第2回日米研究協力専門家会議の概要



 第2回日米研究協力専門家会議が昭和39年10月27日から30日まで、Hanford Laboratories(Richland,Wash.,U.S.A.)で開催されたが、本会議の概要は次のとおりである。

(1)出席者

 日本側 西山  厚(住友電気工業(株))
     川田 俊行(東京芝浦電気(株))
     岡島安二郎((株)日立製作所)
     青木 重夫(古河電気工業(株))
     板垣 之雄(三菱金属鉱業(株))
     高橋修一郎(三菱原子力工業(株))
     上田 隆三(日本原子力研究所)
     城戸 達郎(日本原子力研究所)
     矢島 聖史(日本原子力研究所)
     天沼  倞(原子燃料公社)
     小泉 益通(原子燃料公社)
     萩野谷 徹(原子力局)

 米国側 J.L.Scott(ORNL)
     D.L.Keller(BMI)
     T.J.Pashos(GE-APED)
     E.A.Aitken(GE-NMPO)
     J.H.Kittel(ANL)
     Mel Bleiberg(BAPL)
     David Stahl(UNC)
     Mel Bowman(LASL)
     Colin Caldwell(NUMEC)
     Warren Chernock(CE)
     Lou Weissert(B&W)
     R.A.Meyer(GA)
     J.M.Simmons(USAEC)
     W.F.Sheely(USAEC)
     Ira Zartman(USAEC)
     G.E. Hanford Lab.
     W.E.Roake F.W.Albaugh
     H.J.Anderson H.M.Parker
     J.R.Hauge J.J.Hauth
     T.D.Chikalla D.W.Brite
     S.Goldsmith R.E.Bardsley
     D.F.Carrall K.R.Sump
     C.H.Shaw M.D.Freshley
     R.E.Skavdahl G.R.Horn
     J.L.Bates W.J.Bailey
     J.L.Daniel D.R.de Halas
     E.A.Snajdr K.Drumheller
     C.A.Hinman W.L.Hampson
     L.A.Pember R.E.Olson

(2)概要

 会議は第1表に示すようにBasic StudiesについてはUO2、PuO2、Mixed Oxide、 Carbide、Nitrideなどの製造、それらの結晶学的、電気的、光学的および機械的性質、分析、高温性状、熱伝導度測定など9項目、約80の研究が、燃料要素の製造については試料製造および燃料の性状として1項目、13の研究が、また照射研究については、照射試験全般、FPガスの放出およびFPの挙動など3項目に関し約42の研究が発表され、3日半にわたり130余のペーパーが提出され、講演、質疑応答など非常に盛会であった。
 これらの広範な研究について主要なものを拾うと第2表のとおりであり、赤外分光や中性子回折、質量分析などが構造解析、照射試験に利用されてきたこと、2,000~3,000℃の高温が容易にえられまたその精密測定が行なえるようになったこと、燃焼度の148Nbによる測定など新規な装置測定法が目立ち、燃料製造法としてはsol-gel法、dyna-pac法が注目され、すでに一部実用の域に達しており、また照射試験が数多く米国において行なわれたため照射中の破損燃料や中心融解などについても相当突込んだ解析が行なわれたことなどが注目され、これを燃料物質からみると、第1表のように単にUO2についてよりも、むしろUO2とPuO2など他のOxideとの混合系、PuO2あるいはU、PuのOxide以外のceramicsなどについての研究が多くみられる。
 日米双方の発表の内容を比較すると、日本ではまだUO2についての研究が圧倒的に多く、また遺憾ながら照射試験についての報告は、前回よりふえたものの、まだきわめて少ない。これに反し、米国側の発表では、UO2については、物性に関しては大体研究を終えたように見受けられ、燃料要素として被覆材を含めて実用燃料のPerfor-manceの研究が主流となってきているが、このためには実用上の意味から照射下における熱伝導度、結晶成長、voidの移動など、いわゆる照射性状の解明について研究され、また上記のようにPuO2を主とするその他のOxidとUO2系の燃料、Oxide以外のceramic燃料(これらもまず照射試験が行なわれている)についての研究が多い。Puの利用もfast炉とthermal炉の場合の実用性についてそれぞれ研究が進められている。このような傾向は、わが国では、直ちに行なうことができないものも多いが、いずれは同じような方向をたどるものと思われ参考になる点が多い。また米国側では各社がそれぞれ明確なフィロソフィーの下にある問題をとらえ、あまり重複した研究はみられなかった。
 会議の全般的印象からいうと発表数が多すぎた感があり、もう少し議題あるいはペーパー数を制限し、論議を尽すようにしたほうがよいと思われる。最後の総括でChernock氏が燃料要素製造の経済性を今後は問題にすべきであると述べており、原子炉がすでに実用の時期に入ったことを意味し、興味深い。
 会議終了後、日本側出席者10名はGE-Hanford、GE-APED、GE-Vallecitos、General Atomic、Los Alamos、ANL、BMI、NUMEC、B&W、ORNL、Combustion Engineering、United Nucl-ear Corporationなど13ヵ所の見学を行なった。



第1表 議題の分類


第2表 内容からみた主要な議題