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日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更
(高速炉臨界実験装置施設の変更)について(答申)



46原委第313号
昭和46年8月19日

内閣総理大臣 殿

原子力委員会委員長


日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更
(高速炉臨界実験装置施設の変更)について(答申)


 昭和46年8月12日付け46原第5744号で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。


 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準に、適合しているものと認める。
 なお、本設置変更に係る安全性に関する原子炉安全専門審査会の報告は別添のとおりである。


日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更
(高速炉臨界実験装置の施設の変更)に係る安全性について


昭和46年8月17日
原子炉安全専門審査会

原子力委員会
 委員長 平泉 渉 殿

原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄


日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更
(高速炉臨界実験装置の施設の変更)に係る安全性について


 当審査会は、昭和46年8月12日付け46原委第301号をもって審査の結果を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。

Ⅰ 審査結果

 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(高速炉臨界実験装置の施設の変更)に係る安全性に関し、同研究所が提出した「東海研究所原子炉設置変更許可申請書(高速炉臨界実験装置施設の変更)」(昭和46年8月6日付け申請)に基づき審査した結果本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更内容

 濃縮ウラン金属燃料として現有の235U濃縮度20%燃料に加え93%燃料を使用する。

Ⅲ 審査内容

 1 安全設計および安全対策

 本変更に係る原子炉施設は、次のような安全設計および安全対策が講ぜられることになっており、十分安全性を有するものであると認める。

 (イ)炉心構成および核・熱的制限値
 
 本変更後も炉心構造、燃料体の最大挿入量、及び主な核・熱的制限値に変更はない。

 (ロ)燃料

 93%燃料要素は20%燃料要素に比べ濃縮度が変ったのみで、構造、被覆材の種類等に変更はない。なお、他の燃料要素との誤りをさけるため被覆材を色分けすることにしている。

 (ハ)燃料貯蔵

 本燃料要素を貯蔵するため燃料貯蔵容器を設けるが、20%燃料要素の容器と区別できるように寸法、塗装を区別することにしている。

 2 平常時の被ばく評価

 本変更後も年間積算出力、燃料取扱頻度等は変らないので、従事者の年間最大被ばく線量は変らない。
 また、一般公衆の被ばくに影響するのは廃棄物中の希ガスおよび41Aであるが、その量も変らなくわずかである。
 よって、変更後も一般公衆および従事者が許容被ばく線量をこえることはないと認められる。

 3 事故評価

 本変更に係る原子炉について各種事故について検討した結果、十分な対策が講じられており、変更後も安全性を確保しうるものと認められる。
 さらに重大事故および仮想事故の想定および結果は次のようでありその想定は妥当なものと認める。

 (イ)重大事故

 従来の解析では最少炉心(32l 炉心)における間隙効果測定時のテーブル前進による反応度挿入事故を仮定しているが、変更後もこの解析を変更する必要は認められない。すなわち、解析済みのプルトニウム炉心に比較して、93%濃縮ウラン炉心の場合、反応度挿入率はほぼ等しいが熱膨脹係数を約3倍にとっているので、それだけ負の温度係数が期待出来るため安全側となる。

 (ロ)仮想事故

 従来の解析では最大寸法のプルトニウム-ウラン炉心における制御系不動作による炉心裕融、再臨界事故を仮定している。重大事故と同様、この解析も変更する必要は認められない。すなわち、93%濃縮ウランを使用しても天燃ウランあるいは劣化ウランで希釈し実効的な濃縮度は20%濃縮ウランを使用した場合と同じになるので事故の結果は変らない。
 従って従事者はもちろん、敷地外の一般公衆に、対して安全であると認められる。

Ⅳ 審査内容

 本審査会は、昭和46年8月17日の第94回審査会において本件を検討し報告書を決定した。


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