第2回目米原子炉安全審査専門家会議の開催について
第2回日米原子炉安全審査専門家会議は、昭和47年12月12、13日の両日、東京プリンスホテルで開催された。
会議には米国側は、原子力委員会マンツイング規制総局長以下9名、日本側は内田原子炉安全専門審査会会長以下13名の審査委員および関係機関のメンバーが出席し、9つの議題について双方からの事情説明、コメント等を行なった後質疑応答を行なうという形式で熱心な討論が行なわれた。
それぞれの議題の主なる内容および出席者は次のとおりである。 |
Ⅰ 主なる内容 |
議題1 日米相互の規制内容(regulatory program)の現状のレビュー
日米双方から規制体系および審査、許可、運転等の状況について説明があり意見交換があった。
米国においてはAECが環境審査に踏み切り、規制当局の大幅なスタッフ増強を行ないつつある。環境問題以来、許認可が遅れていたが、今年に入りぼつぼつではあるが許認可を行なっており、1974年には平常に戻るということである。また、審査の合理化のため、申請内容、手続、基準等の標準化を強く進めていくということであった。
議題2 環境放射能管理の実態
原子炉の放射性廃棄物の放出実績について日米双方から説明があり、自然放射能に比べ十分低く、安全に管理されていることが確認された。
米国側は、10CFR50の附則Ⅰの制定により、敷地境界5merm/年の個人被ばく線量に押えると、国民全体の平均被ばく線量は2000年時点で、1merm/年を越えることはなく、問題はないことを強調していた。
議題3 パブリックアクセプタンス(住民の理解と協力を得るための方途)
米国では、歴史的背景もあって、原子力についても住民の早期参加と資料の公開を柱としているが、その意味において公聴会は国民の理解と協力を得るのに有効であると考えられている。なお、秩序ある公聴会の開催のために組織体制の確保に十分注意がはらわれている。
議題4 プルトニウム基準について
米国では、ICRPに準拠したプルトニウム濃度の規制は行なっているが、わが国のようなプルトニウムに関する基準に相当するものはないということである。
議題5 耐震技術について
耐震技術の実際について双方から説明があり、耐震設計については基本的に両国とも同じ考え方であることが確認された。また、現在行なっている研究開発について紹介があったが、米国において耐震問題に関し相当の努力が払われており、相互の情報交換が必要であると認められた。
議題6 基準開発のため協力すべき分野
基準開発の現状について双方から説明があり、基準化の促進についてその必要性が確認された。基準作成に関し、相互に関心ある分野について情報交換を行ない協力できる分野について検討することになった。
議題7 現在問題となっている原子炉安全性の討議
ECCS、燃料変形問題等に関し情報交換を行なった。とくに、米国のRule making hearingの状況について説明があり、1973年4~5月頃ECCSについての結論が出る見込みであるとのことであった。
議題8 相互に関心ある安全研究の概要
米国で行なっている安全研究プログラムについて説明があった。わが方からは、ROSA、NSRR、JPDR圧力容器研究等の研究について紹介した。
冷却材喪失事故時のプローダウン現象については、さらに日本原子力研究所東海研究所において専門的な討論を行なった。
議題9 経常的情報交換の方法
経常的情報交換について、相互に提供できる分野について双方より提案があり、検討の結果円滑な情報交換を行なうことに合意した。 |
Ⅱ 出 席 者 |
日本側 |
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内田 秀雄 |
原子炉安全専門審査会会長 |
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三島 良績 |
原子炉安全専門審査会会長代理 |
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安藤 良夫 |
〃 委員 |
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青木 成文 |
〃 〃 |
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大崎 順彦 |
〃 〃 |
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高島 洋一 |
〃 〃 |
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都甲 泰正 |
〃 〃 |
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西脇 一郎 |
〃 〃 |
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宮永 一郎 |
〃 〃 |
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望月 恵一 |
〃 〃 |
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渡辺 博信 |
〃 〃 |
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和田 文夫 |
〃 〃 |
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倉本 昌昭 |
〃 〃 |
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武田 康 |
通商産業省公益事業局原子力発電課長 |
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大友 哲宏 |
科学技術庁原子力局技術振興課長 |
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児玉 勝臣 |
科学技術庁原子力局原子炉規制課長 |
顧問 |
山田太三郎 |
原子力委員会委員 |
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米国側
L.M. Muntzing Director of Regulation,U.S.AEC
C.K.Bcck Director,Office of Govern-ment
Liaison,Directorateof Regulation,U.S.AEC
L.R.Rogers Director
of RegulatoryStandards,U.S.AEC
H.S.Isbin ACRS
member(Professorof ChemicalEngineerlng,Univ.of Minesota)
E.G.Case
Deputy Director,Directo-rate of Licensing,U.S.AEC
H.O.Monson
ACRS member(Office of the Director,Argonne Na-tionalLaboratory)
A.J.Pressesky Assistant
Director for Safety,Division of Reactor Development and Tech-nology,U.S.AEC
G.F.Helfrich U.S.AEC
Scientific Re-presentative,Embassy of the United States of America,Tokyo
W.R.Young
Assistant U.S.AEC Seien-tific Representative,Em-bassy of the
United StatesOf America,Tokyo |
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