原子力局

水戸原子力事務所の発足


1.水戸原子力事務所については、本年3月、第43国会で成立した科学技術庁設置法の一部改正により、本年10月1日開設と定められ、庁舎の新営等の準備が進められてきたが、去る10月1日予定どおり科学技術庁初の地方支分部局として、水戸市愛宕2181番地に開設された。

2.この間の経緯をふりかえると、まず茨城県当局の厚意により、前述の地の保有地148坪を無償で提供されることとなり、5月7日、庁舎新営工事の入札が行なわれ、東洋工業(株)が788万1千円で落札し、同社が工事に当たることとなったが、電気工事は東海電機(株)、水道配管工事は水戸管工事(株)が、それぞれ担当し、予定どおり、9月25日、建坪208.8平方米(63坪余)の庁舎の完成をみたのである。

3.水戸原子力事務所設置の目的と業務の概要は、当日配布した別掲の資料のとおりである。

4.10月1日正午から開催した開所式典には、兼重原子力委員、岩上茨城県知事、菊池原研理事長など、関係各界の名士約150名が来臨され、また科学技術庁側では鹿島、鈴江両次官はじめ約20名が出席し、盛会裡に終了した。
 同事務所の職員には、所長 林 弘技官(前原子炉規制課長補佐)ほか5名が任命され、その運営にあたることになった。

〔資料〕

水戸原子力事務所について

1.事務所設置の目的
 茨城県の東海村(那可郡)には、わが国の「原子力センター」としてすでに多数の原子力施設が設置されており、また大洗町(東茨城郡)にも原子力施設の設置が計画されているなど、茨城県では今後とも原子力施設の増加が予想されます。このような情勢のもとで県内における原子力関係行政事務が著しく増加しつつあることに鑑み、このたび科学技術庁の地方支分部局として水戸原子力事務所が設置されました。

2.事務所の業務
 当事務所は、県内の原子力施設の安全を確保し、原子力施設周辺の住民に対する放射線障害の防止に万全を期するため、次のような業務を行なうことになっています。

(1)原子炉施設に関する規制
 最大熱出力1万キロワット未満の原子炉施設に関する設計、工事方法の認可事務の処理および検査

(2)アイソトープ等に関する規制アイソトープの使用、販売および廃棄等に係る許可事務の処理および検査(3)放射線の観測
 (イ)モニタリング・カー(放射線観測車)による原子力施設周辺の放射線の観測
 (ロ)原子力施設設置者が行なう放射線観測計画の調整および観測データの敏速な把握

(注)上記モニタリング・カーによる放射線観測は、昨年12月以来、原子力局が東海村を中心とした30ヵ所余りを対象に行なってきましたが、今後は当事務所がより充実した体制のもとに実施することとなります。なお、これまでの観測結果から何ら問題のないことが確認されております。