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動・燃大洗工学センターの原子炉の設置変更
(高速実験炉の原子炉施設の変更)
に係る安全性について


昭和48年7月18日
原子炉安全専門審査会
原子力委員会
  委員長 前田佳都男 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田秀雄

 動力炉・核燃料開発事業団の原子炉の設置変更(高速実験炉の原子炉施設の変更)に係る安全性について当審査会は、昭和48年7月10日付け48原委第243号をもって、審査の結果を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。

  Ⅰ 審査結果

 動力炉・核燃料開発事業団の原子炉の設置変更(高速実験炉の原子炉施設の変更)に係る安全性に関し、同事業団が提出した「原子炉設置変更許可申請書」(昭和48年6月26日付け48動燃(高速)041をもって申請、昭和48年7月9日付け48動燃(高速)050をもって一部訂正)に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。

  Ⅱ 変更内容

 原子炉格納施設のうち、アニュラス部排気設備の非常用ガス処理装置について、フィルタの一部の構造を変更する。

  Ⅲ 審査内容

 事故時のエアロゾルの挙動、捕集について模擬実験が行なわれた結果、フィルタの一部の構造とプルトニウム被ばく線量の評価に用いられた条件の一部を変更しているが、以下に述べるとおり、安全性は十分確保しうるものと認める。

1 アニュラス部排気設備の非常用ガス処理装置として上記の模擬実験の結果、高性能フィルタの前に、耐アルカリ性特性のよいプレフィルタが設けられる。

 プレフィルタおよび高性能フィルタの除去効率は、粒子状の浮遊物に対して98%としているが、仮想事故時の評価にあたっては従来どおり90%とする。

2 仮想事故時のプルトニウムによる被ばく評価については、従来の条件を一部次のように変更し、線量を計算する。
(1)プルトニウムの格納容器への放出量は、炉心燃料内のプルトニウムの1%とする。

(2)格納容器内のプルトニウムエアロゾルの等価半減期は、約2.2時間とする。
 以上の結果、敷地外で線量が最大となるのは敷地境界(原子炉から約700m)であって、その地点における被ばく線量は、肺に対して0.0106rad、骨に対して0.00125rad、肝臓に対して0.00477radである。

 これらの被ばく線量は「プルトニウムめやす線量」に示されているめやす線量より十分小さい。

 なお、この際のナトリウムおよびウランによる被ばくの影響は、上記のプルトニウムの影響にくらべ十分少ない。

   Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和48年7月18日の第116回審査会において審査の結果、本報告書を決定した。
 
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