前頁 |目次 |次頁

国際原子力機関(IAEA)第10回総会の報告



 国際原子力機関(IAEA)の第10回総会は、昭和41年9月21日からウィーン・ノイエ・ホッフブルタ会議センターで開催され、9月28日に8日間にわたる会期を終了した。

 以下国際原子力機第10回総会の概要を報告する。

1 各国および国際機関等参加数
 加盟国  75
 国際連合およびその専門機関  4
 その他の国際機関  7
 非政府機関  5

2 参加人員
 加盟国代表  350名
 国際連合およびその専門機関  5名
 その他の国際機関  12名
 非政府機関  9名
 その他  5名
 381名

3 日本代表団
 代表  朝海浩一郎  外務省顧問
 代表代理  法眼 晋作  在オーストリア大使
 村田 浩  科学技術庁原子力局長
 穂崎 巧  在オーストリア大使館参事官
 代表顧問  川島 義郎  在オーストリア大使館一等書記官
 野口 晏男  外務省国際連合局科学課

4 会議議事
(1)開会式
 第10回総会開会式は9月21日(水)午前11時30分、ウィーン・ノイエホッフブルク・会議センターにおいて行われた。総会10年目を記念し、記念式典には、オーストリア共和国大統領の演説があり、オーストリア首相その他オーストリア政府要員、国連事務総長代理としてDr.R.Bunche氏が出席したほか、IAEA創設に当って重要な役割を果した各位が列席した。

(2)議長選出
 総会議長には、タイ代表Pote Sarasin氏が選出された。

(3)第10回総会代表信任
(a)信任状委員会任命
 同委員会のメンバーとして、ベルギー、ブラジル、レバノン、ブルガリア、ガボン、ニュージーランド、フィリッピン、合衆国、ソ連の9ヵ国の代表が選出された。

(b)信任状委員会報告
(4)副議長選出
 副議長として、カナダ、ガーナ、日本、ペルー、スイス、ウクライナ共和国、ソ連、連合王国の8ヵ国の代表が選出された。

(5)一般委員会任命
 同委員会のメンバーとして、議長、副議長8名、主委員会委員長(計画技術予算委員会委員長;インド代表、行政法律委員会委員長;ポーランド代表)のほか、オーストラリア、フランス、チュニジア、米合衆国の4国の代表、合計15名が選出された。

(6)本機関新加盟申請
 ウガンダ、シンガポール、シエラ・レオーネの3国が新たに承認された。

(7)事務局長声明
 主事項としては、本機関憲章に関し、創設当初の目的に基づいている現憲章は、その後経験を重ね、目的を改める必要性が生じ、現状に則するよう改訂されるべきであるように思われること。

 保障措置に関しては、現在その管理下にある原子炉は24国54基に達し、更に1再処理施設にも適用されるようになったこと。

 また、真に国際的保障措置を実施について本機関が得た経験は、ジュネーブにおいて核非武装を検討している国際連合18委員会の業務に関連を持たせたい旨述べた。

 更に、原子力発電の将来の見透しについて述べ、原子力発電の急速な開発に伴い、世界的規模での法規制定の必要性を明らかにした。技術援助計画については、現在、需要の5分の1しか満たされておらず、同計画充実のためにもっと任意拠出がなされることを期待する旨述べた。

(8)議題および議事割当

(9)閉会日の決定
 9月27日閉会に決定。

(10)一般演説および1965年-66年の理事会報告。
 50以上の国が一般演説に参加したが、大部分が、核物質の軍事目的への転用防止のための本機関の保障措置に関して声明を発し、それらの適用範囲及び地域の拡大及び管理の簡略化の可能性に触れた。

 我が国代表は、IAEA保障措置が、国連軍縮委員会などで核兵器拡散防止に関し支持されていること。我が国における特殊核物質民有化と将来の発電炉に関する長期計画を述べた。

 また、原子力利用の成長に伴い、将来核燃料供給の保証が重要問題となるので、ENEAの行ったU,Th資源の調査を拡大すること。および増殖炉開発に伴うPu需要が増加するので、その需給の調査をすることを提案した。

 そのほか、各国代表が行った一般演説において、特記すべきことは、ポーランド代表が、ドイツが同様のことを行うという条件のもとに、同国の原子炉が、本機関の保障措置を受ける用意があることを表明した。

 ソ連はその旨支持し、また、ソ連および他の共産圏諸国は1967年度から任意拠出金を自国の通貨で支払うことを誓約する旨述べた。

 米国は、同国の持つ再処理施設を本機関の保障措置下に置くことを表明した。

(11)第11回総会開会日決定
 第11回総会は1967年9月26日開会することに決定した。

(12)理事国選出
 総会選出の理事国5ヵ国として、ブラジル、ドイツ連邦共和国、インドネシア、レバノン、メキシコが選出された。
 (全理事国については後記)

(13)本機関の計画及び予算
(a)1966年度予算
 職員の俸給の増加による補正予算案が認められ、財源は運転資金から支払われ、その額を1968年度分担金に追加査定するという決議案が可決された。

(b)1967-1968年度計画および1967年度予算。
 1967-68年度計画案を承認し、1967年度総額11,899,500ドルにのぼる予算を承認した。任意拠出金については、52ヵ国から1,246,562ドルの誓約があった。
(14)1967年度加盟国分担率
 我国の分担率は2.49%で、第8位に位置する。

(15)1965年度会計
 財政規則12.04に従い、総会は、1965年度本機関会計に関する外部検査員及び理事会の報告を留意するという決議案を可決した。

(16)政府間機関との関係
 本憲章16条の下に関係を有する機関以外で、本憲章の目的に添い、原子力平和利用に連携ある政府機関を、第11回総会にオブザーバーとして招聘するという決議案が可決された。

(17)本機関の事業に関する年次報告
 1965-1966年総会提出の年次報告に付録をつけ、国連総会に対する本機関の報告とすることに決定した。

(18)外部会計検査員の任命
 ドイツ連邦共和国会計検査院総裁を任命した。

(19)本機関職員の恩給委員会への選出

<第10回総会記念行事>

1 開会式における記念式典

2 記念講演会が9月23日午後3時から開催された。

講演者は次のとおりである。
(1)J.Cockcroft卿(英)
(2)L.Neel教授(仏)
(3)A.Leipunski教授(ソ連)
(4)W.Webster博士(米)
(5)A.R.Gopal-Ayengar博士(印)
3 舞踏会が9月24日に催された。
〔1966年総会後から1967年総会までの理事国〕
 米国、カナダ、連合王国、フランス、ソ達、アルゼンチン、南アフリカ、インド、オーストラリア、日本、ベルギー、ポーランド、コロンビア、オーストリア、ユーゴスラビア、ガーナ、チュニジア、パキスタン、韓国、ブラジル、ドイツ連邦共和国、インドネシア、レバノン、メキシコ
前頁 |目次 |次頁