原子力局

国際原子力機関第9回総会について


 国際原子力機関(IAEA)の第9回総会は来る9月21日から約10日間にわたって、東京プリンスホテルで開催されることになった。

 全世界における平和、保健および繁栄に対する原子力の貢献を促進し、機関の援助がいかなる軍事的目的をも助長することのないよう確保するという目的をかかげて、1957年にIAEAが設立されて以来、本部所在地であるウィーン以外の場所で総会が開かれるのは今回が最初である。これは同機関にとって画期的なことであるのみならず、機関創立以来、理事国の一つとして活躍してきたわが国にとって意義深いことと思われる。

1.IAEA東京総会招請の経緯

 昭和38年3月東京においてアジア・太平洋原子力平和利用会議が開催された際来日したエクランド事務局長から外務大臣および外務次官に対しIAEA第9回総会の東京開催方要請があり、次いで一昨年秋当時の佐藤科学技術庁長官がOECD会議に出席の途次IAEA第7回総会開催中のウィーンに立寄った際、同事務局長から東京開催方重ねて要請を受けた。わが方は東京総会の開催につき昭和39年5月29日閣議了解(外務省および科学技術庁の共同講読)をみたので同年6月1日駐オーストリア内田大使を通じ事務局長に対し招請状を発出した。昭和39年秋、ウィーンにおいて開催されたIAEA第8回総会は第9回総会の東京開催を満場一致をもって正式に決定した。

2.国際原子力機関および総会

 国際原子力機関は、1956年10月26日に国連本部において採択された憲章に基づき1957年7月29日設立された国際機関であり、原子力平和利用の推進という国連ファミリー中でも独特の任務を担当するもので、わが国は、発足当初から加盟しているのみならず、極東の最先進国として常に理事国に選出されている。同機関の活動概況は、①知識の普及活動、②科学者、専門家の養成訓練、③資材等の供給活動、④保障措置制度の適用、⑤機関自身の研究活動等に要約されよう。
 機関の機構は、総会、理事会および事務局からなりたっている。機関の最高議決機関である総会は、通常年1回9月に全加盟国の代表者が機関の本部ウィーンに参集して開催されるのが例となっているところ、第9回総会は東京で開催されることとなったものである。IAEA第9回総会には、93ヵ国の加盟国、その他の国際機関から約400名の代表、100名余りのIAEA事務局職員の他、プレス関係者が参加することが予想される。各国代表の中には科学技術担当大臣、原子力委員長等の顔触れが予定されている。
 わが国は、国際原子力機関の原署名国であり、極東地域における技術的先進国として現在まで継続して理事国に指定されており、常に同機関の事業活動に対し協力と援助を与えている。わが国の原子力開発研究が始められて10年、今秋には、原子力の日を中心に多催な行事が予定されている。IAEA総会を東京において開催することにより、機関加盟国特にアジア、アフリカ地域の加盟国の代表にわが国の原子力開発状況を理解、認識せしめ、わが国の原子力関係産業の国際進出を図りうることも考えられる。

3.東京総会仮議題

(1)開会
(2)議長選出
(3)第9回通常総会への代表団の信任
  (a)資格審査委員の任命
  (b)資格審査委員の報告
(4)副議長選出
(5)一般委員会の任命
(6)国際原子力機関加盟申請
(7)事務局長の演説
(8)議題および日程に関する優先順位の決定
(9)閉会期日
(10)一般討論および1964~1965年の理事会の報告
(11)第10回総会の開会期日
(12)理事国選出
(13)1965年度予算
(14)1966年度予算
(15)1966年度加盟国分担金の比率決定
(16)保障措置
(17)1964年度会計報告
(18)憲章6条A2項の改定
(19)放射線事故時の緊急救助
(20)機関と他の国際機関との関係
(21)事務局長の任命
(22)機関の活動に関する年次報告
(23)機関職員の年金制度委員の選出
(24)1966年度一般基金に対する任意拠出金
(25)閉会

4.総会に伴う行事等
 IAEA東京総会に伴い、各種行事が予定されているが、そのうち現在までに決定しているものとして次のものが計画されている。

(1)東海原子力施設見学旅行
 原子力委員会主催により日本の原子力研究開発状況を紹介する意味で、9月25日に日本原子力研究所、原子燃料公社および日本原子力発電株式会社の3ヵ所に総会関係者約200名を招待するものである。

(2)講演会
 海外原子力関係著名人による講演会を9月20日に開催すべく日本原子力産業会議が企画している。

(3)レセプション
 今のところ、日本側代表がなると思われる議長主催レセプション1回が計画されている。

(4)その他広報活動
 原子力局が中心となり、海外向広報資料作成、国内向けとして、各種報道機関を利用しての広報活動が予定されている。