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国際原子力機関(IAEA)第11回総会の報告



 国際原子力機関(IAEA)第11回総会は、昭和42年9月26日から10月3日までの8日間、ウィーン・ノイエ・ホッフプルク会議センターにおいて開催された。

 以下国際原子力機関第11回総会の概要を報告する。

1 加盟国及び国際機関等参加数
加盟国 76
非加盟国 4
国際連合および
その専門機関
2
その他の国際機関 8
非政府機関 7
2 参加人員
加盟国代表団 370
非加盟国からの
オブザーバー
5
国際連合及び
専門機関
6
その他の国際機関 15
非政府機関 9
   計 405
3 日本代表団
首席代表  二階堂 進  原子力委員長(科学技術庁長官)
代表  法眼 晋作  在オーストリア大使
代表代理  村田 浩  科学技術庁原子力局長
  〃  穂崎 巧  在オーストリア大使館 参事官
代表顧問  矢田部厚彦  外務省国際連合局科学 課長
 大沢 弘之  在オーストリア大使館 1等書記官
4 会議議事
〔1〕開会式
 第11回総会開会式は9月26日(火)午後3時15分、ウィーン、ノイエホッフブルク会議センターにおいて行われた。

〔2〕議長選出
 総会議長には、チェコスロバキア代表、ジャン・ノイマン氏(チェコ原子力委員会委員長)が選出された。

〔3(a)〕信任状委員会指名
 同委員会メンバーとして、オーストリア、テリー、エル・サルパドル、レバノン、フィリピン、ポーランド、スペイン、ソ連、米国の9カ国代表が選出された。

〔3(b)〕第11回総会代表信任、信任状委員会報告

〔4〕副議長選出
 副議長として、オーストリア、フランス、ドイツ連邦共和国、インド、日本、イラン、ソ連、米国の8ヵ国の代表が選出された。

〔5〕一般委員会任命
 同委員会メンバーとして、ブラジル、カナダ、ハンガリー、英国の4ヵ国代表が、議長、副議長8名、主委員会委員長以外のメンバーとして選出された。

〔6〕IAEA新加盟申請
 マレーシアのIAEA新加盟が承認された。

〔7〕事務局長声明
(抜萃)核兵器技術開発の現状において、世界の人人の間で関心が高まっており、核戦争の、文明全体に対する将来の潜在的運命重要性がいろいろの形で示されている。

 その一例は、国際連合総会によってなされている核兵器利用の効果についての完全な研究を行うことの要請である。

 国連事務局長が、本目的のために指名した専門家の中には、IAEA理事会理事長、現理事1名、前理事2名、科学諮問委員会委員1名、IAEA事業関係者などが含まれる。

 もう一つは、ラテンアメリカ核兵器禁止条約締結である。

 国連18ヵ国委員会においては、1月前、2大核保有国が同一の条約案を提出した。

 同条約案は不完全であり、同委員会において未だ採択されていない。

 しかし、今までに得られた結果は満足である。

 同条約案前文にはIAEAについて触れて居り、その保障措置制度が認められている。

 IAEA保障措置制度に関しては、核燃料サイクル全般に亘る適用拡張の方向に進んでいる。

 保障措置協定により、29ヵ国65基の原子炉に保障措置が適用されているほか、再処理施設にも適用されるに至っている。

 現在の協定は、現存の平和利用原子炉の出力の8%以下にしか適用されていないが順調な滑り出しであるといえよう。

 なお、会計検査と類似の考え方で、保障措置制度に対しても適当な時期における外部検査室の設置を勧告する。

 また、保障措置制度の手続きの簡素化が可能であると信ずる。

 また、査察の技術的分野における研究開発につき専門家が、意見を交換した。

 後進国技術援助の増加をはかる方法手段を中心に検討された結果が理事会から総会へ報告されるが、同報告に関しては、本機関の今後の事業計画および予算に十分反映させる。

 しかし、事業予算に当てられている加盟国からの任意拠出金は目標額を大きく下廻り、現在では、後進国からの援助要請はその30%以下しか見合い得ない。

 原子力発電については1980年には30万MWの出力が予想され、その建設に係る財政につき世銀と協議がなされている。

 国際原子力情報システムは、憲章上の事業を実施に移そうとするものである。

 国際連合事務総長代理声明(抜萃)

