり
 気象庁13か所、都道府県30か所で調査した結果9月27日新潟において濃度28.9pCi/ml降下量83.91mCi/Km、9月28日秋田において濃度52.76pCi/ml降下量79.05mCi/Kmを記録したほか、全国各地でやや高い値を示した。 (表3、4)

表3 第19回中国核実験、雨水、ちりの調査(09:00〜翌日09:00までの降雨について測定)

表4 第19回中国核実験、雨水、ちりの調査(09:00〜翌日09:00までの降雨について測定)

 (4) 浮遊じん
 気象庁(5か所)、放射線医学総合研究所及び府県で調査した結果、仙台、千葉、新潟、茨城において、平常より高い値を示したほか、全国各地でやや高い値を観測した。(表5、6、7)

表5 気象庁

表6 放射線医学総合研究所

表7 第19回中国核実験地表浮遊じんの調査(府県)

 (5) 落下じん
 放射線医学総合研究所で調査した結果9月28日、29日にかなり高い値が観測されたが、強放射能粒子による影響と考えられる。(表8)

表8 第19回中国核実験水盤法による落下じん (放射線医学総合研究所)

 (6) 原乳中の1I
 放射線医学総合研究所、農林省関係研究機関(3か所)及び道府(13か所)で調査した結果、青森、秋田、宮城、福島、北海道農業試験場(札幌)において90pCi/lを越える数値が、検出されたほか、数県において限出限界以上の数値が検出された(表9、10、11)

表9 第19回中国核実験原乳中の放射性ヨウ素の測定結果

表10 第19回中国核実験原乳中の放射性ヨウ素−131 放射線医学総合研究所

表11 第19回中国核実験原乳中の放射性ヨウ素−131調査(1)

第19回中国核実験 牛乳中の放射性ヨウ素−131の調査(2)

 (7) 強放射能粒子
 大阪、新潟、福井、神奈川、福島、茨城、愛知及び放射線医学総合研究所において、強放射能粒子が発見された。1個当りの放射能強度は最大のもので、30,000〜60,000pCi程度であり、密度は新潟において1平方メーサル当り80個見つかっている。(表12)

表12 第19回中国核実験強放射能粒子

 (8) 核種分析

 福井、新潟で採取した強放射能粒子等についてGe(Li)半導体検出器等で核種分析をした結果、今回の核実験によるものと思われる7Zr+7Nb、1Sr+1Y、7Nd、3Ce、2Te、2I、9Np、9Mo+9Tc、3Y等の核分裂生成物を検出した。

 なお、本調査の結果、今回の核実験による放射能水準は、放射能対策本部が定めている暫定指標よりかなり低いものであった。


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