前頁 |目次 |次頁
日本原子力発電株式会社東海発電所の
原子炉の設置変更について(答申)



47 原 委 第 41 号
昭和47年2月17日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
 
日本原子力発電株式会社東海発電所の原子炉の設置変更について(答申)

 昭和46年11月11日付け46原第8069号(昭和47年2月4日付け47原第759号で一部訂正)で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。


 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準に、適合しているものと認める。
 なお、本変更に係る安全性に関する原子炉安全専門審査会の報告は、別添のとおりである。

日本原子力発電株式会社東海発電所の原子炉
の設置変更に係る安全性について



昭和47年2月4日
原子炉安全専門審査会

原子力委員会
委員長 木内 四郎  殿

原子炉安全専門審査会
会長 内 田 秀 雄

 日本原子力発電株式会社東海発電所の原子炉の設置変更に係る安全性について
 当審査会は昭和46年11月11日付け、 46原委第433号(昭和47年2月4日付け47原委第35号をもって一部訂正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告します。

 I  審査結果

 日本原子力発電株式会社東海発電所の原子炉の設置変更に関し、同社が提出した「東海発電所原子炉設置変更許可申請書」(昭和46年10月26日付け申請および昭和47年1月24日付け一部訂正)に基づいて審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は、十分確保しうるものと認める。

 Ⅱ 変更事項

 本変更は、東海発電所の原子炉施設を変更しようとするもので、変更事項は最高燃焼度を4,500MWD/Tから5,500MWD/Tに増大することである。

 Ⅲ 審査内容

 原子炉施設の安全設計および安全対策は、変更後も十分な安全性を確保できるものであると認める。

(1)核 熱 設 計

(a)停止余裕について
 最高燃焼度の変更に伴ない過剰反応度が低下するため停止余裕には問題はない。

(b)過剰反応度について
 過剰反応度については、出力を維持するために必要な反応度が2.5~3.0%⊿K /Kであるのに対し、本変更による炉心の反応度は、約3.6%⊿K/Kであるので十分である。

(c)熱伝達特性について
 本原子炉での燃焼実績、照射後試験結果および外国の原子炉において行なった類似の燃料の照射後試験(5,800 MWD/T)結果によっても熱伝達特性に支障を生ずるようなフィンの変形は生じていないので本変更後も支障はないと認められる。


(2) 燃料体
 本変更後の燃焼度5,500 MWD/Tまでの燃料体のふるまいについて検討した。その結果、下記のように当初の設計条件のままで安全と考えられるが、なお、十分の照射実績が得られるまでは、運転上必要な配慮をすることになっている。
(a)燃 料 心 材
従来の使用条件での本原子炉の燃料照射後試験結果を外挿して燃焼度5,500MWD/Tの時の外径の増加および体積スエリングを推定するとその値はそれぞれ約5.7%、約10%となり、これらはいずれも当初の設計条件(外径増加6.3%、体積スエリング20%)を下回っている。
(b)被  覆  材
外国での照射後試験結果によると本被覆材マグノックスAL-80は燃焼度6,000MWD/Tにおいても約15%以上の伸びを有しているので、使用上支障ないものと考えられる。
(3)事故の評価
本変更の機会に変更前のダクト破損時の事故評価における破損燃料本数の仮定について再検討を行い破損燃料検出装置の性能実証および燃料破損の実績等から考えて従来の仮定に必要な修正を加えて計算を行なった結果、事故評価については特に変更を要しないと判断される。
 Ⅳ 審査経過

 本審査会は昭和46年11月12日第96回審査会において、次の委員よりなる第83部会を設置した。
            審査委員
三島 良績(部会長) 東京大学
武谷 清昭 日本原子力研究所
宮永 一郎 日本原子力研究所

  当部会は、通商産業省原子力発電技術顧問会と合同で審査を行ない昭和47年1月26日の部会において部会報告書を決定し同年2月4日第99回審査会において本報告書を決定した。
前頁 |目次 |次頁