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森山国務大臣談話


昭和49年8月30日


1 最近における放射性同位元素の利用、管理の状況等にかんがみ、障害の未然防止と安全の確保が極めて重要な行政課題であると考え、先般、放射線障害防止法の規制対象の全事業所(3,231所)に対して特に文書を発し、法令の履行状況を総点検し、改善すべき点は至急改め、結果を報告するよう求めたところであるが、これに従って、ほとんど全部の事業所から結果報告の提出があり、今般これを別紙のとおりとりまとめた。
 今回の総点検の第1のねらいは、放射性同位元素等を取り扱う全事業所が、これを機に安全の確保について認識を新たにし、法令の遵守状況や安全管理体制を点検して自主的に改善を行うことにあったが、ほとんど全事業所において点検を実施し、これに基づいて相当の改善を行ったことが認められ、多大の成果を収め得たものと考える。更に、この結果については、当庁において今後の行政運営の基礎資料として活用するのみならず、関係各省にも提供して関係行政の推進に資することとしている。

2 今回の総点検の結果等をふまえて、放射線障害の防止につき別紙対策を策定した。今後これによって積極的に行政を推進していく所存である。
 本対策の要点の第1は、当庁における放射性同位元素の使用の許可・承認、立入検査等の行政運営の改善を図り実効を期していくとともに、年々急増してきている取扱事業所に対する障害防止に関する監督指導を、関係省庁と緊密に連携協力して強力に進めていくことであり、第2は、安全の確保は取扱事業所における事業主その他の関係者の自覚と安全管理の徹底に負うところが極めて大であることから、関係事業所、業界の自主的な安全活動を促進する諸施策を強力に推進することである。
 これらの諸対策は、既に一部実行に着手しており、また、新たに予算を必要とするものについては来年度予算で所要の要求をすることとしている。
 なお、これらの諸対策の実施と併行して、放射線障害防止法の施行体制等についても、先般開始した原子力関係法令制度全般の検討の中で併せて総合的に検討を行っていくが、とくに放射性同位元素の盗難防止や安全輸送問題については、早急に関係省庁と連携して対策を検討したい。

3 放射性同位元素の利用は、科学技術の進歩に伴い、医療、工業、農業、各種研究等国民経済、国民生活の広範な分野で急速に進み、産業の発展、国民の福祉の増進に大きな役割を果たすようになっており、その取扱い・管理について法令を遵守し、安全の確保を図りつつ、今後更に一層の利用拡大が期待されているものである。
 安全の確保は、何といっても、取扱事業所の事業主その他の関係者の日々の自覚と実践が基本的に極めて重要である。関係者各位におかれては、先般特に文書をもって示したように、今後とも、関係法令の遵守に努め、管理の充実を図り、安全の確保に万全を期されるよう、ここに改めて強く要請する次第である。


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