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中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)


50原委第42号
昭和50年2月7日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)

 昭和49年12月24日付け49原第11052号(昭和50年1月28日付け50原第537号で一部補正)で諮問のあつた標記の件について、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号および第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による全安性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。


(別添)

昭和50年1月31日
原子力委員会
委員長 佐々木 義武 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について

 当審査会は、昭和49年12月24日付け49原委第397号(昭和50年1月28日付け50原委第35号を以つて一部補正)を以って審査の結果を求められた標記の件について結論を得たので報告します。

Ⅰ 審査結果

 中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更に関し、同社が提出した「島根原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(原子炉施設の変更)」(昭和49年12月6日付け申請、昭和50年1月21日付け一部補正)に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更内容

 定期検査時期の調整に係る燃料取替計画の変更に伴い、第2サイクル初期における適正な停止余裕を確保するため第1回燃料取替時において全数取出すものとされていたポイズン・カーテンの一部を残置し、その取出時期と、取出個数を変更するものである。

Ⅲ 審査内容

1 取出時期と取出個数

 当初の燃料取替計画では第1回の燃料取替えを発電所運転開始後約1.3年で実施することになっていたが、今回定期検査と同時に行うため、約1年で取替えることとなった。そのため、燃料取替時期の変更に伴って初期計画値に比べ増大した炉心の過剰反応度を抑制し、十分な停止余裕を確保するため、第1回燃料取替時に全数172個を取出すこととしていたポイズン・カーテンのうち、一部を第1回燃料取替以降も炉内に残置する。
 なお、残置個数は第1サイクルにおける炉心平均燃焼度、取替燃料本数によって変るが、現在予想される燃焼度に対しては約50個である。
 また,今回炉内に残置されるポイズン・カーテンは第2回燃料取替以降は使用しない。

2 反応度制御能力

1)反応度制御容量
 従来、第1回燃料取替以後の炉心において約0.18△kとされており、この数値を確保することは今回の変更においても変りはない。

2)停止余裕
 今回の燃料取替時点において、全数のポイズン・カーテンを取出すものとすれば、その停止余裕は0.013△kとなり、これは設計基準である0.01△kを満足している。
 従って、核的な設計基準からすれば必ずしもポイズン・カーテンを残置する必要はないが、今回の措置は停止余裕をより一層安全側にとるものである。
 ポイズン・カーテンを残置した場合の停止余裕は第1サイクル炉心平均燃焼度、取替燃料本数、及びポイズン・カーテン取出個数によって変るが、現在予想される燃焼度の範囲内では0.020△k以上であり十分な余裕をもって設計基準を満足している。

3)第2サイクル中の停止余裕の変化
 ポイズン・カーテンの持つ負の反応度は、ポイズン・カーテン中のボロン10及び母材である不銹鋼の中性子吸収によっている。
 ボロン10は第1サイクル中にほとんど燃焼しているため、第2サイクルにおけるポイズン・カーテンの反応度は大部分不銹鋼の中性子吸収によるものでありボロン10の燃焼による全体反応度への影響は小さい。しかも燃料の燃焼に伴って全燃料の持つ正の反応度が減少するため第2サイクルを通じて停止余裕は増大して行く傾向にあり、十分な余裕をもって設計基準を満足している。

3 主要な熱的制限値

 第2サイクル中における定常時の最高線出力密度及び最小限界熱流束比について検討した結果は、それぞれ設計目標値「0.58kW/cm以下」及び「1.9以上」に対して十分な余裕をもって満足しており安全上支障はない。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和49年12月25日第132回審査会及び昭和50年1月31日第133回審査会において審査を行った結果、本報告書を決定した。

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