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株式会社日立製作所原子力研究所の原子炉(臨界実験装置)の設置変更に係る安全性について


昭和47年8月21日
原子炉安全専門審査会
原子力委員会
委員長 中曾根康弘 殿
                               原子炉安全専門審査会
                                              会長 内田 秀雄

 株式会社日立製作所原子力研究所の原子炉(臨界実験装置)の設置変更に係る安全性について
 当審査会は昭和47年8月17日付原委第317号をもって、審査の結果を求められた標記の件について結論を得たので報告します。

Ⅰ 審査結果

 株式会社日立製作所原子力研究所の原子炉(臨界実験装置)の設置変更に係る安全性に関し、同社が提出した「原子炉設置変更許可申請書」(昭和47年8月8日付け申請)に基づき審査した結果本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保しうるものと認める。

Ⅱ 変更内容

 水位精密調整装置を撤去し、また水位微調整装置の配管の口径を給水管について1/4インチから1/2インチへ、また排水管について1/4インチから1インチへ変更する。

Ⅲ 審査内容

 本変更は、主タンク内水位を微調整するための水位微調整装置の配管の口径を給水管について1/4インチから1/2インチへ、また排水管について1/4インチから1インチへ変更するものであるが、本変更により、水位微調整装置による給水速度は最大0.062mm/secから最大0.25mm/sec(排水速度は最大0.08mm/secから1.3mm/sec)となり、主給水系統による注水(1mm/sec)とあいまって、水位精密調整装置(給水速度最大0.25~1mm/sec)の能力を補い得るようになるので水位精密調整装置を撤去するものである。

 本変更に伴ない、運転時注水事故の際の水位上昇速度は増大するが起動時注水事故の解析に用いた水位上昇速度(3mm/sec)の1/10以下であり、差し支えない。

 また、平常運転時および最大想定事故時における被ばく線量についても検討したが本変更により影響はない。したがって本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保しうる。

 なお、最大想定事故時の全身被ばく線量の積算値については、施設の周辺環境の現在の人口、将来の人口変化の両方について検討したが、その値はきわめて小さく、敷地周辺の公衆に対する放射線障害の防止上支障はないと認める。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和47年8月21日第104回審査会において本件を検討し、本報告書を決定した。
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