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原子力委員会(第28回~第31回)



第 28 回

〔日 時〕昭和48年7月3日(火)14:00~15:00

〔議 題〕
 1 海洋投棄規制条約について

〔報告事項〕
 1 海洋投棄規制条約について
 事務局から、「海洋投棄規制条約について」について報告があった。これに関連し、同条約に関するIAEAパネルに出席した中島放射能課長から、同パネルの審議について説明があり意見交換した。

 同条約は、特定の有害物質の海洋投棄を全面禁止または規制することによって、海洋汚染の悪化を防止しようとするもので、有機ハロゲン化合物、水銀、カドミウムおよびカドミウム化合物、耐水性プラスチック、高レベル放射性廃棄物など特に有害な物質は全面的に投棄を禁止する品目としている。なお、同条約の署名、批准等について次の意見交換があった。
① 同条約のわが国の署名は、6月22日の閣議において了承された。

② 本条約の署名国は、本年1月現在で英、ソ、米、メキシコなど36ケ国である。

③ 本条約は15ケ国が批准した段階で効力を生ずるが、6月現在ではどこの国も批准するに至っていない。

④ わが国の批準は、今秋に開催される次期通常国会の承認を待って批准されることになろう。

⑤ IAEAパネルでは、(イ)海洋投棄が禁止される高レベルの放射性廃棄物の定義(ロ)投棄のための特別許可発出に関する条件、記録の保存、海洋の監視が審議された。なお、本議案に関しては、7月27日までに各国のコメントをIAEAに提出し、9月の理事会で正式決定することになった。

⑥ わが国では、放射性廃棄物の海洋処分の道は閉ざされていないが、海洋処分による安全性が確認されるまでは、施設内に安全に保管することとしている。本条約への加入によりすぐに現行の方針を変更する必要はないと考えるが、現在行なっている

 放射性廃棄物の処理処分についての調査、研究を更にすすめ、その結果、本格的に海洋処分を実施することになれば、その時点で本条約の内容をふまえて関連諸法令を整備する必要がある。

第 29 回

〔日 時〕昭和48年7月10日(火)15:00~16:30

〔議 題〕
 1 昭和48年度原子力年報について
 2 東北電力株式会社女川原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について
 3 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)について
 4 動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉原子炉施設の変更)について

〔審議事項〕

 1 昭和48年原子力年報について
 事務局から、「昭和48年原子力年報(案)」について説明があり、審議した結果、「原子力に対する期待に応えて」の副題のもとに同年報を決定した。

 2 東北電力株式会社女川原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について
 事務局から、「東北電力(株)女川原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(諮問)」、「東北電力(株)女川原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について(案)」および「東北電力(株)女川原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)の概要」について説明があった。

 同変更は、1 復水器冷却水の放水方式として海底深層放水方式を採用するため、排水口の位置を変更する。

 2 放射性廃棄物の廃棄施設の構造および設備について(1)気体廃棄物の廃棄施設のうち、空気抽出器排ガス系の処理方式をガス滅衰タンク方式から括性炭式希ガスホールドアップ方式に変更する。

 (2)気体廃棄物の廃棄施設のうち、グランド蒸気排風機排ガス系については低圧タービングランド蒸気に主蒸気を使用する方式から復水貯蔵タンク水から得られる蒸気を使用する方式に変更する。

 (3)気体廃棄物の廃棄施設のうち、床ドレン処理系に蒸発濃縮装置を設置し、ランドリドレン系処理系については前処理装置、蒸発濃縮装置等を設置するものであり、審議した結果、原案どおり原子炉安全専門審査会会長あて指示することを決定した。

 なお、同審議の過程において復水器冷却水の放水方式として海底深層放水方式を採用するについては、温排水による環境への影響を通産省から説明聴取する必要がある旨指摘された。

 3 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)について
 事務局から、「関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)について(諮問)」、「関西電力(株)高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)に係る安全性について(案)」および「関西電力(株)高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)の概要」について説明があった。