 国際連合ウ・タント事務総長代理スピネリ氏は、事務総長科学諮問委員会がまもなく会合を開き、第4回国際連合原子力平和利用国際会議開催の可能性を審議することになる。

 更に核拡散防止条約採択可能性については、米国およびソ連が、国連18ヵ国委員会に条約案を提出したことは、画期的進歩である。

 査察の問題は空自のままであり、国連22回総会中に決定をみることは期待出来ないが、核兵器の管理及び軍縮の方法に、IAEAが重要な役割を果さないとは想像出来ない。

 国連工業開発機構(UNIDO)の設立は、国連とIAEAとの間の協力に新しい可能性を開いたこと、および、IAEAの活動が他の国連専門機関にみられるような、政治的緊張に比較的影響を受けない雰囲気でなされていることに満足を感ずる。

8 議題採択および割当

9 開会日程
 本会期を10月2日に終了することに決定した。

10 一般演説および1966-67年度理事会報告。
 総会に出席した76ヵ国中44ヵ国代表が一般演説を行った。

 国際連合18ヵ国委員会に、米国およびソ連から核拡散防止に関する同一の条約案が提出された後の最初の総会であり、大多数の国の代表は、IAEAの核拡散防止における役割の重要性について述べるとともに、IAEAの原子力平和利用における意義立場の重要性を強調した。

 本総会では、客年総会における示唆により、数加盟国は国内原子力事業を一般演説の一部として紙上発表をし、また、ソ連をはじめ多くの国は口頭にてそれを公開した。

11 第12回総会開催日について
 1968年9月24日に開催することに決定した。

12 総会選出の理事国選出
 アルジェリア、ブルガリア、セイロン、マダガスカル、ペルー、フィリピン、トルチの7ヵ国が選出された。(全理事国については後記。)

13 1968年予算承認
14 1968年加盟国分担率承認。
 我国の分担率は2.49%

15 IAEA事業再検討
 計画技術予算委員会はIAEA事業再検討に関する報告を行なった。

 同報告に関し、オーストラリア、アラブ連合等8ヵ国が提出した決議案が可決された。

 決議案の内容は、1に、技術援助における器材供与を専門家派遣とは別に、特に注意を向けるべきこと、2に、事業再検討の結果を、1968年総会に提出される予定のIAEA事業6年計画に反映させること、である。

16 1966年会計検査

17 政府間機関との関係
 理事会に対し、第12回総会に、IAEA憲章に唱われている目的に従い、原子力平和利用に従事している政府間機関をオブザーバーとして出席の招聘を行うことを認可した。

18 IAEA事業年報
 同年報は、総会の成果を補充して、国際連合総会および同経済社会理事会へ報告される。

19 外部会計検査員
 1968、69年度会計検査員としてチェコスロバキア社会主義共和国会計検査院院長J.Hajekを任命した。

20 IAEA職員恩給委員選出
 同委員会は委員2名と委員代理2名から成るが、今回は委員1名と委員代理1名の交代が行われ、前者にはチェコスロバキアのB.Vachata後者には、オーストラリアのR.Butlerが選出された。

21 1968年一般資金の任意拠出金
 10月2日現在、1968年度一般資金への任意拠出金として、55ヵ加盟国から、総額、1,333,608米ドルの誓約を受けた。(目標額は200万米ドル)我国は49,800ドルの誓約を行った。

22 閉会
(理事国)
 米国、カナダ、連合王国、フランス、ソ連、、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チェコスロバキア、ドイツ連邦共和国、インド、インドネシア、日本、レバノン、メキシコ、ノールウェイ、ポルトガル、南ア、アルジェリア、ブルガリア、セイロン、マダガスカル、ペルー、フィリピン、トルコ
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