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昭和42年度・核原料物質探鉱計画


昭和42年3月23日
原子力委員会決定

 昭和42年度における核原料物質の探鉱は、予算的2億円をもって前年度に引き続き、主として堆積岩地域を対象として行なうこととする。

 探鉱の実施にあたっては、通商産業省工業技術院地質調査所は従来発見された放射能異常地域について補完的探査を行ない、原子燃料公社は地質調査所の調査による有望地区に対して鉱床精査、科学探査、試すい探鉱等を実施して、効果的に国内ウラン資源の実態を明らかにすることとする。

1 地質調査所の行なう探査
 地質調査所は、前年度に引き続き、調査の十分でない一部の堆積岩地域に対して補完的探査を行ない、ウラン鉱床の発見につとめるとともに、ウラン鉱床の成因に関する研究および堆積型潜頭鉱床に対する探査技術の向上に関する研究を行なう。
(1)放射能強度分布概査
(イ)カーボーン調査
 岐阜県、広島・島根県境

(ロ)地質鉱床概査
 北海道南部、宮城県南部、新潟県中部、広島県北部等
(2)鉱床調査
 昭和41年度までの放射能強度分布概査の結果、広島県三次(みよし)北部、岐阜県岩村において放射能強度の異常地が広範囲にわたり多数発見されており、ウランの賦存が広い地域に分布することが推定されているので、物理探鉱等による鉱床調査を実施して、地質状況のはあくおよび鉱床の賦存状況の調査を行ない、今後の探鉱に資することとする。

(3)探鉱技術の向上等に関する研究
 堆積型鉱床の既存は、基盤の地質構造と密接な関連を有することが判明しているので、岐阜県土岐(とき)市・瑞浪(みずなみ)市地区において、電気探鉱および重力探鉱により、基盤の地質構造の解明に必要な技術を関発する。

 また、鉱床調査のための基礎的研究として、基盤岩の岩石学的研究、含ウラン層の層位・構造的研究ならびに堆積環境の地球化学的地質学的研究を実施する。
2 原子燃料公社の行なう探鉱
 原子燃料公社は、岐阜県東濃地区、岡山県人形峠地区および鳥取県倉吉地区ならびにこれらの周辺において、主として試すい探鉱により既知鉱床の拡大と新鉱床の発見につとめる。

 その他、島根県出雲地区、京都府奥丹後地区、宮城県大内地区、鹿児島県垂水地区等の有望地区についても、試する探鉱、科学探鉱等を行なう。
(1)東濃地区およびその周辺
 東濃地区において鉱量の増大をはかるため、美佐野・謡坂(うとうざか)および平岩、深沢に賦存する鉱床について集中的に試すい探鉱を行ない鉱量のはあくを行なう。

 また、新鉱床発見および鉱床追跡のために、土岐・瑞浪両市南部および東濃周辺について地表調査、科学探鉱等を行なう。

(2)人形峠地区およびその周辺
 鉱量の増大が期待される、人形峠東方の倉見地区において試すい探鉱等により鉱量のはあくを行なう。

(3)倉吉地区
 神倉(かんのくら)においては、坑内試すいを行ない鉱況の解明を終らせる。

 また、倉吉北部の八葉寺(はつしようじ)においては、鉱床追跡のための試すい探鉱等を行なう。

(4)山陰地区
 41年度に鉱床の一部を確認した出雲市南方の三刀屋(みとや)地区において、鉱量はあくのための試すい探鉱を実施するとともに、三刀屋地区西方、赤名峠およびその周辺において地表調査、科学探鉱等により、鉱床追跡を行なう。

(5)奥丹後地区
 既知鉱床より上の層位におけるウラン鉱床存在の可能性について補完的調査を行なう。

(6)その他の地区
 これまでの調査により、鉱床の賦存が確認されている岩手県和賀水沢地区、宮城県大内地区および鹿児島県垂水地区等において地表調査、試すい探鉱、科学探鉱を実施する。
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