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国際原子力機関(IAEA)9月理事会報告



 1967年IAEA9月理事会は、同年IAEA総会通常会議の会期の前後、9月22日および10月3日の2月間ウィーンにおいて開催された。

 以下議題をおってその概念を報告する。

 なお、第11回総会直後の10月3日開催の理事会から第12回総会前までの理事会の理事長としてアルゼンチンのQuihillalt氏が選出された。

 ジョン・コックロフト卿追悼

 議題採択 仮議題3の「原子炉計画」は、申請がなかったので議題から削除。
1 新加盟申請 マレーシアから申請があり、全会一致で、総会に加盟勧告を行うことに決定した。

2 保障措置
(a)査察員人事
 保障措置査察部の新規の4名の査察員(カナダ、スイス、日本、ポーランドから各1名)雇用について審議された。

 理事会は、事務局長に対し、上記4名の査察員としての雇用を承認した。

 各国のコメントは次のとおり。

 ソ連は、「将来は、世界の現存の3ブロック各々から同数の査察員を出すことが望ましい。また、現在、社会主義諸国からの査察員が充分利用されていない。」と指摘した。

 米国は、査察員選衡規準の最も重要なことは、査察員としての資格であり、地理的政治的性質のものではないと述べた。

 わが国も同様の意見を述べた。

(b)2国間協定に関する申請
 今理事会には、韓国/米国保障措置移管協定、日米/米国保障措置移管協定の期間延長、ヴュネズェラ/米国保障措置移管協定、および、コロムビア/米国保障措置移管協定の申請がなされ、総て意義なく承認された。

(c)ウラン同位元素分離施設へのIAEA保障措置制度適用拡張
 本年6月理事会において、ソ連は、ウラン同位元素分離施設へのIAEA保障措置制度適用拡張を提案しており、同国は、更に今回の理事会において、事務局長が、1968年6月理事会に上記の制度適用拡張についてとるべき手続きについて提案するよう決議案を提出した。

 理事会としては、本件を1968年6月理事会で再検討することとし、そこでは何らかの決定を行わず、方法手段を審議することとし、事務局長に、本件に関するドキュメントを作製するよう要請した。

(d)中国(台湾)の原子炉施設への適用。
 中国(台湾)は、ドイツ連邦共和国から多目的動力炉を購入し、その原子炉および付属施設並びに燃料にIAEA保障措置を適用しようとするものであり、その申請が、ユニラテラルの形で契約締結以前に行われたものである。

 ソ連は、中国(台湾)の代表権を認めていないので、申請されたIAEA中国保障措置協定にも反対の立場をとったが、理事会としては、同保障措置協定を承認した。
3 1967年経常予算項目間流用
 経常予算8項(俸給及び賃金)および9項(共通職員費)以外の項目に対し、1項目5,000ドルを超えないことを条件に項目間流用を認めるよう事務局長から要請された。オーストラリアの留保はあったが、理事会としては承認した。

4 事務局長定期報告
 1967年5月から7月までの定期報告書が提出された。ブラジル、メキシコ、コロンビア、インドから技術援助に関しコメントがあった。

5 次期会合について
 第11回総会直後に開催することに決定。

新構成メンバーによる理事会(10月3日)
1 理事長副理事長選出
 理事長として、アルゼンチンのQuihillalt氏、 副理事長として、ブルガリアのIvanchevとインドネシアのRoesadが選出された。

議題採択
2 理事信任状承認
3 委員任命
 理事長が、理事と協議し、理事会の委員会を再編成し、それが承諸されたならば、理事長は、行政予算委員会及び技術援助委員会の新構成メンバーを決める。

4 国際連合総会へのIAEA年次報告
 IAEA第11回総会は、理事会に対し、理事会が総会に提出したIAEA事業報告を補足し、国際連合総会に提出するIAEA年報を作製するよう要請した。

 同要請に従がい、理事長は、事務局長に対し、総会要請のIAEA年報を作製し、国際連合事務局へ送付するよう要請した。

5 次期理事会及び委員会開催について
 理事会は、1968年2月20日、6月11日、9月20日に開催されることおよび、IAEA保障措置制度の加工施設への適用拡張に関するワーキンググループが11月21日、技術援助委員会が12月14日、計画予算の暫定的申請に関する全体委員会が12月15日、行政予算委員会が1968年1月11日及び4月24日に開催されることに決定した。
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