 同変更は、炉心の詳細設計の進捗にともない炉心固有の安全性の向上および炉心出力分布の平担化をはかるべくバーナブルポイズンの本数を896本(変更前約816本)に増加し、制御棒クラスタの炉心特性値の一部を変更するものであり、審議した結果、なお検討することとした。

 4 動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉原子炉施設の変更)について
 事務局から、「動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉原子炉施設の変更)について(諮問)」、「動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉原子炉施設の変更)に係る安全性について(案)」および「動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉原子炉施設の変更)の概要」について説明があった。

 同変更は、原子炉格納施設のうち、アニュラス部排気設備の非常用ガス処理装置について、フィルター部の構造を変更するものであり、審議した結果、原案どおり原子炉安全専門審査会会長あて指示することを決定した。

第 30 回

〔日 時〕昭和48年7月17日(火)14:00~16:00

〔議 題〕
 1 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)について
 2 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(JRR-2原子炉施設の変更)について
 3 食品照射研究開発中間報告について

〔審議事項・報告事項等〕
(1)審議事項
 1 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)について
 事務局から、前回の補足説明として、本変更は炉心の詳細設計の進捗にともない燃料ベレットの密度を高めた結果炉心の実効増倍率に変更が生じたため、バーナブルポイズンの本数、一次冷却材中のほう素濃度および制御棒クラスタの炉内配置の変更等を行なうことになった旨説明が行なわれ、これを了承した。

 また、「関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号および2号原子炉施設の変更)に係る安全性について(案)」どおり原子炉安全専門審査会会長あて指示することを決定した。

 2 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(JRR-2原子炉施設の変更)について
 事務局から、「日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(JRR-2原子炉施設の変更)について(諮問)」、「同設置変更に係る安全性について」および「同設置変更の概要」について説明があった。

 本変更は、燃料体の構造の一部変更、炉心上部遮蔽体の一部変更、実験設備であるインパイルループの一部撤去等であり、審議した結果、原案どおり原子炉安全専門審査会会長あて指示することを決定した。

(2)報告事項
 1 食品照射研究開発中間報告について
 事務局から、「食品照射研究開発中間報告書」について報告があり、これを受理した。

 なお、食品照射研究開発基本計画の延長については、更に検討することにした。

第 31 回

〔日 時〕昭和48年7月24日(火)14:20~16:30

〔議 題〕
 1 九州電力株式会社玄海発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について
 2 動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉の原子炉施設の変更)について
 3 公聴会の実施について

〔審議事項〕
 1 九州電力株式会社玄海発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について
 事務局から、「九州電力㈱玄海発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)(案)」および「同設置変更に係る安全性について」に基づき説明があり審議を行なった。

 審議は主として、燃料被覆管の熱伝導率の値の変更理由と、それに伴なう燃料最高温度の計算結果にどの程度余裕があるか等について行なわれた。

 その結果、本設置変更は許可してさしつかえないと判断し、原案どおり内閣総理大臣あて答申することを決定した。

 2 動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉の原子炉施設の変更)について
 事務局から、「動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの原子炉の設置変更(高速実験炉の原子炉施設の変更)について(答申)(案)」および「同設置変更に係る安全性について」に基づき説明があり審議を行なった。

 審議では、変更に至った経過および変更前後におけるプルトニウムによる被ばく線量等について確認した後、本設置変更は許可してさしつかえないと判断し、原案どおり内閣総理大臣あて答申することを決定した。

 3 公聴会の実施について
 事務局から、「原子炉の設置に係る公聴会開催要衝の実施細則(案)」に基づき説明があり、検討を行なった。

 その結果、原案の表現を一部修正し細則を決定した。

 また、東京電力(株)福島第二原子力発電所の原子炉の設置に係る公聴会を9月18日から19日にわたり福島市にて開催することとした。
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