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日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTR原子炉施設の変更)について(答申)


50原委第43号
昭和50年2月7日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTR原子炉施設の変更)について(答申)

 昭和50年1月21日付け50原第386号で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号および第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。



(別添)

昭和50年1月31日
原子力委員会
委員長 佐々木 義武 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTR原子炉施設の変更)に係る安全性について

 昭和50年1月21日付け50原委第26号をもって審査を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。

Ⅰ 審査結果

 日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTR原子炉施設の変更)に係る安全性に関し、同研究所が提出した「大洗研究所の原子炉設置変更許可申請書」(昭和50年1月17日付け申請)に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保しうるものと認める。

Ⅱ 変更内容

 原子炉の附属施設である高温ガスループ照射装置「OGL-1(大洗ガスループ1号)」の構造を以下のように変更する。すなわち、加熱器の型式を間接加熱方式(ハステゴイーXのスパイラル管をテコランダム相当品のヒータエレメントにより内外面を加熱する)から、伝熱管直接加熱方式(ハステロイーXの伝熱管を直接加熱する)に改める。

Ⅲ 審査内容

 本設置変更に係る原子炉施設は、次のような安全設計および安全対策が講じられることになっており、十分安全性を有するものであると認める。

(1)直接加熱方式は構造が簡単なため、不平均平衡力が働くのを防げ、また、構造解析が容易なため信頼性が向上する。

(2)冷却材停止の緊急状態においても、伝熱管自体が最高温度を示すが、その温度は耐熱部の設計最高温度900℃をこえることはない。

(3)加熱器の温度高や過電流によりループをクールダウンさせる安全保護回路を設けて異常な温度上昇を防止している。

(4)伝熱管に使用される材料は、高温における強度および冶金学的特性がすぐれ、かつ、使用実績のあるハステロイーXであるが、製作および検査は慎重に行うことにしている。

(5)本加熱器と同じ加熱方式をとっている炉外高温ガスループ(HTGL)は、現在まで約2000時間の運転を行なってきており、電極部の設計等には、その実績を反映させることにしている。

(6)伝熱管を保護するため、伝熱管内外差圧を制御し、差圧が一定値をこえた場合には、ループをクールダウンさせるようになっている。

(7)万一、伝熱管から一次系のヘリウムが漏れた場合には、加熱器容器に格納される。また、加熱器からの漏洩はガスモニタ等によって検知されるようになっている。なお、本変更により平常時の被ばく評価、事故評価を変更する必要は認められない。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和50年1月31日の第133回審査会において審査の結果、本報告書を決定した。


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