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動力炉・核燃料開発事業団が設置する再処理施設の一部変更に係る安全性について(答申)


50原委第62号
昭和50年2月18日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
動力炉・核燃料開発事業団が設置する再処理施設の一部変更に係る安全性について(答申)

 昭和50年1月24日付け50原第541号をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

 動力炉・核燃料開発事業団が設置する再処理施設に係る安全性に関し、同事業団が提出した「再処理施設の一部変更に係る安全性に関する書類」(昭和50年1月22日付け49動燃(再)52)に基づき審査した結果、別添の再処理施設安全審査専門部会の報告書のとおり安全上支障がないものと認める。


(別添)

昭和50年1月30日
原子力委員会
委員長 佐々木 義武 殿
再処理施設安全審査専門部会
部会長 高島 洋一
動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の一部変更に係る安全性について

 昭和50年1月28日付50原委第29号をもつて、審査の結果を求められた標記の件について、別添のとおり結論を得たので報告する。
 なお、本件に関し、動力炉・核燃料開発事業団において低放射性濃縮廃液の固化に関する研究開発を進め、低放射性濃縮廃液の固化関連施設を設置することが適当であると考える。

Ⅰ 審査の結果

 動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の一部変更に関し、同事業団が提出した「再処理施設の一部変更に係る安全性に関する書類」(昭和50年1月22日付け提出)に基づいて審査した結果、本再処理施設の一部変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更の内容

 本施設に係る変更の概要は、次のとおりである。

1.天然ウラン燃料処理関係施設の削除等

 天然ウラン燃料の処理を延期したため、天然ウラン燃料処理関係施設の建設をとりやめる。
 また、これに伴い高放射性固体廃棄物貯蔵庫のうちマグノックス被覆貯蔵庫をハル貯蔵庫に転用する。

2.濃縮ウラン溶解槽の一部変更

 本再処理施設の処理能力を考慮し、濃縮ウラン溶解工程の溶解槽3基を2基に変更する。

3.低放射性濃縮廃液貯槽の一部変更

 低放射性濃縮廃液の固化関連施設を設置する計画であるので、低放射性濃縮廃液貯槽3基を2基に変更する。

4.燃料検査台の廃止

 燃料照射試験に伴う検査を行う必要がなくなったため、機械処理セル内の燃料検査台を廃止する。

Ⅲ 審査の内容

1.安全設計および安全対策

 今回の変更は、以下に述べるように、従来の再処理施設の安全設計及び安全対策を変更するものではなく、十分な安全性を有するものであると認める。

(1)天然ウラン燃料処理関係施設の削除等
 本変更は、天然ウラン燃料受入・貯蔵関連機器、同脱被覆関連機器、同溶解槽、天然ウラン用三酸化ウラン容器等の天然ウラン燃料処理関係施設を廃止するものであり、その他の施設に対し安全上何ら影響はない。
 また、マグノックス被覆貯蔵庫のハル貯蔵庫への転用については、転用されるマグノックス被覆貯蔵庫が従来のハル貯蔵庫と同様の設計であるため、安全上の問題はない。

(2)濃縮ウラン溶解槽の一部変更
 本変更により、濃縮ウラン溶解槽3基のうち1基の製作をとりやめるが、濃縮ウラン溶解工程の処理能力が1日あたり約1t(金属ウラン換算)から約0.7tになるので、安全上の問題はない。

(3)低放射性濃縮廃液貯槽の一部変更
 本変更は、低放射性濃縮廃液の固化関連施設を設置する計画があるので、低放射性濃縮廃液貯槽3基のうち1基の製作をとりやめようとするものであるが、低放射性濃縮廃液の貯蔵には支障がないので、安全上の問題はない。

(4)燃料検査台の廃止
 本変更は、燃料照射試験に伴う検査を行う必要がなくなったことによるものであり、安全上の問題はない。

2.放射線管理

 今回の変更により、本再処理施設の放射線しゃへい及び廃棄物処理に変更をもたらす問題はなく、安全性は従来と変るところはない。

3.事故評価

 今回の変更により、本再処理施設の安全設計及び安全対策に変更をもたらす問題はなく、従来行われた事故評価に変更はない。

Ⅳ 審査の経過

 本専門部会は、昭和50年1月30日、次表のように審査を行い、同日、本報告書を決定した。
 なお、本専門部会の委員は次のとおりである。

部会委員
(部会長)高島 洋一
青地 哲男
伊沢 正実
内田 秀雄
清瀬 量平
佐伯 誠道
坂上 治郎
左合 正雄
内藤 奎爾
藤井 正一
益子洋一郎
東京工業大学
日本原子力研究所
放射線医学総合研究所
東京大学
  〃
放射線医学総合研究所
お茶の水女子大学
東京都立大学
名古屋大学
芝浦工業大学
東京工業試験所


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